学園KING ~日出彦 学校をつくる~

1996

『学園KING ~日出彦 学校をつくる~』は1996年にPC98用として、アリスソフトから発売されました。

現代版ランスとでも言いましょうか、アリスの作った非常に個性的なRPGでした。

<感想>

ゲームジャンルはRPGになります。

まずは簡単なあらすじから入りますと、主人公はサブタイトルにもあるように日出彦となります。
舞台は人工島で、そこにある高校を制圧し、新たな高校を作るのがゲームの目的となります。

<感想>

現代を舞台にしたRPGというのは、この頃にはもう、時期的にも珍しかったですかね。
80年代のPC88の時代は結構現代物のRPGもあったのですが、90年代は中世風ファンタジーばっかのイメージでしたから。
何れにしろこれどんなゲームだと気になるくらいの新鮮さはあったと思います。

もっとも、ストーリーの本筋はわりとどうでも良いわけで、ぶっちゃけこれは馬鹿ゲーなんですね。
日出彦というのがかなりの曲者で、アリスで言えばランスを日本人にして弱っちくしたようなものです。
ある意味、アリスの得意とするようなキャラ設定ですね。
そして、これまた非常に多くのヒロインを従わせるわけで、こういったあたりもランスっぽいです。
多くの個性的なキャラに馬鹿げたテキストが相俟って、とても楽しくプレイすることができました。

賛否が分かれるとすれば、グラフィックとシステムになるのでしょう。
原画は、ちょも山さんです。
この頃のちょも山さんの絵は今より癖がありましたので、好きな人は好きだけ主流の萌え路線とは少しずれていたと思います。
キャラデザを気に入るかはもう好みの問題でしかないのですが、個人的には可もなく不可もなくってところでしょうか。

システムは一応はRPGなのですが結構変則的で、普通のRPGを望んだ人には合わない可能性も大きかったでしょうね。
具体的にはゲームは大勢のヒロインを引き連れて、それを入れ替えながら進行していきます。
難易度は高かったのでやり応えは十分にあったのですが、使える陣形が偏っているとか、レベルアップはランダムに出るアップちゃんを倒さなきゃ駄目とか、RPGとしては結構変則な上に大味だったように思います。
だからどうしても普通のRPGを求めると違和感が出てしまうし、普通のRPGの感覚だとこれどうすれば良いんだ、わけが分からんって思われてしまうおそれも大きかったのです。

むしろこのゲームは、そういう普通のRPGに飽きた人向けだったのでしょう。
中世ヨーロッパ風飽きた→現代が舞台なのでOK
世界を救うとか愛と感動のとか似たようなシリアス路線飽きた→馬鹿ゲーなのでOK
コマンド選択式のテンプレな戦闘システム飽きた→かなり変則的なのでOK
レベル上げうぜぇ~→しなくてもOK

まぁ、飽きたらやらなければ良いじゃんって話もありますが、似たような設定やどのRPGにも共通するような作業部分が嫌なだけで、要所要所での緊張感の漂うバトルや、いろいろ探索してイベントをおこしたりするのは好きって人、つまりは私みたいな人もいるわけです。
学園KINGにはシステムとストーリーが相俟って常に新鮮さがありました。
また、戦闘は基本的に逃げることができますので、あちこち探索しつつ要所要所での戦闘だけを楽しむことができたのです。
RPGの持つ楽しさの多くを有したまま、レベル上げとか作業と揶揄される要素はないわけですから、純粋に楽しむことができたわけですね。

<評価>

全ての面で王道系を望む人には合わないという意味では人を選びますが、本作には他にはない個性を有していたのも確かで、これはこれで名作だと思いますね。

最後に少しずれますが、良い面も悪い面も含めて、これはとってもアリスらしいゲームだったように思います。
個性的な多くのキャラに馬鹿げた展開、システムは練り込みがやや足りないけれど、他にはない新鮮さは伴っているって感じで。
最近のアリスはシンプルなのに妙に制約を課したり縛ったりしていますが、そういう緻密さを要求されるものは洋ゲーにでも任せれば良いのです。
また緻密なゲームバランスで評価されたブランドでもないわけで、設定もシステムももっと破天荒な荒削りなんだけど他にはないみたいな、そういう部分が魅力だったように思うんですよね。
最近の小さく纏まった作品よりも、この頃の方が欠点も多かったけど魅力も多かったように思うのですよ。

ランク:A-(名作)


PC-9801 3.5インチソフト 学園KING 日出彦学校をつくる

Last Updated on 2024-11-12 by katan

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