『Piaキャロットへようこそ!!3』は2001年にWIN用として、F&Cから発売されました。
Piaキャロシリーズの第3弾ですね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
主人公「神無月明彦」はPiaキャロット本店でバイトをする受験生。
彼は学園生活最後の夏休みを迎えようとしていた。
そんな7月の昼下がり、彼は本店のオーナーに呼び出される。
8月に新規オープンするPiaキャロット4号店の夏季限定ヘルプを相談される。
最初は乗り気ではなかったが、同僚である「高井さやか」に相談した結果、4号店のヘルプを承諾することになる。
4号店にはPiaキャロット各店舗から経験者が集まり、主人公は本店代表として8月の1ヶ月間4号店で寮に住み込みのバイトをすることになる。
そこで様々な人たちと出会い、そして、8月の終わりにはどんな思い出が心に刻まれるのか。
その答えを見つける為には、実際にPiaキャロット4号店でバイトをしてみてください。
<感想>
大きなコンセプトは変わっていませんので、ストーリーはファミレスを舞台にした恋愛モノになります。
システムはパラメーターがあって一見すると恋愛SLGっぽいのですが、数値は進行度を可視化するための手段にすぎません。
むしろ本質的にはノベル系のADVと捉えた方が良いと思います。
F&Cの特徴というと、ゼロ年代以降はCGは綺麗で一流なのだけど、シナリオは薄く三流というイメージの人が多いのではないでしょうか。
でも、今では信じられない話かもしれませんが、旧アイデス時代も含めると数多くの良質なストーリーゲーを作っていたわけで、その年一番って作品だってあったのです。
それがいつの間にやらというか、まぁゼロ年代に入った頃からなのですが、すっかりストーリーの駄目なブランドになっちゃったんですよね。
Piaキャロは90年代後半からはF&Cの看板となったタイトルですが、ゼロ年代最初のシリーズのナンバリングタイトルである本作もまた、近年のF&Cの傾向をもろに表していました。
前置きばかりが長くなりましたが、つまりは絵とキャラは良いけどストーリーが薄かったわけですね。
まぁ、過去作もストーリーが特別良かったわけではないですが、何かしらのストーリー本筋があって、そこに主人公とヒロインが関わる過程で、上手く萌える要素が加わっていたんですよね。
そういう観点からすると3はちょっとシフトしていて、別のストーリーというよりもヒロインの悩みとかを解決する感じで、駄目なテンプレ系恋愛物に近年多いパターンになっています。
もちろんそういうお悩み解決系でも名作はあるのですが、少なくとも本作に関しては上手くいっていなかったように思うわけで、凹んだり悩んだりする描写が足かせとなって萌え要素を減少させ、そういう部分に手間を費やしたものだから、互いが惹かれていくような恋愛部分の描写も弱くなったように思うわけです。
邪魔にならない程度のストーリーとそれを彩る多くの萌え要素で満足なのに、下手にストーリーも掘り下げようとして、結果として何も残らなくなったというところでしょうか。
もっとも、もう一つの特徴である絵とキャラの良さがあるので、元を取るだけは楽しめたんですけどね。
CG枚数は他所の作品よりも多かったですし。
ただ、実はある意味で最もガッカリしたのは絵なのかもしれません。
確かに周りの作品と比べれば綺麗なのでしょうが、90年代半ばの頃程のインパクトはなかったわけで、あれ?橋本タカシさんのキャラってもっと可愛いかったはずなのになと、不思議に思いながらプレイしたものです。
『Pia2』とか『with you』とかもストーリー自体は特別秀でているわけではないので、だから3もストーリーがプラスにならなくても、それはある意味想定の範囲内なのです。
しかし『Pia2』や『with you』には足りない部分を補って余りあるほどの、大きなグラフィック面のプラスがあったわけです。
今回も一応はプラスになるのでしょうが、かつての作品ほどの点数はやれないわけで、相対的には落ちたということになるのでしょう。
<評価>
シリーズ過去作が偉大過ぎたために、過度に叩かれてしまったイメージのある本作。
過去作と比較しなければ、十分水準以上の内容は保っていたことから、総合でもギリギリ佳作とします。
決して悪い作品ではないのですが、結果的にとても印象の薄い作品になったわけで、看板でこれではF&Cも終わりだよなと思ってしまった、悪くはないのだけど影の薄い作品でした。
ランク:C-(佳作)

Last Updated on 2025-02-17 by katan
コメント