女子寮パニック

1983

『女子寮パニック』は1983年にPC88用として、ENIX(エニックス)から発売されました。

ノベルゲー的構造の作品であり、ある意味とても斬新な作品だったように思います。

<概要>

あらすじとしては、主人公が彼女を救うために、女子寮に侵入するというものになります。

本作発売時のアダルトっぽいゲームって、半分は野球拳で、半分は女子寮とかどっかに進入するものみたいなイメージがあります。
そういう意味では、本作もその中の1本になるわけですね。

そのため、設定的に特別なのはなかったのですが、本作の場合、その分、ゲームシステムが変わっていました。
ジャンルは後述しますが、リアルタイムで進行するノベルゲームと考えます。

<ゲームデザイン>

本作については、ゲームシステムをどのように解釈するかで、コマンド選択式やノベルゲーの概念がかわってしまうかもしれません。
人によっては、コマンド選択式の亜種と考えるかもしれませんが、コマンド選択式より、ノベルゲーの特徴の方が多くあてはまることから、私としては、ノベルゲーであると考えます。

というのも、本作では、その場その場でやれることが、テンキー(或いはカーソルキー)の4つに割り振られていて、常に2択から4択の連続でゲームが進行していくのです。

したがって、この時期のADVに多かった、コマンドを入力する作業はありません。
また、典型的なコマンド選択式にある、汎用コマンドも存在しません。
なお、後期のコマンド選択式には、汎用コマンドのかわりに個別のコマンドが表示され、見た目はノベルゲーの選択肢と変わらないものもあります。
しかし、それらの作品と異なり、本作は同じコマンドを選ぶ必要がありません。
テキストを読みつつ、選択肢を1度選べば進行するので、構造的にはノベルゲーが一番近いのです。

さて、実際のゲームとしてのプレイ感覚については、上記のようにコマンドを入力することなく進行していきますので、入力の煩わしさといった問題はありません。
また、コマンド選択式にありがちな同じコマンド選択するということもないので、同じ展開を見なくて済みますし、そういう意味では快適に遊べましたね。

本作にはバッドエンドがあるところ、そのバッドエンドをマルチエンドと捉えれば、感覚的には、ますますノベルゲームっぽく感じられるでしょう。
昔のゲームは今の人には合わないシステムも多く、特にコマンド選択式は面倒くさがられる傾向がありますが、これは案外いけるんじゃないかって思いますね。

本作には、もう一つ特徴があります。
具体的には、本作は完全にリアルタイムで進行するのです。
時間制限があるため、当然ぼやぼやしている暇はなく、迅速な行動が要求されます。
昔のPCは性能がしょぼかったわりには、意外とリアルタイムのゲームもあったりするわけで、この辺にも当時のゲームらしさを垣間見ることが出来ますね。

<ストーリー>

内容的についても、槙村ただしさんの作品ということで、いろいろとぶっとんでる面も多いです。
女子寮で何故かオカマとかも出てきますしね。
でも、それが新鮮さやゲーム内の緩急を生み出し、リアルタイムな進行と相まって楽しさにつながっていったんですよね。
これが83年のゲームというのだから、驚かざるをえないってものです。

<評価>

総合でも名作といえるでしょう。

内容がイロモノ系っぽく見えることや、ゲームシステムが時代を先取りしすぎていることから、どうしても過小評価されがちな作品だと思います。
しかし、分析すればするほど斬新な作品といえ、これは評価すべきだと思いますね。

ランク:A(名作)

Last Updated on 2024-07-26 by katan

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