『赫炎のインガノック -What a beautiful people-』は2007年にWIN用として、ライアーソフトから発売されました。
スチームパンクシリーズ第2弾になります。
OPのインパクトが強い作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
――誰かが夢見た世界。
――いつか夢見た世界。
――けれど、こんなにも猥雑で、残酷で、憂いに満ちて、眩しいほどに輝いて――
幻想生物が闊歩し、蒸気機関文明が異形と化した「インガノック」。
かつて完全環境都市であったそこは、‘復活’と呼ばれる異常現象により、人、木、大空、太陽でさえ、都市の全てを歪ませた。
それは10年たった今でも決して癒されることはなく、特に100万を超す人口がいた都市下層は、存在しないハズの異形と奇病、暴力的な機関技術に満ち溢れていた……。
――弱者絶滅を謳う上層貴族が定めた‘死の都市法’を無視し、下層の人々を診療し続ける巡回医師・ギー(主人公)は、10年前に失ったものが何であるかを確かめるように、歩き続ける。
両手からこぼれ落ちていく無数の命を見つめながら、昨日も、今日も、明日も……。
そして、運命に導かれるかのように二人に出会う。
一人は、人が忘れた‘笑顔’を絶やさぬ黒の少女・キーア。
一人は、万色に変化する‘おとぎ話’の鋼の人影・奇械。
二人との出会いは、ギーに新たな物語をもたらし……。
<感想>
桜井光さんが手がけるスチームパンクシリーズの第2弾になります。
前作をしっていると世界観に深みは感じられるものの、直接にはつながっていないので、本作からのプレイでも何ら支障はないでしょう。
このゲームの一番の魅力は、何といってもOPでしょうね。
発売前から一体何回見たことやら。
全てがここに凝縮されているかのようです。
ゲームを買うかどうかは別として、少なくともOPだけは必見でしょうね。
さて、OPでの掴みは最高だった本作、決してそれだけではなく、ゲーム全般を通じてもグラフィックとサウンドはとても良かったです。
グラフィックは、やや癖がある独特な絵柄かとは思いますが、ゲームの世界観も独特ですからね。
グラフィック・サウンド・世界観が一体となって、本作だけの素晴らしい雰囲気を醸し出していました。
よく雰囲気が良い作品って言われるのがありますが、これなんかはまさにピッタリ当てはまる気がしますね。
どんな作品というのを説明するのが難しい面もあるのですが、まずは雰囲気を楽しむ作品ですので、己の感性が一番の頼りです。
OPデモを見て何か惹かれるものがあれば、おそらく楽しめるでしょう。
ただ雰囲気は最高なのですが、ストーリー自体はわりと普通だったかと思います。
いろいろ考えられているし決して悪くはないのですが、今ひとつ強烈に惹かれる要素がないんですよね。
結局、ストーリー自体は普通で、グラフィックやサウンドで大幅にポイントを稼いだって感じでしょうか。
ゲームとは全然関係ないのですが、本作をプレイしていて、ふとアニメの『天空のエスカフローネ』を思い出しました。
あれなんかもストーリーの本筋は普通なんですよね。
ただ、背景となる世界観は良く練られていて、そしてそれ以上にグラフィックとサウンドがずば抜けていました。
私の周りではストーリー:B級、グラフィック:A級、サウンド:特A級って言われていましたっけ。
本作は、何となくベクトルみたいなのが似ているんですよね。
<評価>
総合ではギリギリ名作とします。
本当にストーリーだけを重視する人には、本作はそれ程でもないかもしれません。
テキストも格別上手いとも思いませんでしたし。
しかしながら、絵や音と世界観、或いはそれらの一体感みたいなものを総合的に判断する人であれば、本作はきっと楽しめるのではないでしょうか。
ライアーには『腐り姫』(2002年)という名作がありましたが、以後の作品は、どれも『腐り姫』より見劣りしていました。
しかし、久しぶりにライアーから面白いと言える作品が出てきたわけでして。
もともと個性的な作品が多いブランドではありましたが、完成度以上に今後も期待したいと思わせてくれる作品でしたし、本作以降、ライアーソフトは、私にとって要注目のブランドとなっていきました。
ランク:A-(名作)
Last Updated on 2024-07-22 by katan
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