ZORK NEMESIS (ゾーク・ネメシス)

1996

『ZORK NEMESIS (ゾーク・ネメシス)』は1996年にWIN用として、アクティビジョン・ジャパンから発売されました。

オリジナルの『ZORK NEMESIS』も96年なので、世界レベルでの発売を視野に、すぐに移植された作品と言えるでしょう。

<概要>

世界最古の商業ADVとして有名なゾークシリーズ。
当初のZORKはコマンド入力式のテキストADVであり、80年代を中心に数作が発売されました。

それから6年が経ち、93年に『Return to Zork』が発売されました。
そして『Return to Zork』 からジャンルがインタラクティブムービー、ないしMYST系ADVになりました。
本作は『Return to Zork』 の次に発売された作品であり、同様にMYST系のADVとなります。

なお、シリーズとは言え、作品間につながりはありませんし、後述するように、本作はシリーズの中でも異色な存在なので、シリーズ他作品をプレイしていなくても全く問題ありません。

<グラフィック>

マルチメディア云々といった言葉が巷に溢れかえり、CDが普及してWINDOWSも普及しだした頃。
それまではゲームとは縁のなかった人たちも、様々な可能性を求めてゲーム市場に挑戦してきました。
そしてその中には、ハリウッドで映画やドラマを製作している、若手達の姿もありました。

本作に参加しているメンバーの中にも、ジョー・ナポリターノやマウロ・ボレッリという名前があります。
詳しい経歴は説明書に書いてあるのですが、ちょっと見つからないのですみません。
『X-FILE』の映像にかかわっているとか、そういう人たちです。

どんな分野でもそうですが、優れた人材が集まることが発展にもつながるのでしょう。
ADVは、特に国内のADVなんかは、今は優れた人材が他分野に流出するばかりであり、他分野からADVを作ろうと参入する人はいないですからね。
それが何とも残念な状況でもあるのですが、とりあえず海外の90年代のADV事情としては、こうした新しい才能が加わることによって、飛躍的に進化していったのだと思います。

映像の専門家が歴史あるシリーズの最新作に挑んだだけあり、本作には美麗なCGが多数存在します。
しかし、単にCGが綺麗なだけではありません。
本作は何と、水平360度パノラマ映像だったのです。
最高レベルのCGなだけでなく、その映像でシームレスに360度グルリと見渡せたんですね。

当時におけるインパクトは凄かったし、その世界にいるんだなって臨場感は抜群でした。
この360度パノラマ映像は、確か業界初だったとのことです。
パッケージにそう書いてありましたし、私の記憶としても、初めての経験でした。
それだけに、衝撃が大きかったのです。

この後、ADV業界は飛躍的に進化していきます。
翌年には全方向360度パノラマ映像も出現しますしね。
そのため、本作の特徴の持続時間はとても短かったと言えるでしょうし、今となっては本作の最大の魅力が認識してもらえないかもしれません。

しかしながら、業界初の偉業に間違いはありません。
私が当時受けた衝撃だって、後の作品に影響を受けるものではありません。
このゲームから受けたグラフィックのインパクトは、私にとってはFF7以上だったのです。

<感想>

さて、古くからのPCのADVファンならば、ZORKの名前を知らない人はいないでしょう。
何と言っても、テキストADVの基礎を作った作品ですからね。
その後も何作も出ていますし。

そのテキストADVの代名詞的存在でもあるZORKシリーズですが、上記のとおり『Return to Zork』からシステムが一新されます。
本作もその流れをうけてまして、インタラクティブムービーというか、MYST系のADVになっています。
テキストADVではないので、従来からのファンにはどうなのかという問題はあるでしょう。

また、ZORKシリーズの世界観って、どこか不条理というか、微妙に馬鹿ゲーっぽい雰囲気があるんですよね。
それに比べ、本作は寺院を舞台としつつ、荘厳な雰囲気を醸し出しています。
その雰囲気の違いがZORKっぽくないため、これまた従来のファンの中には抵抗のある人もいたでしょうね。

もっとも、そうした抵抗がない場合には本作は秀逸でした。
このZORKっぽくない雰囲気は、逆に単品としての完成度や独自性を感じさせてくれますし、荘厳な独特の雰囲気自体も個人的には好きでしたね。
こういう雰囲気のゲームは、他では意外と見かけない気がしますし、本作の大きな魅力と言えるでしょう。

また、MYST系ADVとして見た場合でも、パズルの出来が他のMYST系より優れていました。
まぁ、本家『MYST』には及びませんが、それはどのMYST系も同じですし、それら同系統の作品の中では優れていた方ということですね。

ちなみに、本作には攻略本が付属してくるので、謎解きに自信がない人でもクリアはできます。
攻略本が付属するというのも珍しいように思いますが、謎解きよりも、360度パノラマ映像を堪能してもらいたいという意識の方が強かったということですかね。

<評価>

『MYST』のヒットにより、MYST系ADVは一杯発売されました。
そんな中にあっても本作は、本家を除くMYST系の中でもかなり上位に位置すると思われます。
加えて日本語化された作品となると、更にその数は絞られますからね。
そういう意味では、MYST系のADVをプレイしたいって人には、本作は間違いなくオススメの1本だと思いますね。

ランク:A(名作)


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Last Updated on 2024-11-17 by katan

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