るいは智を呼ぶ

2008

『るいは智を呼ぶ』は2008年にWIN用として、暁WORKSから発売されました。

女装ものの代表作であり、同ブランドの代表作になります。
個人的には、多くの個性的なキャラの掛け合いが楽しい作品でした。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
「おはようございます、和久津さま。キスしてよろしいですか?」
「だめ」これが三日前。平穏無事な朝、同級生とのたわいもない日常。
「いくわよ、いいわね、気合いを入れて!」「物事は精神論より現実主義で!」
その三日後。燃えるビルの屋上からダイブして、都市伝説の黒いライダーに追いかけられた。
運命はいつだって問答無用にやってくる。自分たちをお構いなしに自分勝手に巡っていく。
皆元るいは、家なし子だった。花城花鶏は、奪われたものを取り返すためにやってきた。
鳴滝こよりは、消えた婚約者を探していた。茅場茜子は、父の不始末のとばっちりを受けていた。
白鞘伊代は、ひとりぼっちだった。そして。猫かぶりの優等生、和久津智は断末魔だった。
智には痣がある。宿命のような運命のような、烙印めいた小さな痣だ。
その痣は、きっと昔から、ろくでもない先行きを予告していたのだろう。
死んだ母から手紙が届いて以来、地雷原に迷い込んだように引きも切らずトラブルが押しかける。
宿命のように運命のように、涙目の智が出会った少女たちの身体には、智と同じ形の痣があった。
言語道断な呪われた青春と対峙するために、一心でもなく同体でもない、六人の少女が同盟を結ぶ。
「つまり、これは同盟だ。破られない契約、裏切られない誓約、あるいは互いを縛る制約でもある。
利害の一致だ。利用の関係だ。
気に入らないところに目をつぶり、相手の秀でている部分の力を借りる。
誰かの失敗をフォローして、自分の勝ち得たものを分け与える」
「誰かのためじゃなく自分のために、自身のために」「僕たちはひとつの‘群れ’になる。
群れはお互いを守るためのものなんだ」
いつか来る平穏無事な日々を夢見て、全身全霊で疾走するでこぼこだらけの少女たちは、いつしか固い絆で結ばれていく。
けれど。和久津智は仲間にもいえない秘密を隠し持っていた。彼女は「男の子」だったのだ――。

<感想>

個別ルートに入るための選択肢はありますが、基本的にほとんど読んでいるだけですね。
最初と最後が固定ルートということもあり、実質的には1本道の読み物的感覚で良いのではないでしょうか。

ストーリー的には、一応は主人公が女装している、いわゆる女装ものになるのでしょうか。
何故主人公が女装しなければならないかも説明されていますし、そういう意味では設定に必然性もあると言えるかと思います。
ただ、設定に必然性があるからといって、必ずしもそれが魅力に直結しないわけでして。
女装ものではあるのですが、女装もの故の面白さや魅力というものは、この作品からはあまり伝わってこなかったように思います。
この部分がもう少しこちらに伝わってくれば、それだけで名作足りえたでしょうし、他の部分も加味すれば傑作評価にまでなりえただけに、少しもったいなかったですね。

かように女装ものとしては若干の不満もあるわけですが、作品自体は私はかなり楽しめました。
本作は女装ものの魅力とは何ぞやって考えるよりもむしろ、女6人(1人は当然男性ですが)の絆を深めるドラマと考えた方が、素直に楽しめるのかもしれません。

本作はハッキリ言って、あまりストーリーを楽しむという類の作品ではないでしょう。
しっかりしたストーリーにより展開が進むというのではなく、6人の女の子らの掛け合いによってゲームの大部分が進行します。
それ故に、この掛け合いが楽しめるかで、ゲームに対する印象がほとんど決まるように思うのです。

良く言えばウィットに富んでいる、悪く言えば言葉遊びが過ぎた6人の会話は、その独特な雰囲気故に人を選ぶのかもしれません。
幸いにも私には、無駄にハイテンションなこういう流れが合ったようで、十分に楽しめました。
でも、厳密に見れば日本語の表現としておかしな部分もありますし、当然合わない人も予想されます。
そしてゲームの大半を占める以上、この会話部分が合わなければゲーム全体も絶対に楽しめないでしょう。
そのため、購入を検討している人には、できるかぎり体験版をプレイすることをオススメします。

個人的には、智ちんはもちろんのこととして、るいとか、こよりが、かなり刺さったわけでして。
特に、こよりが大好きだったりします。

<評価>

総合ではギリギリ名作としておきます。

単に何かの目的のために一時的に女装しているのではなく、本作主人公には女装せざるをえなかった理由があります。
その点で、流行にのっただけの女装ゲーとは一線を画しますし、本作は女装ゲーの代表作といえるのでしょう。
もちろん、上記の通り、女装ものという部分だけだと、もう一つ足りないと思える部分もあるのですが、多くのキャラによる掛け合いが楽しかったというのは、これは高く評価すべきと考えます。
特に、ヒロインごとの個別ルートや、いわゆるセカイ系とかが増えるにつれ、キャラの数が減ったりキャラ同士の関りが少なくなっていきました。
この作品をもって、アンチ現代エロゲだの、アンチセカイ系だのとまでは言い出すつもりはないし、製作者もそこまでは考えていないでしょう。
しかし、本作のような作品が減ってきていたのも事実であり、そうした状況下で発売され異彩を放った本作については、その点を高く評価すべきように思うのです。

ランク:A-(名作)



Last Updated on 2026-05-24 by katan

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