『巣作りドラゴン』は2004年にWIN用として、ソフトハウスキャラから発売されました。
ソフトハウスキャラの出世作でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはSLGになります。
あらすじ・・・
舞台は中世ヨーロッパ風。
竜族の男(主人公)は、結婚する為に巨大な巣(ダンジョン)とたくさんの財宝を所持しなければいけませんでした。
その為、主人公は単身で人間の住む地域に行き、巨大な巣を建設して財宝を集める事にしました。
しかし、巣を作って間もなく、ドラゴン退治を目指す勇者や、ドラゴンを邪魔者扱いする村人達。
ドラゴンが貯めた財宝を狙う盗賊や冒険者がやってきました。
これでは安心して巣を空にする事もできず、財宝も集まりません。
そこで、主人公は侵入者退治の為に魔物を雇い、巣に罠を張り、近隣を脅しては巣に近づけないようにしました。
そうして地盤を固めてから、主人公は財宝を集め始めます。
巣の内外で金鉱を探し、農耕を始め、森を伐採してタンスを作ったりしながら財産を集めまくりました。
もちろん、侵入者達を撃退した時に身包みを剥ぐのも忘れません。
ついでに女性なら、結婚した時の夜の練習相手にもしました。
見事、意中の許婚と結婚できるのか。
それとも、また別の女性と熱い出会いをするのか……
竜族の男が人間界で起こす珍事業&たぶんラブストーリーです。
<出世作>
win95以降に生まれたブランドで、ADV以外を専門で作る所は少なくなりました。
ゼロ年代に入ってから活躍したブランドとなると、その代表的なところとしてエウシュリーと、ソフトハウスキャラがあるかと思います。
エウシュリーはメジャー路線と言いますか、RPGとかSRPGとかコンシューマーでも非常に多く、誰でも知ってるようなジャンルにエロを付けて出したような作品が多いです。
ソフトハウスキャラはその逆ですね。
SLG好きなら知っているだろうけれど、そうでない人には馴染みのないような、ちょっとマイナーなジャンルに着目し、そこにエロを付けて出したようなゲームが多い感じがします。
今のエロゲはノベルゲーばかりですが、昔になるほど様々なジャンルがありました。
だからゲーム性のあるエロゲを求めているユーザーも、昔は結構いました。
ソフトハウスキャラの作品は、上記のとおり、マイナー路線の作品が多いこともあり、当初はそれほどヒットしていませんでしたが、本作のヒットにより、ブランドの知名度も一気に上がったわけで、本作は出世作であると同時に、ブランドの代表作ともなりました。
<感想>
本作はいわゆる悪の方の主人公で、ダンジョンを構築し罠を張って、勇者とかの侵入者を撃退するSLGです。
まぁ、ぶっちゃけ『ダンジョンキーパー』(DK)のエロ版ですね。
ただ、この言い方にも若干御幣があるわけでして。
大雑把なところは似ているのですが、それを言ったら『プロデュース』のエロ版だろともなりかねないですしね(なお、『プロデュース』はPC88のゲームで、同系統の作品なのです。)。
DKはダンジョンを作って罠を張って、そこからいろいろダンジョンを運営していくところに醍醐味があって、若干RTSっぽくもある作品でした。
そうしたDKの一番の醍醐味みたいなのが本作にはないわけで、DKにエロが付いたんならお得だろとか安易に思って購入しちゃうと、ちょっとガッカリしてしまうかもしれません。
設定の近さからDKと比べられがちですが、むしろベクトル的にはPSで発売された『AZITO』に近いのかもしれませんね。
まぁいずれにしろ、珍しいとはいえSLG好き的には斬新ではなかった設定ですが、そもそも設定の斬新さで言えば、PC88時代の『プロデュース』まで遡るわけでして。
ただ『プロデュース』は中身にいろいろ課題もあったわけで、それでこの手のジャンルを内容的に完成させたのが、前述のDKなわけですね。
DKは、今でも熱狂的なファンがいるだけあって、好みを別にすれば非常に良く出来たゲームでした。
本作はお手軽に遊べる点では良いのですが、この手のゲームとしてはまだまだ甘いんですよね。
初めてこの手のゲームに触れる人には面白いのでしょうが、そうでない人を納得させられるレベルにはないように思います。
もっとも、本作はアダルトゲームなわけですから、そこそこのゲーム性に他の付加価値が加われば、それでも十分に楽しめるわけです。
そこでその観点からが問題となるわけですが、まず世界設定にも特にひねりはないですし、ストーリー自体もあっさりであってないようなものです。
あとはキャラですね。
これは好みの問題もあって、キャラが気に入ればおそらく楽しめるのでしょう。
個人的には、悪くはないのですが特別に惹かれもしませんでした。
キャラデザが平凡なので、あまり魅力を感じないんですね。
そういうわけで、あまり他の付加価値も感じられませんでした。
<評価>
総合では佳作とします。
この作品は、一般的にもストーリーやキャラではなく、ゲーム部分で評価されることが多いように思います。
しかし、上記のとおり、他の同系統のゲームと比べると、ゲーム部分に関しては斬新さも完成度も伴っていないということで、どうにも点数が伸びにくい作品でした。
まぁ、SLGガチ勢には向いていないと思いますが、普段ノベルしかやらないエロゲ好きが、ちょっと方向性を変えて違う分野にも手を出してみようかという場合にはちょうど良い作品かもしれませんね。
あるいは、この手のゲームの入門用としても良いでしょう。
個人的にも、最近はハードなSLGは疲れちゃうので、息抜きにはこのくらいのゲームの方がありがたかったりもしますしね。
だから大半のエロゲーマーは楽しめるように思いますが、ただ、生粋のSLG好きだけはちょっと注意が必要かもということですね。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2024-07-19 by katan
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