こうかん日記 第II章 ~聖夜をあなたと~

1995

『こうかん日記 第II章 ~聖夜をあなたと~』は、1995年にPC98用として、フェアリーダストから発売されました。
94年に発売された『こうかん日記』に続く、シリーズ2作目。
ほぼすべての面でハイレベルな優れた恋愛ゲーでしたね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

具体的には、簡易マップ上から移動先を選び、たまに出てくる選択肢を選びながら進めていくことになります。
ヒロインは前作より減って7人となっているうえ、最初の選択肢で喫茶店と予備校のどちらかを選ぶかで、選べるメインヒロインもかわってきます。

<感想>

本作はシリーズ2作目となりますが、前作とのつながりはありませんので、本作からのプレイでも特に支障はありません。
もっとも、前作のセーブデータがあると、一部イベントが加わりますので、可能であれば、前作からプレイした方が良いかもしれませんね。

本作を語るうえで、まず注目すべきはグラフィックになるのでしょう。
原画は前作から変更になりました。
前作の原画は、上手いなと思わせる原画でしたし、オタクより一般受けしそうな絵柄でもありました。
そのため、前作のキャラが大好きな人ほど、本作のキャラに違和感があるかもしれません。
ただ、本作のキャラも凄く可愛くて、二次オタ受けという観点からは、前作より本作の方が上ではないかと個人的には思います。
PC98の中でも、ヒロインの可愛さはトップクラスではないでしょうか。

また、単に可愛いだけでなく、一枚絵ではきちんとシーンが描かれていますし、必要に応じて、当時流行していたスクロールCGがあったりする点も、好印象と言えるでしょう。

本作は、ヒロインが可愛いだけではありません。
この作品、きちんと目パチ口パクがあるんですよね。
また、立ち絵だけでなく、一枚絵でも目パチ口パクがあります。
最近のエロゲでも、また目パチ口パクのある作品が増えてきていますが、相変わらず一枚絵では目パチ口パクがなくなる作品がほとんどです。
大事なシーンで一枚絵(イベントCG)が使われるわけですから、その大事な場面で急に目パチ口パクがなくなるというのは、とても不自然だと思いますし、私には理解ができかねます。
昔と違って今のエロゲは音声がついているわけですから、立ち絵だけでなく、一枚絵にもきちんと目パチ口パクを用意してほしいです。
本作は95年の作品なので、音声はまだ付いていないのですが、この一枚絵でも目パチ口パクがあるというのは、とても好印象です。

また、この作品、ちょっとしたところに工夫が凝らされていたり、小粋な演出がなされていたりするわけでして。
雪の降る演出とか、おぉ~っと思わされます。
(某作品で雨の降る演出が評価されていましたが、本作はそれより何年も前の作品ですしね。)

グラフィックだけでなく、サウンドも良かったです。
私はあまりサウンドにはこだわらない方ではありますが、MIDI音源のサウンドは、サウンドにこだわる人ほど好印象になるでしょう。

ストーリーに関しては、簡単に言ってしまえば恋愛ゲーになります。
主人公は大学生なので、高校生主人公ばかりの今のエロゲとは、その辺が少し異なっているといえるでしょうか。
主人公が大学生ということが関係していのかどうかはわかりませんが、本作に関しては、主人公に好感が持てるのが個人的には大きいです。
基本的にはヒロインらに振り回されているのですが、要所要所でしっかりしめているというか、良い言動があったりするわけで、人として、これならヒロインが主人公に好意を抱くのも納得というものです。

まぁ、実はこの辺は、当時の私はあまり意識していなかったように思います。
ただ、長年エロゲや恋愛ゲーをプレイしていると、何でこの主人公がもてるのかわからないという作品が増えてきました。
三角関係を扱った作品で、重い展開に胃が痛くなるという噂の作品とかでも、いや、そもそもこの主人公にそこまでの価値はないだろと思ったりすると、どうしても作品に共感ができなくなってしまいます。
たくさんのヒロインにもてる主人公は、その設定に説得力やリアリティを出すためには、それだけ魅力的に描かれるべきだと思います。
しかし、日本の恋愛ゲーの場合、恋愛SLGブームとかもあって、その時は主人公はプレイヤーの分身ということもあってか、主人公が無個性だったり魅力があまり描かれないことが多く、それがノベルゲー主流時代になっても、悪い意味で継承された感があります。
いずれにしても、主人公に魅力を見出せない作品も多いだけに、余計にも本作の存在が浮かび上がってくるのでしょう。

<評価>

様々なジャンルの作品が出てきた95年において、本作は派手さには欠けているのかもしれません。
そのため、プレイ当時の印象でいうならば、良作相当だったでしょう。
しかし、後から客観的に冷静に振り返ろうとすればするほど、やっぱり本作は良くできていると思うわけでして。
終盤のバランスの問題等から、傑作とまではいかないのでしょうが、それでも十分名作と呼べるのではないでしょうか。
少なくとも、PC98時代の恋愛ゲーとしては、プレイすべき1本といえるように思いますね。

ランク:A-(名作)


Last Updated on 2024-11-02 by katan

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