「Love Letter」は2002年にWIN用として、美遊から発売されました。
ミンクの別ブランドによる、猟奇系の作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
ラブレターの中身は必ずしも手紙とは限らない……
才気に溢れ、日々の研鑽も熱心な若き助教授‘真木卓哉’は、医学会が将来を期待する優秀な医師である。
その華々しい才能と、どこか神秘的で陰のある雰囲気から、憧れる女子医大生も少なくない。そんな主人公の元に、’貴方を世界で一番愛する女より’という「ラブレター」が届いた。
よくある恋文といった内容だったが、気味の悪い事に「一片の人間の皮膚」が同封されていた。困惑する主人公に対し、ラブレターは幾通も届き、内容は徐々に切迫したものになっていく。
そしてついに、主人公と親しい女性が嫉妬のターゲットとなってしまう。
『アナタに近づく女は、全て私が処理してあげます……』
鬼気迫る愛情が綴られた手紙には、女性の惨殺シーンを収めたビデオテープが、同封されていたのだった。
狂気に満ちた恋慕に追い詰められる主人公。
そして猟奇殺人事件は、主人公の隠された過去へとシンクロしていく。
<感想>
美遊と言うと聞きなれないかもしれませんが、ミンクの別ブランドです。
この頃のミンク作品には、期待しては裏切られ、期待しては裏切られの連続でした。
グラフィックが私の好みというか、凄く綺麗に見えたんですね。
しかし、いざ買ってプレイしてみるとイマイチで、だから次はもうやめようって思っても、次も何かしら気になる要素が出てきて、それで買い続けていたわけです。
今回も、最初は購入をやめようとは思っていたのですが、絵は綺麗だし、何と言っても私の好きな猟奇系ですからね。
本作が発売された当時は、特に猟奇系にはまっていた時期ってこともあり、これは買わねばと思ってしまったわけです。
上記のとおり、何度も裏切られ続けたミンク系列の作品ですが、その最大の要因はどれもストーリーにありました。
ストーリーがどれもイマイチだったんですね。
そして案の定といいますか、、本作も決してストーリーが良かったとは言えないです。
最後なんかグダグダでしたしね。
ただ、後から評判を聞いて購入した人なんかは特にそうだと思いますが、本作で一番期待されていた部分は猟奇さにあるかと思います。
猟奇的作品として評価されている作品の多くは、実はストーリー全体では大したことのないのが多いです。
しかしこれぞアダルトゲームって雰囲気はありますし、その他の物では決して得ることの出来ない魅力がある故に、一部の人に熱狂的に支持されたりするわけです。
本作もストーリー単独ではそれ程でなかったとしても、猟奇さが突出していれば間違いなく高く評価されていたでしょう。
そして実際、ストーリー全体ではそれ程でなかったものの、猟奇的な描写は結構頑張っていたかと思います。
テキストから得られる要素で脳内補充できる人ならば、本作は、それなりに楽しめるのではないでしょうか。
ここで「脳内補充」と限定するのには、当然意味があるわけでして。
というのも、テキストによる猟奇的表現の描写に限って言うならば、かなりのレベルにあるとは思うのです。
でも、やっぱりゲームですからね。
テキストだけでなくて、それを映像でもきちんと示して欲しいのですよ。
本作はその点がイマイチで、それなりに猟奇的なCGもあるのですが、欲しいところに欲しいCGってのが少し足りなかったのかなと。
前年に『さよならを教えて』という作品がありましたが、あちらはCGは良かったけど、テキストが上品過ぎてCGの狂気さについていけてませんでした。
本作はその逆ですね。
テキストは良いけど、CGが物足りないのです。
結局、悪くはないしそれなりに楽しめはしたけれど、勝負すべきところでぼやけてしまったがために、どうしても印象の薄い作品となってしまいました。
<評価>
総合では、普通には楽しめたので佳作としておきます。
グロい作品が嫌いな人には勧められませんが、逆にインパクトのあるグロさを求める人にも少々物足りないのかなと思います。
上述のように脳内補充ができる人であるとか、CGよりもテキスト重視であれば楽しめる確率は高まるでしょう。
それと、ある意味一番肝心な部分かもしれませんんが、猟奇的なものやグロをきついと感じるかぬるいと感じるかは、その人の感性や経験に左右される部分が大きいです。
このゲームが出た頃はまだ猟奇やグロ系もそれなりにあり、比較論はあまり適切ではないのでしょうが、同年代なら『さよ教』や『螺旋回廊』など他に優先すべきものがあり、そういうことも踏まえての佳作ということですね。
とはいえ、このジャンルは次第に減少していきますし、後の作品は内容もぬるくなっていきます。
規制の関係もあって、今後はますます厳しくなるでしょう。
近年、と言ってもゼロ年代半ば以降にも、グロだ猟奇だと言われ人を選ぶとされながらも、それが評価される作品も幾つかあります。
しかし、私はそのどれもがぬるく見えてしまうのです。
ゼロ年代半ば以降で、猟奇・グロ系で満足できたものは、エログロ方面におけるブサイク作品以外はないくらいですし。
私はそんな人間ですから、私が少しぬるいと書いても、馴染みのない人にはかなりきつく感じる可能性は高いです。
まぁ近年のグロ系と比べればまだ本作の方が楽しめたよなとも思うわけで、そうなるともう少し再評価しても良いのかもしれませんね。
Last Updated on 2024-05-19 by katan
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