『ジャパンバッシング』は1992年にPC98用として、システムソフトから発売されました。
プレイヤーはアメリカ政府となり、外交によって日本を叩くという、この当時だからこそ発売しえた作品かもしれませんね。
<概要>
ゲームジャンルはターン制のSLGです。
その名の通りアメリカ政府による、ジャパンバッシング(日本叩き)をテーマにしています。
シナリオは入門、基本、本格という三段階で、計16本が用意されており、各シナリオごとに目的が設定されているのですが、中にはフリーシナリオも含まれています。
ゲームは1980年から1992年までであり、1ターンが1ヶ月になっています。
まずその月の状況が表示され、その中には実際にあった時事問題も含まれています。
各月で表示された問題の中から題材を選び、その題材に対して日本政府に様々な要求をしていきます。
そして経済状況や対日・対米感情を調整しながら、自国(アメリカ)に有利な関係を構築することを目指すのです。
時事を絡めリアルな政治・外交SLGっぽいようでもあり、単純に政治・外交SLGは絶対数が少ないことから、こうしたジャンルが好きな人にはたまらないでしょう。
ただ、一見すると硬派なSLGのようにも思えそうなのですが、アメリカが要求する無理難題は荒唐無稽なものが多く、かなり馬鹿ゲーっぽい雰囲気の作品だったりします。
島国根性を直すために日本人は小麦を食えだとか、日本のアニメは文化侵略であり改善しろとか、無茶苦茶な内容を日本政府に要求、時には首脳会談までも開催して押し付けるゲームですから。
例えば、上記のように報告や発言が幾つか出てきます。
ここでは日本のアニメに対する不満ですね。
そのような報告がまとめて提示されますので、その中から交渉の題材を選ぶことになります。
具体的な交渉画面はこんな感じ。
通常の会話から強硬な態度、或いは首脳会談など、幾つか段階があります。
題材的に非常に珍しいジャンルということに加え、癖の強い馬鹿ゲーテイストを満載しているわけですから、まさにオンリーワンの代替の利かない作品に仕上がっているのです。
感想
バブル景気の頃とか、とにかく対米貿易黒字が凄くて、日本は貿易黒字を減らせとか言われるのが日常茶飯事でした。
バブル経済自体は91年の2月に終了したとのことですが、ピークより下降に転じていたとはいえ、株価は今より高い状況でしたし、バブルがはじけたと言われても、それがすぐに認識として浸透するわけでもなく、本作の発売された92年には少しは浸透したかもしれないですが、どうせすぐ回復するのだろと軽く見ていた人も多かったのではないでしょうか。
私なんかも、バブルははじけたそうだけど、どうせすぐ景気が良くなるんでしょって感覚でしたし。
バブル期なんて知らないよという人も増えてそうですが、このブログで扱うことの多いアダルトゲームで例えると、2003年とか2004年とかその辺りになるのかなと。
その時期にはもう総売り上げ自体は下降方向に転じており、エロゲバブルのようなものもはじけていたんですけどね。
もっとも下降に転じただけであり、100から一気に0になるわけでもないですから、依然として高い数字は保っていましたし、今よりも売れていたわけですね。
そして、その当時を過ごすプレイヤーの多くは、自分が楽しんでいる時を衰退の始まりと思いたくないでしょう。
だから認識としては絶頂期と錯覚している人もいるかもしれませんが、上昇していたのが下降に転じた時点で既にはじけているのですよ。
だから90年代前半のバブルがはじけたのに、まだ大丈夫とか一時的な下降はすぐに回復すると思っていた層と、ゼロ年中期が最盛期と勘違いする層の姿がダブって見えるんですよね。
つまり、コアな人は2001・2002年頃には激しい危機感を感じており、2003・2004年には既に落ち目と把握していたはずですが、中にはこの時期が絶頂期と勘違いしている人もいるわけでしょ。
それと同じことで、92年には実際にはバブルがはじけているのだけれど、日本はまだ経済的に強く将来も明るいと考える人が多かった、はじけたはずなのにまだ強いといきがることができた、そんな時期だからこそ、ジャパンバッシングなどという皮肉な内容のゲームが出せたのでしょう。
まぁ今だと、違う国が対象になりそうですしw
エロゲにしてもバブル崩壊にしても、何年か経ってから本格的にヤバイと気付きだすんですよね。
少し余談が多くなりましたが、当時は単なる馬鹿ゲーとしか思わなかった、でも今になってみると、あの当時だからこそ出せたんだろうなと、そんな風に思えてしまうのも納得してもらえたでしょうか。
それを理解してもらいたくて余談が長くなったのですが。
<評価>
ゲームとしては、やや単調なところもありますし、個人的には良作にとどめておきます。
もっとも、そのオンリーワンの価値は減ることなく、おそらく今後もより一層輝き続けるわけでして。
その価値を加味するならば、名作と呼ばれても何ら違和感のない作品と言えるように思います。
興味のある方は98版を駿河屋辺りで購入するのも良いでしょうし、2013年にはEGGからダウンロード版も発売されましたからね。
そのため、一時期よりはプレイしやすくなっています。
時事も絡むので80年代~90年代前半を知らないと、ネタを知らないパロ作品のように楽しみ切れない部分もあるのかもしれませんが、それでも珍ゲー・奇ゲー好きなら今でも十分楽しめると思いますので、個性の強い作品が好きな人にはプレイしてもらいたい作品ですね。
ランク:B(良作)

Last Updated on 2024-08-29 by katan


コメント
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やりましたよ、これも。懐かしいなあ。
この頃のシステムソフトは、大戦略シリーズのヒットもあって野心的というか、色々なゲーム出してましたね。
ウリが大戦略しかないことに(天下統一シリーズもあったけど)危機感を持っていたのかも知れませんけど。
しかし当時としては(今でもそうか)意外なテーマだったし、かなりぶっ飛んだ内容だったので色物扱いだったなあ。
実際、あんまり売れなかったと思う。
でもバランス・オブ・パワーなんかも好きだった私は飛びつきましたね。
内容がちょっとバカゲー気味だったのが残念だったけど、BoPみたいなガチガチで地味なSLGにしてしまうことに躊躇があったのかなあ。
方向性を探っていたのかも知れませんね。
大戦略や信長シリーズのような戦術戦略戦争ものしかなかったSLGに、育成ものや経営ものが出始めた頃でした。
私は経済ものとか経営ものがやりたかったので、随分楽しみにしていた憶えがあります。
これをやるなら、いっそのこと政治SLGとか政治家育成ゲームみたいなのも欲しかったなあ。
アートディンクあたりがやってくれないかなと思ってたけど、現在に至るまでその手のソフトは出てませんね……。
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> やりましたよ、これも。懐かしいなあ。
> この頃のシステムソフトは、大戦略シリーズのヒットもあって野心的というか、色々なゲーム出してましたね。
私はSLGは光栄とかアートディンク贔屓なところがあって、
システムソフトのゲームはそれほどプレイしていなかったような。
一番の看板シリーズは誰に聞いても大戦略と答えるだろうし、
天下統一シリーズも有名でしたよね。
でも大戦略シリーズをあまりプレイしなかったこともあり、
それで全体的に縁は薄かったのかも。
もっともパズルトピアとかクリスタニアとかストラディアとか、
単発の作品には惹かれる作品もあり、時々手を出してました。
なので、主力作品より「色々な」ゲームの方に縁があった感じですね。
そういう意味では、単発で風変りな本作は私にとっては手を出しやすかったと。
でも私の興味とかを除いて考えれば、
システムソフトを支える一番のファンは色物よりも本格路線を好みそうだし、
本格外交SLGにした方が売れたかもしれませんね。
確か『選挙』ってそのままズバリの選挙ゲームとかも出していましたから、
本格的な政治SLGを作ることもできたでしょうに。
当時は育成SLGにどっぷりはまっていて、政治SLGに興味がなかったのですが、
数年後に無性に政治SLGがやってみたくなった時期もありましたし、
システムソフトの本格政治SLGも見てみたかったですね。