麻呂の患者はガテン系2

2013

『麻呂の患者はガテン系2』は2013年にWIN用として、エルフから発売されました。

マー君が壊れた~w
そして面白さは更に増したものの、予想外の展開に・・・

<感想>

本作は、シリーズ2作目であり、前作の続きからとなりますので、必ず前作からプレイしてください。
前作未経験であれば、1と2がセットになった方が特典もついてお得です。

さて、前作は麻呂がガテン系の人妻である咲美を寝取るという、寝取りもの(NTL)であると同時に、各種診療などを通じて羞恥的な要素も多分に含んだ作品でもありました。
「ボクの彼女はガテン系~」が王道の寝取られもの(NTR)だったことから、NTRを期待した人も多かったと思います。
そう考えると、少し違った方向の作品と言えるのですが、NTLも羞恥も好きな私には非常に合う作品でもありました。

今作はNTRや寝取らせ(NTS)に比重を置いた作品ですので、前作の初代麻呂路線を望んだ人には少し物足りなさが残るかもしれませんが、多数派とも予想されるNTR路線を望んだ人には満足だったのではないかなと。
個人的には、続編ものの一番の難点は、新鮮さの消滅に伴うマンネリ感にあると思うのでね。
NTL+羞恥の前作と、NTR+NTSな今作という方向性の変化は、新鮮さも保ち続け決してマンネリに感じさせない点で良かったように思います。

まぁ欲を言うのなら、新キャラをネチネチ攻める診療シーンがあれば、両方楽しめてもっと良かったのですけどね。
テーマという観点からは余計なものは削るべきなのだろうけれど、ゲームとしては多方面にいろいろ遊び心があった方が楽しめると思うし、私は後者の観点を重視するタイプでもありますから。

このシリーズの一番の魅力は、キャラや人間関係・距離感にあると思うわけでして。
特に主人公の麻呂とメインヒロインである咲美の距離感が最高なんですよね。
前作では麻呂が医者であり被害者でもあるという上の立場でもあったのですが、今作では被害者側と加害者側が入れ替わっています。
ブレーキとなる負い目がなくなったことで、咲美の魅力がより一層引き出されていますし、麻呂も低い立場の方がしっくりくる感じで、全体的に前作以上にキャラの魅力が引き出されていますね。
二人の距離が少しずつ縮まっていく感じも良かったですし、普段はヘタレっぽいのに決めるところは決める麻呂の格好良さもあるわけで、キャラやテキストからくる主観的好みだけで答えるならば、土天冥海さんの作品の中でも最も好きかもしれません。
一時期衰えてきたかと危惧した時期もありましたが、完全に戻っていますね。

それから毎回書いているようにも思うのですが、苦痛に思うことなく一気にテキストを読めるって最高です。
私の場合、最近は大抵のノベルゲーで途中でだれてきたり、そもそも序盤の日常部分でひっかかり盛り上がる部分まで我慢とかってなり、でもそれは自分が飽きてきたからかもと言い聞かせてプレイしているのですが、本作をプレイしていると自分が飽きたのではなく、面白い作品はやっぱりだれずに一気にやれるのだと思ってしまいます。
本作はテキストの分量自体はあまりありません。
クリアに要する時間が少ないので、何時間以上でなきゃ駄目って言うタイプの人だと、今作も少し物足りなく感じてしまうでしょう。
しかし、だらだらと無駄な日常シーンを読まされるくらいなら、短くても凝縮した方が良いですし、そもそも日常シーンなんてキャラの個性を把握させる役割なのですから、上手いライターが短い量できちんとキャラを表現できるのなら、短くても構わないのでしょう。
何時間も共通パートをやって、それでもキャラが入ってこない作品もあるだけに、短時間で鮮明にキャラの魅力を見せつけた本作は、むしろ評価されるべきでしょうね。

<ストーリー>

内容面で言いますと、上記のように今回は寝取らせでもあります。
というのも、咲美の旦那のマー君が前作最後の寝取られシーンで起きていたようで、そこで寝取られる快感に目覚めてしまいますw
それで麻呂に寝取らせようとしたり、他の第三者に寝取らせようとします。
マー君、完全に壊れてしまっていますw
NTSも難しいもので、ヒロイン主導で完全にその気になっていると、そもそも単なる浮気であり寝取らせが成立しないようなケースもあります。
本作は麻呂にけしかける場面では咲美の心はマー君にありますし、間男にけしかける場面でもその間男に心が向いているわけではないので、問題なく楽しめました。

NTRとしては、どこに重点を置くかで変わってくるのかなと。
ヒロインの心が間男に移っていく過程であるとか、堕ちていく過程が好きという人も多いと思います。
そういう観点からは、間男に咲美はなびかないですし、堕ちていく過程なんてのもありませんから、NTRとしては弱いと感じるでしょう。
もしそういう部分にだけ興味があるのならば、そもそも本作がNTRとも思えない可能性もありますし、他のNTR作品の方が楽しめるように思います。

他方でNTRの最初期の頃って、恋人とか想っている人が犯られているシーンでの衝撃や、主人公とプレイヤーの同化とか、そういう部分が重視されていたように思うし、そういうのが好きって人もいると思うんですよね。
ぶっちゃけ、私のことでもあるのですが。

そういう人からすると、堕ちていく過程って、実はそれほど大きなウェイトを占めないのですよ。
最近の陵辱系作品のヒロインとか、最近のNTR作品のヒロインとか、もう最初から第三者に犯されるのが前提になってしまっていて、酷い言い方をすれば屠殺場の豚みたいなんですもん。
いくら堕ちる過程が丁寧だと言われても、それは解体処理の工程をじっくり見せているだけであり、いまいちグッとこないわけでして。
何とも思わない女性なら、それこそ濃厚な濡れ場でもなければ興奮できません。
しかし自分が好きで好きでたまらない女優やアイドルならば、キスシーン1つでも衝撃を受けたりするわけでして。
最近のエロゲは解体処理の小手先の技術は進化しているものの、肝心の素材作りが適当なのだよなと不満に思ってしまうのです。

本作は咲美が間男に襲われるシーンよりも、麻呂との交流を通じて咲美の魅力を引き出す点に分量が割かれています。
何かもう咲美が良い女すぎてね、今年はもちろんのこと、ここ数年でも最も印象的なヒロインかもしれません。
そして、そういう風にプレイヤーに思わせることに成功したら、もうライターの勝ちなんですよね。
咲美がピンチだという場面では、自分も麻呂と一体になっていましたし。
マー君視点では寝取らせなのだけれど、麻呂やそれと同化したプレイヤーとしては、旦那でもない麻呂でもない赤の他人に好き放題されるのは辛いわけで、十分に寝取られになっているのです。
そして、僅かなシーンでも言いようのない衝撃を受けてしまうと。上記のように見方次第でもありますので、これは寝取られの範疇に含まれないという考え方も当然あるでしょう。
しかし個人的には、ここ数年のどのNTRものよりも興奮したように思いますし、多数でなくとも同様に感じる人もいると思うのですけどね。

付け加えると、新たに出てきた間男の描写が薄いので、たぶん過程とか丁寧にと思う人には、そこが不満に感じると思います。
他方で、前作から麻呂は少しずつ咲美との距離を縮めてきたわけですからね。
そのこれまでの長い積み重ねを一瞬にして踏みにじるには、どこの馬の骨とも分からない第三者に理不尽にされた方が有効なのでしょう。
旦那のような正当な立場であったり、麻呂以上に咲美との信頼感があるキャラであれば、咲美を取られてもある意味仕方ないのかなと思ってしまいます。
でも、ポッと出の馬の骨にやられるからこそ、余計にも麻呂と咲美のこれまでが全て否定されたような気にさせられるのです。
そして相手が馬の骨でしかないことから、咲美の心がこの時点で最も関係の濃い麻呂にあることも自然に感じられ、咲美が朦朧とした中で麻呂を呼ぶことで更に、ここまでの二人の積み重ねられた信頼関係が浮かばれるのでしょうね。
どこに重点を置くかで感じ方も変わると思うので正解はないのでしょうが、私のようなシーンの重さを重視する場合には、ここは描写の薄い下衆な馬の骨程度でむしろ良かったように思います。
上記のように、そもそも今作は堕ちる過程を描いた作品ではないので、ここで馬の骨の描写だけ細かくても、かえって作品の方向性がぶれただけでしょうから。

繰り返しにもなりますけどね、今回はNTR重視になったとは言いつつも、現在の王道的NTRを地で行った「ボクの~」とは方向性が異なります。
だから「ボクの~」的なものを期待すると、あまり楽しめないのかなと。
ただ王道的NTRなら他社もたくさん作っていますし、「ボクの~」でやったことを繰り返しても仕方ないですからね。
一概にNTRと言っても人により求める部分は異なるわけで、「ボクの~」が王道の直球過ぎて物足りなくも感じた、私みたいなタイプにも対応するNTRも作れることは、ライターの引き出しの多さも感じられて良かったと思います。

かように咲美中心で進行しますので、新キャラは割合的には少なめです。
新キャラの雪奈にも寝取られがありますし、エロシーンとかは濃いのですけれどね。
エロ的には期待できても、あまりシナリオは期待しない方が良いのかなと。
咲美はNTR+NTSで構わないから、その分こっちを前作みたいにNTL+羞恥にすれば、バランスも良かったのですけどね。

<グラフィック>

作品自体が途中で終わったとしても価格に対する十分な量が備わっていれば、不満よりも満足感の方が勝りやすいでしょう。
私は前作もそれなりに楽しんだし、特にキャラは大好きなのですが、それでも評価が伸び悩んだ最大の要因は、客観的に示せる部分のもの足りなさにありました。
つまりテキストの分量であるとか、CGの枚数であるとか、誰にでも共通する部分が標準より少ないことが物足りなさにつながったわけです。

前作の基本CG枚数は30枚でしたが、今作は43枚に増えています。
単純に計算して1.4倍になっていますが、3400円という価格からも、これなら満足感の方が上回るのではないかと。

また、前作は本番シーンが2つしかなく、加えてシチュ的には個人的には笑えて新鮮だったものの、抜けるかというエロさの観点からは微妙でもありました。
今作は本番シーンが数え方にもよるものの、8~9と格段に増えています。
個々のシーンについても、咲美の騎乗位など、1シーンにおけるエロさも上昇しています。
前作でエロに疑問を抱いていた人でも、今作なら満足できるのではないでしょうか。

Hシーンでの特徴でもあるAEアニメ。
前作は枠が24であったのに対し、今作は数え方にもよりますが20~21となっています。
もっとも、前作は似たような構図、つまり差分違い程度のものも幾つかあったので、実質的なシーン数は、むしろ増えたように思います。

アニメ・CG通じて思ったことですが、今作は塗りが良かったなと。
妙に艶かしくて、冒頭での手コキシーンでの咲美の顔を見ているだけでも、満足してきましたからね。
余談ですが、冒頭での高速手コキは見ているだけで痛そうでしたw

懸念材料でもあった分量面もクリアされ、総じてグラフィック面は大きく進歩したように思います。

<ゲームデザイン>

ジャンルはノベル系のADVです。

前作は選択肢を誤るとすぐにBADENDに直行することも多かったのですが、今作は少し続いてからのENDになりますので、即BADが嫌な人でも大丈夫なのかなと。

その分だけ前作よりも難易度が上昇したのですが、好意的に答え続けて詰まったら、今度は否定的に答え続けるなど、極端に態度を変えていれば良いので、攻略自体は優しい方になるように思います。

<評価>

というわけで、満足度はかなり高かったのですが、上記のように完結しません。
次が12月くらいであれば、ちょうど年内に終わって良い感じなのですが、ここにきて4作目まで続いてしまうのではという懸念も出てきています。
まぁ人によっては長く楽しめて良いと考える人もいるでしょうけれど。
一応次回に続くのが正史なのでしょうが、今作は麻呂と咲美が結ばれるハッピーなENDもあります。
あぁもうなんかこれが正史で良いような気がしてきたw
前作と異なり寝取りものとしての側面は弱いものの、ヒロインとくっつくENDがあれば、それで寝取りものとしては成就したと言えますし。
麻呂と咲美が結ばれてハッピー、次作はifの世界だくらいに思った方が、精神的には良いのかも。
っていうか、咲美が他の男の毒牙にかかるのはもう見たくないのでね。
二人のイチャラブなら大歓迎ですが。

前作より各段に進歩したものの、それでも客観的に示しうるボリューム面、特にテキスト量からくるプレイ時間では短めに感じてしまいますし、加えて、おもいっきり話の途中でブツっと終わってしまいますので、中々名作とは言い切れない作品なんですよね。
特に事前の予告もなく続編、続編と続いていってしまうのは、あまり良いこととは思えませんし。
まぁ1&2でセット版を名作扱いでも構わないのかもしれませんが、そもそもセット版にだけ特典があるのは気に入りませんしね。
だから一応良作としておきますが、名作に近い良作ではあるし、主観的にはライターの過去の名作扱い作品よりも上なくらい、とても好きな作品でもありました。

ランク:B(良作)


Last Updated on 2024-11-03 by katan

コメント

  1. SECRET: 0
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    麻呂と咲美の距離感が絶妙で二人の日常シーンの描写だけでも楽しめますね。
    マー君公認となりましたしこのまま二人がくっ付かないまま
    毎回新キャラが追加されていってシリーズ化というのも楽しめる気がしなくとも。
    コンパクトではありますが漸くエルフらしい作品が一つ生み出されたので長く楽しめるものになってほしいなと。
    欲をいえばメインとなるタイトルが年に一つくらい出て『麻呂の患者はガテン系』シリーズがその間に出されるのが
    望ましくは思えますが。
    アリスソフトがランス01リメイクでシナリオライター(いってんろく)と原画(魚介)の個々の制作力強化を図ろうとしている一方で
    エルフは長らく原画とシナリオの外注スタッフ頼りでの開発が続いていますので
    土天冥海と市川小紗のコンビだけでなく新たなスタッフ、主に原画とシナリオを新キャラ担当に模索するのも有りなのではと。
    『麻呂の患者はガテン系』の原画は坂上海→市川小紗ときて恐らく次は門井亜矢なので新規ゲストスタッフを起用する可能性は少なそうですが。

  2. SECRET: 0
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    > コンパクトではありますが漸くエルフらしい作品が一つ生み出されたので長く楽しめるものになってほしいなと。
    今回だけでも上手くまとめられたはずなのに、あえて続く道を選んだわけですから、どこに着地点を持っていくのか気になりますし、良い印象のまま続いて欲しいですね。
    土天冥海&市川小紗コンビの作品はどれも好きですが、この路線ばかりではファンが増えるとも思えないので、他のスタッフが増えることは私も望みたいところですね。

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