『スティーブン・スピルバーグのディレクターズチェア』は、1997年にWIN用として、ジャストシステムから発売されました。
本作はスティーブン・スピルバーグ監督監修の、実写映画制作SLGになります。
<概要>
ゲームジャンルは映画制作SLGになります。
監修というと、名義だけ貸して、内容にはほぼノータッチというのも多々あるらしいですが、本作には実写でスピルバーグ自身も出てきます。
また、「インディー・ジョーンズ」の製作スタッフによる、オリジナル映像も収録されています。
<感想>
映画制作のゲームというと、一般的には何が浮かんでくるでしょうか?
マイナーなジャンルだけに数が限られてきそうですが、大傑作である『ようこそシネマハウスへ』は、ADV+SLGという構成でした。
メインはADVであり、そこにオマケで映画制作が付いてきたのです。
また、シネマハウスの一般版たる『映画監督物語』は、シネマハウスよりはSLG色が強くなっています。
しかし、やっぱり本格的に映像をいじりたいって人には、いろいろと不満が出てくる内容でもありました。
そこで、このディレクターズチェアの登場です。
本作は上記の2作よりも更にSLG色が強くなっており、完全に映画制作に特化しています。
これはもう、かなり細かく設定できます。
演出や編集など、とにかく自分で直に映像をいじってみたい人には、この作品はうってつけだと思います。
win95が登場することでようやく実現できたゲームとも言え、そういう意味でもポイントは高いでしょう。
そのため、はまる人ははまる、そんなゲームなんだと思います。
ただ、ぶっちゃけ、ゲームとしてどうなのよって面もあるわけでして。
正直、ゲームというよりも、画像編集ツールみたいなんですね。
位置付け的には、むしろ『3Dムービーメーカー』に近いのでしょう。
画像編集ツールの使い方をスピルバーグが教えてくれる。
本作を知らない人は、そういう認識でも間違いはないと思います。
お手軽に編集を体験できる点は凄いのだろうけど、こういうのに本当に興味がある人でないと、何をして良いのか分からず辛いゲームとなってしまうでしょう。
ゲームとして楽しみたいならシネマハウスや映画監督物語で、とにかく映像を編集してみたいなら本作や3Dムービーメーカー。
分類としてはそんな感じなんでしょうね。
そうなると編集系ソフトの最高峰として名作扱いしても良いのではとも思いますが、本気で映像を学びたい人にはそれはそれで物足りなくなってしまうわけで、興味がなければ楽しめないのに本気で興味があるとやっぱり楽しめないとなり、その辺の存在意義の微妙さがひっかかってしまうのです。
<評価>
その個性を尊重し、総合ではギリギリ良作とします。
いずれにしろ万人に同じような評価がされるタイプのゲームではないでしょう。
与えられたものをこなすだけの人には凡作以下にもなりえる反面、最初から自分の創意工夫で楽しむことができる極一部の人には絶賛される、そういう類の作品だと思いますね。
ランク:B-(良作)
Last Updated on 2024-12-03 by katan
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