『冤罪 eine falsche Beschuldi-gung』は2002年にWIN用として、郎猫儿(ランマール)から発売されました。
これが出た時は、非常に衝撃的でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
フランスで革命に続くナポレオンの絶頂期に陰りが見え始めた頃、同じように王族を追放し、議会政治とアフリカ大陸への進出を図った国があった。
しかし、新しい法律が作られ、新しい政府が新しい政治を始めても、変わらない場所がある――理不尽な暴力に支配された刑務所。
そこに、一人の少年・ガイズが送り込まれてきた。
罪状は“殺人”、判決は“終身刑”。しかし彼は殺人など犯していなかった……。
街中で不良仲間と万引きをして捕まった彼は、不当な裁判により刑に服することになってしまったのだった――。
では、殺されたのは誰で、なぜ殺されたのか? そして、誰が殺したのか?
刑務所の中でガイズが目の当たりにするのは、生々しい暴力と欲望、心を病んだ奇妙な囚人たち、そして仲間と信じた少年達の裏切り……。
絶望と恐怖の中で、それでも、少年は諦めずに真実を追い求める。
そんな彼に力を貸してくれたのは、それぞれに心の闇を抱えた者たちだった――
アル中の弁護士、不良少年といじめられっ子、元新聞記者や元軍人、そして精神を冒されている奇妙な狂人……。
彼らの経験と知識、情報を組み合わせた時、少年が巻き込まれた恐ろしい陰謀とこの刑務所の暗い秘密が明らかになっていく……
そしてガイズは、自分の周囲の仲間達も、彼と同様に何者かに謂れのない汚名や罪を着せられて、望まずに現在の境遇に貶められていたことに気付いていく――
「自由になりたい…」
ガイズの強い思いと行動は、彼ら傷ついた仲間の心に届くだろうか?
そして彼らの心に、どんな変化を引き起こすのだろうか?
――少年を待ち構えているのは絶望か、それとも自由か。少年の未来は今、あなたの手の中に……。
<感想>
本作は女性向けの、いわゆるBLゲームになります。
ちょっとあらすじの引用が長くなってしまったのだけれど、大体のストーリーの雰囲気が分ると思ったものですから。
ストーリーに関しては、細かい部分では気になる点もあるわけで、最近の作品と比べるといろいろ物足りない部分もあると思います。
ただ、本作が出たのは2002年なんですね。
BLゲーは、それより少し前からポツポツと出始めてはいたものの、BL好きではない私が興味を持てるような作品はなかったし、ジャンルの黎明期ということで作品が出るだけでもありがたい状況で、内容面で評判の良い作品もなかったことから、プレイしたいと思える作品がありませんでした。
そんな中で出てきたのが本作なわけで、これは非常に衝撃的でしたね。
まず、グラフィックのインパクトが凄かったです。
原画である由良さんの作品としては、男性向けの『奴隷市場』の頃からプレイしているのですが、BLゲーの方が本領発揮できる感じですね。
他の人がどう思っているのかは知らないけれど、ゼロ年代前半のBLゲーと言うと、グラフィックに関しては由良さんの絵がまっ先に浮かぶわけで、それくらい強烈な印象だったのです。
設定とグラフィックの段階で、BLゲーでも遂にこんなのが出てきたのかと思ったし、それで興味を持ったわけですね。
実際にプレイしてみて、上記のようにストーリーは必ずしも絶賛とまではいかないものの、それでも当時の他のBLゲーよりは頭一つ抜けているくらいの印象はありましたし、十分に楽しめました。
<評価>
女性向けとしての、BLゲーとしての独自の魅力を有しつつ、ストーリーについても読ませる内容の作品が出てきたと。
まぁ、本音を言うならば、完成度とかストーリーの良し悪しだけならば、良くても良作って感じでもあります。
面白くはあったけれど、特別面白いというものでもなかったですから。
ただ、私は記事では辛口なことを書いていても、大概は楽しめています。
佳作(C)ってのは、あぁ~楽しかったねってことですから。
でも、楽しかったねと思える作品は多くても、こんなのあったのかと驚くことは少ないです。
楽しい作品よりもビックリした作品の方が少ないことから、その希少性を重視して完成度より独自性を評価するスタンスとも言えますし。
特に2002年頃の男性向けアダルトゲームでは、楽しめた作品はあれども、ビックリした作品はほとんど存在しなかったわけでして。
衝撃を受けた作品は専らBLゲーであり、本作はその象徴みたいな作品なんですよね。
作品の面白さはもちろんのこと、それ以上に本作の様な作品が出てきたこと自体、その存在自体が重要なわけで、総合でも名作といって良いでしょうし、BLゲー初期の代表作と呼べる作品でしたね。
Last Updated on 2025-04-09 by katan