フォアフラッシュ (Four Flush)

1993

『フォアフラッシュ』は1993年にPC98用として、
AGUMIX(アグミックス)から発売されました。

多くの要素で工夫が凝らされており、全体的によくできた作品でしたね。

<ゲームデザイン>

ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。

もっとも、本作の場合、一般的なコマンド選択式ADVにあるような、「みる」「きく」といった汎用のコマンドはありません。
今のノベル系ADVのように、文章の形で表示され、そこから選ぶタイプになっています。
そのため、画面上からは今のノベルゲームとの違いはありません。

システムの構造からは、本作はノベルゲームではなく、コマンド選択式と考えるべきなのでしょう。
また、やっていることは従来のコマンド選択式と同じと言ってしまえばそれまでですが、その場その場に適した形でコマンドが表現されますので、通常のコマンド選択式よりは自然な感覚で楽しめました。
こうした作品に応じて工夫する姿勢は好印象です。

<感想>

物語の舞台は22世紀で、主人公は暗殺組織団に所属しております。
ストーリーのジャンルとしては、近未来風ハードボイルドといったところでしょうか。
当時はあまり好きではない設定でしたので、細かい内容はもうあまり覚えていませんが、水準以上は保っていたかと思います。
このゲームの場合、ストーリーそのものよりも、その見せ方が上手かったと言うべきでしょうね。

原画は、よしだけいさん。
アグミックスは人気のある漫画家を起用することが多かったのですが、本作もその路線を踏襲しています。
私はファンとかではなかったので、普通かなって程度の印象でしたが、ファンならもっとポイントは高くなるのでしょう。
殺しのシーンがちょっときつめだったので、スプラッターなシーンが好きならば、より一層楽しめるかもしれません。

サウンドも良好で、物語を上手く盛り上げていました。
冒頭では、その良質なサウンドにあわせて、アニメーションが挿入されていましたので、それで一気に物語に引き込まれた感じでしたね。

こういうのをやっていると、近年のノベルゲームよりも、この頃のADVの方が少なくとも導入部分に関しては上手いような気がします。
容量に限りがあった分、無駄な要素が排除され、ポンポンと進んでいきますからね。
最後までやってみなければ面白さが分からないなんてのは、基本的に言い訳なんだと思うわけでして。
本当に面白い作品というのは、序盤からプレイヤーを引き込んでくれる作品だと思うのですよ。

<評価>

総じて、良くできた典型的な良作といったところでしょうか。

特に目新しい強烈な要素もないのですが、グラフィック・サウンド・システム等、どれも一工夫がなされていましたからね。
多くの人が満足できる内容は有していたと思います。
私はファンと言うほど好きな漫画家さんではないのですが、原画のファンなら名作に感じる人もいるかもしれませんね。

ランク:B-(良作)


Last Updated on 2024-05-06 by katan

コメント

  1. おはようございます。
    katanさんのブログの記事がまた見れること、こんなに幸せなことはありません。

    私は、katanさんのゲーム記事は勿論、お勧めされる漫画やアニメの記事も好きです。
    最新のドラマについての記事も興味深く読ませて頂きました。
    katanさんが今までの人生で触れられた作品を知ることができて嬉しいです。
    私も、紹介して頂いた作品に触れ、自分の知識を深めていきたいです。

    アグミックスの作品はまだ『イーリス亭小夜曲』しか触れていないのですが、
    キャラクターの原画も可愛らしく、ゲームの方も楽しめました。
    『フォアフラッシュ』も脚本が菅沼恭司さんが手掛けられているという情報を見ました。
    いつか、私もこの作品をプレイしてみようと思います。

  2. >メガドラさん

    私は昔、誰がテキストを書いているか無頓着だったので気にしていなかったのですが、『フォアフラッシュ』もそうだったんですね。
    特にアグミックスの場合、原画に漫画家の誰々を起用したとか、そういう売り方の作品が多かったので、どうしても原画に目が行きがちでしたね。

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