Trans’2 ~僕とあたしと恋人と~

2005

『Trans’2 ~僕とあたしと恋人と~』は2005年にWIN用として、Catearから発売されました。

まさに女装好きのための作品であり、ここまで本格的なゲームもまず他にないのでしょう。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVをベースにしているのですが、たぶん本質的な部分を強調するならばシミュレーターになるのでしょう。
詳細は後述します。

あらすじ・・・
大学に入ったことをきっかけに、親元を離れ幼なじみの瑞樹と2人暮らしを始める忍(主人公)。
引っ越しの日の晩、新居で片付けをしていた忍は、たまたま開けた瑞樹の荷物から、膨大な量の女物の服や化粧品を見つけてしまう。
問いただされた瑞樹は、観念して自らの女装趣味を告白。
忍にも女装の楽しみを教え、仲間に誘ってくる。
初めての経験に戸惑いながらも、自分を美しく装う快感に目覚めた忍は、女装世界の深みにはまっていく。
「男」と「女」の二重生活で巡り会う人々。
自分の女装趣味を隠しながら送る平穏な生活と偽りの姿であることを隠しつつ送る刺激的な日々。
偽りの人間関係を続ける中で感じる罪悪感と、だんだんと曖昧になっていく、性に対する意識。
揺れる気持ちの狭間で忍が感じたものは、大好きなあの人への、ただひたすらに純粋な愛だった…

<感想>

本作は、一般的には女性向けの、いわゆる18禁BLゲームのくくりで紹介されます。
しかし、あまり男性向けとか女性向けとかは、関係ないのかもしれません。
女装を題材にした作品に興味があるのかないのか、それが一番大事なのですから。

本作が発売された2005年には、男性向けノベルでも女装ものがあり、それからちょっとしたプチブームにもなっていきました。
それ以降、男性向けアダルトゲームでも女装ものが増えましたからね。
しかし、およそ女装ものに関しては、実は女性向けゲームの方が先んじているわけでして。
本作も既に2作目であり、1作目は2002年に発売されています。
まぁ、1作目は一般向けなので、アダルトゲームなのは本作からですけれど。

また、男性向けエロゲで女装作品が増え、今日でも幾つか見かけるものの、女装へのこだわりを見せた作品がほとんど存在しません。
つまり、女装が手段でしかないのです。
何か他の目的があって、カモフラージュするために女装しているとか、現実逃避の一手段として用いられているとか、そんなのばかりです。
だから女装ものであることが不可欠と言えない作品も多いですし、女装を目的とし女装という行為自体にこだわった作品、女装を楽しもうよという趣旨の作品は、男性向け作品ではまず見たことがありません。
だからこそ、女装という行為自体に徹底的にこだわった本作が、より一層際立つのであり、本格的に女装の世界を体験したいならば、この作品に手を出すべきと言えるのでしょう。

さて、本作は女装に特化した作品ですので、どの様な格好をするかもプレイヤー次第です。
まぁ最初は持っている服装などは一種類だけであり、選択の余地などないのですが、お金を貯めて女装ショップでアイテムを購入することで、様々な格好に変身することができるのです。
女装の手段は上下の服だけでなく下着や化粧品やウイッグや身の回りの小物など、非常に多岐にわたります。
それらのアイテムだけでも、何でも約1000点あるそうでして。
公式サイトによると、その組み合わせは約1800000000000000000000000000000000通りとのこと。
ゼロ幾つあるんだ、これw
しかも、これら洋服などを重ねて着用できる「重ね着システム」により、約1800000000000000000000000000000000通りX重ね着という、天文学的な数字に達する自由度を有しているのです。

まぁ実際のところ、プレイをし始めて、その自由度の高さに驚くよりも先に、まず女装グッズの高さに驚かされるでしょう。
あの服も欲しい、この下着可愛いわねなどと物色していたら、あっという間に予算オーバーですから。
今回は化粧品は我慢しようかしらとか、そんなことに頭を悩ませる日がくるとは・・・
何でこんなに高いんだよ~
美を極めるには、お金がとってもかかるんですね。
その大変さが身に染みて理解できました。

しかも、本作はただ着替えるだけではないのです。
本作は、基本的にはノベルゲーになります。
簡易マップ上から移動場所を選ぶのですが、出て歩くと当然ながら、道行く人に女装姿を見られます。
あいつオカマじゃんと女子高生に馬鹿にされたり、コンビニ店員に冷徹にレジで「男」のボタンを押される屈辱にあい、絶対あいつら見返してやるんだ、「女」の文字を押させてやるんだと、燃えてくるわけでして。
それで、より一層美を極めたくなってくるのです。

ちなみに、本作には心拍数というものもあり、ハートのアイコンがドキドキ光りつつ、脇にその時の心拍数が表示されます。
女装して初めてのところに出かけたり、男だとばれそうになったりすると、当然跳ね上がります。
もちろん、限界を超えると家に帰ってしまいます。
ちょっとしたアイデアなのでしょうが、これは良かったですね~
確かに、実際に自分が女装して出かけるとなると、絶対心臓バクバクいうでしょ。
新しい世界に一歩踏み出したい気持ちと、不安からくる緊張感。
女性がお化粧して着飾るのと女装では、その点が一番異なるわけでして。
女性がお化粧をして着飾って出かけるゲームではなく、男性が女装するという女装ものならではの状況をきちんと表現して、ユーザーとシンクロさせようとした点は非常に好印象で、他所の女装ものもこういう機能は導入してもらいたいものです。
勝負下着を穿き、いざ戦場(街)へと向かう主人公に、どんどん自分もシンクロしていったものです。

そして、通常のノベルゲーは選択肢でストーリーが分岐するのですが、この作品では選択肢が存在せず、どのような格好でどこに行ったかという、服装の組み合わせによりストーリーが分岐します。
具体的にはpure・cute・sexyという項目があり、格好により数値が変動し、これがルート分岐につながると。
この点は非常に斬新、かつ女装ものらしいアイデアなのですが、上述のように服装の組み合わせの自由度が半端ないですからね。
当然ながら難易度も非常に高くなっており、尋常じゃありませんでした。

ストーリーに関しては、テキストなどが特別秀でているってわけではないけれど、他の女装男性が女装の時と本来の男性の姿では性格も異なっていて、そのギャップを楽しめたり、男性の姿での世界と女装での世界を対比させ、女装の世界というのをきちんと表現できていたのかなと。
そういう意味では、設定をきちんと活かしていたということで優秀な作品であり、他の作品にはない魅力を有していたと言えるのでしょう。
まぁ、私自身は詳しい分野ではないけれど、そもそもカティアは女装をモチーフにしたゲームを制作する、「女装専門ゲームブランド」で、その手の作品ばかり作っていますからね。
「女装する理由、性の垣根を越える際の微妙な心理描写」にこだわりを持ち、制作を続けているブランドなのです。
アダルトゲームの分野で、ここ以上に女装にこだわったブランドもないでしょう。

ところで、本作は以上のような構造の作品ですので、ゲームジャンルについては、ノベル系ADVと捉えても間違いではないのでしょう。
もっとも、本作はストーリーだけを追っかけるのが目的ではなく、ストーリーはせっかく着替えた姿を活かすためのご褒美であり、また新たな道具を入手するための過程でしかないともいえます。
公式では女装SLGと銘打たれていますが、無数のアイテムの中から何を選び、どのように組み合わせるのか、その組み合わせを試行錯誤して楽しむことこそが本作の本質なのです。
日本ではシミュレーターというジャンルはフライトシミュとか一部だけで、あまりまだ馴染みがなく、またSLGと混同されるけど、両者はやっぱり違うわけで、本作については、正確には女装シミュレーターと考えるのが一番かなと思います。
とりあえずメーカー主催の女装コンテストもありましたし、いろんな人が作った組み合わせを見ているだけでも楽しくなってくる作品ですね。

<評価>

本格的に女装ものを楽しみたいのなら、女装の世界を少しでも本気で垣間見ようとするのであれば、本作は間違いなく買いでしょう。
女装ものということにこだわりのない人でも、とにかく尖った作品が好きならば、やっぱり買いでしょう。
つまり私みたいなタイプですね。
女装に興味がある人が楽しめるのはもちろんのこと、もし女装自体に興味がなかったとしても、本作をプレイすることで女装の楽しさや魅力を知るキッカケになりますし、新しい世界への扉が開かれることでしょう。
こういう作品、つまり特定のジャンルのマニアを納得させるだけでなく、そのジャンルに興味のない人でも興味を持ち魅力に気付ける作品こそ一流であり、本作の持つ個性・長所だけならば、十分に傑作級と言えます。

ただ、少し難しすぎてね。
着替えがメインなのだから、もう少しADV部分は簡単でも良かったのかなと。
また、本作は音声もありませんし、システム周りとかも少し弱いので、プレイしていて、ちょっとその辺りのもの足りなさは感じてしまいます。
これで音声があって、もう少し遊びやすければ、傑作扱いしていたかもしれませんね。

ニッチな分野を扱いつつも、ここまで本格的に掘り下げた作品も、アダルトゲームでは珍しいですからね。
女装が本当に好きな人は既に本作を知っていると思うから、今まで興味がなかったけど新たな刺激を求めるって人にこそ、本作をオススメしたいですね。

ランク:A(名作)

Last Updated on 2026-02-14 by katan

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