毎日がえっち

1990

『毎日がえっち』は1990年にPC98用として、ハート電子から発売されました。

おそらくアダルトゲームで最初に、時間の概念を導入した作品になるかと思います。

<余談>

『毎日が~』と言うと、私は、つい高田裕三さんの『毎日が日曜日』を思い出してしまいます。
私は凄く好きな漫画だったのですが、このブログを訪れる人で、どのくらいの人が知ってる人がいるんでしょうね。

ちなみに、『毎日が日曜日』のOVA版は、高田作品にしては唯一の例外で、ヒロインの声が林原めぐみさんではありませんでした。
これこそ、ヒロインの声は林原さんでやってもらいたかったわけで、その点はいまだに心残りだったりします。

<感想>

最初から脇道にそれてしまいましたが、この作品には全く関係ないので混乱させたらすみません。
本作は、端的に言えばナンパゲーになります。
主人公は1000人斬りを目指していて、これまでに986人を達成しています。
つまり、残りは14人というところからゲームが始まるわけですね。

ゲームジャンルはADVになるわけですが、大雑把には『同級生』とか『下級生』を連想してもらえば、それが一番手っ取り早いように思います。
つまり街の中を移動し、移動した先で女の子に出会ったらナンパするゲームなわけですね。
加えてゲーム内に時間の概念がありますので、行動により時間も進行していくのです。
一番の基礎となる部分という点からは、『同級生』とかと同じ路線なのですよ。

もちろん違う部分もあって、街の移動はコマンド選択式になります。
ヒロインとの会話とかもコマンド選択式なので、基本的にはコマンド選択式のADVに、時間の概念が加わったものと考えるのが妥当なのでしょうね。

ナンパゲーというと、もっと前には『TOKYOナンパストリート』がありますが、あちらはランダム性が強く、SLGの色合いも強いという中間的な構造になっていました。
それに対し本作の場合、ヒロインは固定された場所の固定された時間にいますし、そこでイベントとして用意されていますので、作りとしては完全にADVのものとなっています。
したがって、『同級生』の前身という観点で考えるならば、ナンパストリートよりむしろ本作の方に意味があるのでしょう。

かようにナンパADVとしては非常に珍しい位置づけの作品であり、場合によっては今の『同級生』の位置にあることも、十分に考えられた作品だと思います。
そもそも、時間の概念の導入がそれ程画期的なものならば、『同級生』が後に勝ち得た名声は、本作に注がれていたはずなのでしょう。
しかし、そこがハート電子クオリティってやつですね。
いつも目の付け所は良いのに、中身が全然伴っていないのですよ。

まぁ、『同級生』は他にも様々な要素が組み合わさっていましたし、ちょっと異常なくらいの作りこみもなされていたわけですが、何より後発の作品ですからね。
『同級生』よりあれが足りなかった、これが足りなかったと言うのは、間違いなくナンセンスというものでしょう。
発売時において優れていたと判断されれば、後世に名を残していたわけで、そうならなかったのは作品そのものにもっと問題があったからです。

具体的にみてみますと、固定された時間場所にキャラがいるのは良いのですが、それ以外の時間場所には人がいないのです。
プレイをしていて無駄足を踏むケースが非常に多く、やってて寂しいし物足りなく感じてしまうのです。
同級生系のような自由度の高いADVは、ある程度イベントが詰まっていないと楽しくなりません。
後に同級生系のゲームが幾つも作られますが、失敗する多くのケースはイベントが少なく展開が単調になるものです。
本作はそのような問題点をいち早く提示した作品とも言えるわけですね。

<評価>

総じて、ゲームとしては大して面白くはなかったのでしょう。
完成度で判断する人ならば、凡作と言われても仕方がないのかもしれません。

しかし、システム的には新鮮さもあったわけで、なるほどこのシステムにはこうした問題点があるのかとか、ここをこうすればもっと面白くなるのにとか、いろいろと提示してくれたことで個人的には元は取れたように思います。
そういうわけで、ギリギリ佳作とはしておきたいと思います。

いつものことではありますが、ハート電子作品は本当に発想は良いだけに、だからこそ余計に勿体無く感じるんですよね。

ランク:C(佳作)

Last Updated on 2024-07-11 by katan

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