『ANGEL』は1993年にPC98用として、カクテルソフトから発売されました。
『ANGEL』と聞いて、ピンと来る人はどのくらいいるのでしょう?
もともとは遊人さんが書いていた同名の漫画を、PCゲーム化したのが本作でした。
<感想>
原作の雰囲気は良く出ていると思いますし、私自身、原作が好きということもあって、個人的には楽しめました。
だからこそ余計にも面白いと感じるか否かは、原作が好きか否かで分かれちゃんでしょうね。
まぁ、原作が嫌いなのにこれをプレイする人がいるとは思えませんけれど・・・
<ゲームデザイン>
そういうわけで、ここまでならありきたりな、エロ漫画のゲーム版でしかないでしょう。
しかし、本作はちょっと変わった構造だったんですよね。
というのも、本作は全部で3話構成なのですが、各話ごとにジャンルが全部違うんです。
1話目は普通のコマンド選択式のADVで、2話目がシナリオ分岐型のノベル系のADV、そして3話目が調教SLGだったのです。
ジャンルが全部異なるというだけでも珍しいですが、良く見るともっといろいろあるわけでして。
例えば2話目、シナリオ分岐型ADVは94年以降なら多数ありますが、それは93年末の『河原崎家の一族』以降の話なわけで、河原崎以前に出た本作は非常に珍しいと言えるでしょう。
もちろん構造的には80年代から既にありますので、珍しいからといって高得点ってわけにもいきません。
しかし、一度見かけなくなったジャンルだけに、簡素な作りでも新鮮さは十分感じられるといえるでしょう。
また、3話目の調教SLGについては、調教SLGの元祖として名高い『SEEK』は95年ですから、本作はそれより早い計算になります。
そもそも、本作も確か制作したのは田所さんだったはずです。
ここで実験したものを元に、更に煮詰めてSM色を強めたのが、後の『SEEK』につながっていくのでしょう。
まぁ、個々の要素は簡易的なものなので、どれもジャンルの元祖と呼ぶには、少しもの足りない完成度ではあるでしょう。
とはいえ、珍しいのは確かなわけで、原作既読組でもプレイしていて常に新鮮な感じで楽しめました。
<評価>
私は原作が好きだと言うのもありますが、それを抜きにしても十分良作と言えるのではないでしょうか。
小粒な作品というのと原作付きということで、名作扱いするのにはちょっと抵抗があるんですけどね。
でも小難しいことを抜きにすればキャラは皆可愛いし、アイデアに溢れる楽しい作品でしたよ。
ランク:B-(良作)
Last Updated on 2024-09-12 by katan
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