『DOME(ドーム)』は1988年にPC用として、システムサコムから発売されました。
システムサコムはノベルウェアと名付けていましたが、今で言うノベルゲームの元祖的存在と言えるでしょうね。
<感想>
ノベルゲームというと、大雑把に2つの特徴があると思います。
1つは選択肢により分岐していくという構造であり、もう1つはゲーム性を追求するのではなく、読ませることに重点が置かれたという構造なのでしょう。
そしてSFCの『弟切草』が前者に力を入れた、いわゆるゲームブック的なものであるとするなら、今日のノベルゲーはより読ませることを意識した、つまり後者に力を入れたものと言えるかと思います。
ノベルウェアは時期的にもSFCの『弟切草』より4年早いのですが、上記で言えば後者に力を入れた作品でした。
このようなPC上で小説を楽しむというコンセプト的にも、ゲームブック的な『弟切草』より
今のノベルゲームに通じるものがあると言えるでしょう。
ということで、読ませるという意味でのノベルゲームの元祖は、おそらくこの作品になるのでしょう。
まぁノベルゲー全般という意味では、個人的にはもっといろいろ掘り下げたくなりますし、本作より前の作品で、ノベルゲームとして紹介した作品はいくつかあります。
ただ、それらの作品は、選択肢による分岐に力をいれた、つまりゲームブック的な作品だったり、CG集にテキストがついたような、CGを見ることが主目的のような作品ばかりでした。
すなわち、最近のノベルゲーのように、物語を読ませることを主目的としていたかというと、ちょっと趣旨が異なってくるのです。
そうした中、制作者が明確に物語をプレイヤーに読ませることを意識しつつ、ノベルと銘打って発売されたのはこのゲームが最初ということですね。
もともと『DOME(ドーム)』は、『ドーム 終末への序曲』という、夏樹静子さん原作の小説をゲーム化した作品であります。
原稿用紙700枚以上ということで、従来のADVよりもはるかに文章量が増えています。
この作品、というかこのシリーズは時期が早すぎたんでしょうね。
ストーリー重視のためにプロの小説家にストーリーを依頼。
リアリティを出すために実写取り込みの画像を使用。
より快適に読んでもらうために無駄なコマンドを減らす。
こうした要素は、今ならば喜んで迎え入れられるでしょう。
しかし、プロに頼ったストーリーには無理がなく、当時のADVの多くにあった突飛さがないんですよね。
今ならリアリティあって良いじゃん一体何が悪いの?ってなりそうですが、当時は何が起こるかわからない突飛さも好まれていましたから。
当時のプレイヤーからすると、どうにも地味に映ったんですね。
また、実写取り込みっていうのは、今でも抵抗がある人がいるくらいですからね。
好き嫌いは別としても、これまた地味に映ったものです。
加えて当時のPCは性能が低かったので、実写が汚くてね。
性能からすれば頑張ってはいたのでしょうが、傍目にはどうしても物足りなく映っちゃうんですよね。
さらに、無駄なコマンドを減らして読むことに重点を置いたことも、今なら多くの人に支持を得られるのでしょうが、当時はやはりADVは考えて解くものって認識が強かったので、読むだけのノベル物はゲーム性が低いから駄目って思われたんです。
だから一部では支持を得たものの、歴史を変えるまでには至らなかったのです。
時代を先走りすぎていた、時代がこの作品に追いついていなかったのでしょう。
私も歴史的価値は大きいとは思うものの、正直それ程面白いとは思いませんでした。
同じ年の『ソフトでハードな物語』あたりになると、結構楽しかったんですけどね。
如何せん、本作は地味だったもので。
もっとも、こういう作品は、大人と子供とでは感じ方も違うかもしれません。
当時は名作とまでは思えなかったけれど、今だとまた何か得られるものがあるかもしれませんし、いつか再プレイしてみたい気もしますね。
ランク:B(良作)

Last Updated on 2026-02-08 by katan


コメント