ノスタルジック★さまぁ

2023

『ノスタルジック★さまぁ』は2023年にWIN用として、VENUSから発売されました。

新しい形の寝取られゲーとして、VENUS完全復活となった作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・ある日、家に帰るとそこには見知らぬ女の子がいた。
その子が持っていた手紙には一言「あなたの子○です」とだけ書かれていた……。
岬山郷。そこには、過去に夏休みの間だけ泊まりに行ったことがある祖父の家がある。
子○との新しい生活のため、碧斗は今は亡き祖父が残した家で暮らすことになる。
そこで、過去にひと夏をいっしょに過ごした幼馴染「瑛茉」と再会する。
20年以上会っていなかった二人だが、すぐに打ち解けていく……。
地元の女子校生「七彩」と「杏」との出会い、その他にも様々な出会いがそこでは待っていた。
かつての彼女が産んだと思われる自分の子○「來乃羽」
しかし、自分が父親だとは打ち明けられないまま……
碧斗は子育てに奔走し、岬山郷で出会った人々とともに來乃羽を育てていく。
親身になって支えてくれたのは幼馴染の瑛茉だった。
彼氏いない歴=年齢の瑛茉。
しかし、そんな瑛茉には親が進めている婚約の話があるという……。
そして、地元の女子校生「杏」
見た目はヤンキーで突っ張っているが、この娘にも複雑な家庭環境があった。
碧斗が辿る結末とは……?

<感想>

VENUSの作品については、私は昔から高く評価していました。
しかし、分割作品を出すようになってからは、私からすると迷走しているようにしか見えませんでした。
もうこのサークルは終わりかなと思っていたところ、サークル前作の出来が回復してきたこと、本作は分割作品ではなく、久しぶりに1本で完結する内容であることから、注目した作品でした。

プレイしてみて、まず最初に思ったことは、演出等が全般的にクオリティアップしているなということでした。
來乃羽が、こくんと頷いたり、頭をぷるぷる振るところなんて、ちょっとしたアニメーションなのかもしれませんが、來乃羽の可愛さを表現するうえでは、実に効果的でした。
こういうところなのですよ。
ほんのちょっとした違いかもしれませんが、そのちょっとした工夫で最大限の効果を挙げ、他作品との違いを見せつけるのが上手いのが、このサークルの真骨頂なのでしょう。
その辺が、ここ数年の作品では感じることができなかったのに対し、本作からは感じ取ることができたのが、一番大きかったように思います。

ストーリーに関しては、VENUSは寝取られ特化のサークルと思われがちですが、直球というよりは、少し変則的でして。
そのため、ド定番の王道な寝取られ展開を求める人にはあまり高い評価を得られにくいように思いますが、他方で私みたいな王道ではないものを求める人には刺さりやすいといえます。

本作も、メインである瑛茉ルートについては、厳密には寝取られとは言えないように思います。
瑛茉は結婚しているわけでもなく、主人公と付き合っているわけでもないですから。
寝取られゲーというよりは、不倫ゲーとか、浮気ゲーという感じになるのでしょうか。
だから王道の寝取られ展開を期待すると、あれ?、これ寝取られと違うのではと感じてしまうかもしれません。
まぁ、好きな人が他の人とHをするという、広い意味ではNTRに含まれるのかもしれませんが、少なくとも最近のNTRゲーとは趣が異なるといえます。

では、ここで描かれている王道ではない寝取られとは何なのか。
本作では、登場人物の多くが複雑な家庭環境をもっています。
その中で、ともに暮らし、平穏で楽しい日常が描かれつつも、そこに過去の因果を交え、ヒロインと間男との関係をぶち込んできた内容は、お見事としか言いようがなく、現状、このような作品を作れるのはVENUSしかないのではと思ってしまいます。

そもそも、寝取られゲーの場合、キャラの善悪等、立ち位置が極端なケースも多いです。
本作というか、特に瑛茉ルートの場合、リアリティがあるという言葉が相応しいのかはさておき、ヒロインにも良いところもあれば悪いところもあります。
間男側もそうですね、クズなところもあれば、人としてそうなってしまうよねと共感してしまうところもあるわけで、様々な境遇や因果が絡み合い、一概に善とも悪とも言い切れない展開のため、読み終わった後の読後感が良いとはいえません。
読み終えてスッキリという気持ちにはならないものの、だからこそ、そのスッキリしない因果の絡み合いが本作ならではの特徴ともいえるように思うのです。

それでいて、メインストーリー上は家族ものとしてほっこりできるハートウォーミングな展開もありますし、また、複雑な状況下で判断を下した主人公にも、寝取られゲーの主人公としては珍しく存在感がありましたし、好感も持てました。
さらには、1本でロリと大人の両方の寝取られも楽しめるわけですから、本当に上手く融合させたものです。

私は、本作のこうした構造に、従来の寝取られゲーとは異なる、新しさを感じ取ることができましたし、これだけでも満足です。
しかし、中には、王道寝取られ上等、もっとシンプルに寝取られゲーの魅力を満喫したいという人もいるでしょう。
VENUS作品は、キャラの心理描写にも定評がありますし、丁寧な描写と場面に沿った演出により、王道の寝取られを描いても、十分すぎるほどに面白く作れますからね。
そこで、もう1つの杏ルートです。
こちらはもう、ストレートな王道の寝取られです。
間男はクズですし、杏の気持ちが完全に主人公にいった後に、そこから寝取られで肉体的快楽に抗えず完全に堕とされてしまうわけでして。
上質な王道寝取られが良いという人であれば、こちらの方が刺さるでしょうね。
瑛茉ルートと杏ルートの対比というのも実に面白いですし、良かったです。

<評価>

端的にいうと、様々な因果を絡めた組み合わせの妙といえるでしょうか。
他の寝取られゲーにはない魅力が詰め込まれた作品であり、ここ数年の同系統の作品の中では出色の出来であることから、総合でも名作といえるでしょう。

本作には、「即プレイルート機能」が搭載されています。
Hシーンだけがうりの作品ならまだしも、ストーリー性が魅力のこのサークルで、何の意味があるのかと、プレイ前は思っていました。
実際、プレイし終わった今でも、プレイヤーにこの機能が必要だったとは思いません。
しかし、この機能を搭載するにあたり、制作者の中で本作の全体像がより鮮明に浮かび上がったことでしょう。
その結果、作品としてのまとまり、完成度が向上したのではないか、私には必要ないけれど、制作者にとって必要だったのではないかと思います。
ここに至るまでに、様々な試行錯誤や苦悩もあったと思いますし、アイデアが尽きて枯れているクリエイターも多い中、よくここまで復活してきたものです。
もうこのサークルは駄目かと思い始めていた私が浅はかでしたし、この作品に出会えて良かったですね。

ランク:A-(名作)

Last Updated on 2025-01-19 by katan

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