三毒繚乱

2024

『三毒繚乱』は2024年にWIN用として、TinkerBellから発売されました。

ブランドらしさを存分に発揮した作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
宿海町――数年前、若き女性の町長が誕生して以来、誰もが目を見張る、そして完全に予想外だった躍進を続ける異例ずくめの町。
その町の片隅に、密かに退魔師として働く者たちの姿があった。
八尺瓊せつな。宿祇さくや。海祇このは。
彼ら特殊部隊「ヤタガラス」のメンバーに命じられたのは、相次ぐ少女凌辱事件の調査だった。
だが、続発する事件の陰に見え隠れする謎の女……
手がかりも得られないまま増えていく被害者……
そして新たに持ち込まれた、宿海学園内での乱交パーティーの調査依頼……
事件の全容を掴みきれないまま、「ヤタガラス」の面々は翻弄され続けることになる。
果たして、全ての糸を操る者の目的とは――

<感想>

密かに近年良くなってきているなと、新作を期待しているのがTinkerBellでして。
グロ、スカトロ、触手、輪姦等、マニアックな属性に特化したフルプライスの作品を作るブランドは年々減っています。
マニアックなシーンを描くだけならば、小粒な同人ゲーでも足りるかもしれません。
しかし、商業のフルプライス作品には、フルプライス作品としての良さもあります。
発売される絶対数が減っているだけに、マニアックな属性でフルプライス作品を作るブランドには、がんばってもらいたいなと思います。
TinkerBellもまた、そんなマニアックな属性を得意とするブランドの1つになります。

TinkerBellの過去作には、過激なCGという特徴はあるものの、ストーリーやキャラの描写が不足していて、過激な場面しか見どころのない作品も多かったです。
そのため、私の評価がいまいち伸びないケースもありました。
しかし、看板タイトルの淫妖蟲シリーズとか、キャラの描写も良くなってきていて、今では続編の気になるシリーズへと成長しています。
ただ、淫妖蟲シリーズは、シリーズとして長くなってきているので、新規ユーザーには勧めにくくもあったわけでして。
そのため、TinkerBellの良さを備えた完全新作が待ち遠しかったところ、本作が出てきたというわけですね。

キャラの描写が薄く、エロシーンだけ濃くても、私からすれば、そのヒロインには何の想い入れもないわけですから、屠殺場の豚と何らかわりがありません。
キャラがしっかり描かれ、そのキャラに愛着が沸くからこそ、そのキャラが陵辱されることに対してショックや興奮等の感情が沸いてくるのです。
このキャラを描くという部分が、昔のTinkerBellの弱かったところであり、同時に、近年、最も成長している部分でもあるのでしょう。
本作においても、まずはベースとなるストーリーやキャラがしっかりと描かれています。
ヒロインも良いですが、主人公も好感が持てるので、読んでいて読みやすかったですね。

ところで、私は良く、自分の選択次第で、ハッピーにもバッドにもなれるところが、ゲームでしか味わえない魅力なのだと言っています。
本作でも、プレイヤーの選択次第で、一気にバッドエンドに直行する場面もあります。
最近、特に2024年は、選択肢すらない1本道のノベルゲーが増えています。
1本道は1本道で良いところもあるけれど、そういう作品が増えてくると、逆に本作のような、選択次第で結末がかわるという作品の存在が、相対的に浮かんでくるように思います。

選択次第でバッドにもなりうるという、ゲームならではの魅力も最低限見せつつも、本作は、まずストーリーとキャラをプレイヤーに見せてきます。
クリアした時は、一本の伝奇ものを読んだということで十分満足できるのですが、ここで終わると、TinkerBellのファンからすると、あれ、今回はエロは控えめなの?と思ってしまうことでしょう。

もちろん、本作はこのままでは終わりません。
本作は、メインルートをクリアした後に、凌辱ルートが解放されるのです。
決め球は最後に取っておくもの。
ストーリーやキャラの描写が良くなったとはいえ、TinkerBellの真骨頂はマニアックなエロです。
本作の場合は、スカトロと触手ですね。
しっかりとストーリーとキャラを見せつけ、プレイヤーに愛着を持たせたうえで、お得意のスカやハードなエロを大量に見せつけてくるわけです。
これは作品の魅せ方として、とても上手かったと思いますね。

また、あまりどぎついエロは無理というユーザーは、凌辱ルートをプレイしなければ良いわけですしね。
メインルートだけでも、ストーリーと適度なエロは堪能できるわけですし。
より過激なシーンを見るか否かもプレイヤーに委ねたのは良かったと思います。

<評価>

総合でも良作といえるでしょう。

ブランドの持つ魅力はそのままに、今回はゲームとしての構成が素晴らしかったと思います。
ゲームならではという魅力を表現しつつ、きちんとブランドの持ち味を効果的に示してきたわけで、普段私が文句を言いそうなところを、ことごとく回避してきたような作品でした。

本作はシリーズ作品ではないので、新規ユーザーでも入っていきやすいという意味でも、このような作品が出てきたことは大きいですね。

ランク:B(良作)

Last Updated on 2025-01-16 by katan

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