『Alice (アリス)』は1991年にMAC用として、東芝EMIから発売されました。
後にHYBRID仕様のも発売されていますので、そちらではwindowsでも遊ぶことが出来ます。
画家である金子國義さんの世界をまるごとCDにおさめた作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはインタラクティブムービーになります。
本作は画家である金子國義さんの世界を、まるごとCDにおさめた作品です。
音楽には加藤和彦さんが加わり、制作には庄野晴彦さんが加わった作品でした。
<感想>
海外に『マンホール』や『スペースシップワーロック』があるなら、日本にだって『Alice』がある。
本作は、そう印象付けることが出来た、国産マルチメディア作品の先駆けと呼べるソフトでした。
近年はほとんど聞かれませんが、一時期は本当によくマルチメディアって言葉を聞いたものです。
そして、日本におけるCDを用いたマルチメディア作品は、この作品を機に進化していったと言って間違いないでしょう。
そういう意味では、国産のADV史を振り返る上では、外せない一本だったと言えると思います。
もちろん、そういう資料的価値だけではありません。
本作では金子國義さんの作品群が建造物の中に無数に配置され、独自の世界観がいかんなく表現されています。
ファンならぜひとも入手したい1本でしょうし、そうでなくても、その世界観にきっと魅了されることでしょう。
さて、先に言っておきますと、本作に対する私の評価は良作止まりに落ち着いています。
というのも、本作の最大の長所は、上記2点に集約されると思います。
ただ、資料的価値については、私は国産初という点だけではそれほど高得点にはなりません。
もちろん長所にはなるのですが、国産か外国産かというのは内部事情であって、プレイする方には関係ありませんからね。
それと、世界観に惹かれるか否かはどうしても主観面に依存しますが、私は別に金子國義さんの熱烈なファンってわけでもないんですよね。
なので、あまり大きな長所にも感じなかったのです。
加えて、ゲーム自体は結局、和製『マンホール』の域を出てなかったですしね。
したがって、私は『マンホール』程のインパクトを受けなかったのです。
それが、良作にとどまった最大の理由といえるでしょうか。
<評価>
作品の評価には一定の幅があると思います。
その幅からはみ出たものは論外だと思っていますが、
幅の範疇であれば最後は価値観次第で上下すると思います。
読んで分かるように、本作に関して私は、幅の下あたりに判断していると思います。
私の評価が下限で、他に資料的価値や金子國義さんの世界観にどれだけ価値を見出せるかで、人によっては十分名作と感じられるでしょう。
たとえば私が『ガラージュ』を手放せないのと同様に、ファンならきっと本作を手放せないでしょうね。
私の評価はどうであれ、それだけの魅力を持ち合わせた作品ではあったように思いますね。
ランク:B(良作)
Last Updated on 2024-05-06 by katan
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