『つくとり』は2007年にWIN用として、rufから発売されました。
もともと私は、伝奇ミステリー系の話が大好きな上に、ライター陣もそれなりに知られていることから興味を持った作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
古い因習と伝統に縛られた月鳥町
その町は、太古の昔、ツクトリという神とそれを祭る人間たちによって作られた。
この町に住む人間たちはいまなおツクトリが存在すると信じている――
主人公・橋上郁は仕事のため武蔵野府に向かっていた。
途中、月鳥町で起こった殺人事件の調査に向かう刑事・久十生寧と出会う。
久十生の要請を受けて、郁は殺人事件の調査を手伝う事になる。
殺されたのは、研究所に勤める「フォレスト」という身元不明の外国人。
彼の死体は、研究所の庭の木に吊るされていた。
死体を木に吊るすという行為に犯人の異常性を感じる郁たちだったが、月鳥町では毎年祭りの季節が近づくと必ず「木に吊るされた死体」が発見される。
町の人間たちは、木に吊るされた死体を「ツクトリ様の生け贄」として丁重に扱っている。
ツクトリなど存在しないと主張する郁だったが、捜査を進めていく内に、人の手では起こりえない様な奇怪な事件に次々と遭遇していく。
果たしてツクトリは実在しているのか、それとも事件を起こしているのは、やはり人間なのか。
郁はツクトリの真実を暴くことができるのか――
<感想>
本作は、構造的には途中で3つに分岐して、最後で1つにまとまります。
実質的には1本道のノベルと考えて良いですね。
内容的には一応は叙述要素を加えた伝奇ミステリーってところでしょうか。
ぶっちゃけ、ひらたく言えばひぐらし+車輪÷3のような作品です。
ん~と、褒めようがないので、淡々と行きましょうか。
まずはグラフィック。
原画はぼうのうとさん。
メッセンジャーフロムダークナイトからのつきあいとなりますが、若い人には、ラノベのブギポの人の方が通りやすいのかな?
ゲームの原画としては10年以上のキャリアがあるのですが、なんか昔のゲームより酷くなってないかな…
まぁ、それは好みの問題かもしれませんが、ノベルゲーはノベルに絵や音がつくことで新たな付加価値を生むと言われています。
では、肝心な所にCGのないノベルゲーに、一体どういう付加価値があるのでしょうか。
本作をやっててまず思ったのは、そのことなんですよね。
あるべきところにないってのは、やっぱりゲームとしてマイナスでしょう。
それから、本作は、選択肢もなく純粋に読んでいくだけです。
それはそれで構わないとしても、フラグ管理とかから開放されているのですから、せめてもっと読みやすくなるように配慮をすべきでした。
細かなシステム面が不十分で、手抜きに思えてしまうのです。
ここまでは、いろいろと足りない部分を挙げたわけですが、逆に無駄に多すぎる面もあるわけでして。
1つは誤字脱字の多さです。
私自身は、あまり気にしないし点数にも影響しないのですが、他の不備面とあわせると、やる気がないよな~って思えてしまいます。
また、無駄にボリュームが多く、不要な場面に無駄にギャグが入って興ざめしてしまうこともあり、センスのなさを感じちゃうのです。
こうなってくると、推敲をしたのかと疑ってしまいます。
そして1番の問題となると、やっぱりストーリーになるのでしょうか。
ミステリーとして考えた場合、オチがしょぼすぎます。
伝奇要素にしろミステリー要素にしろ、ちょっと前に他所でやったようなネタなため、
その時点でセンスのなさを感じてしまうのですが、オマージュ的意味合いで作るのであれば、せめて完成度を高めてプラスアルファを加えて作るべきでしょうに。
それができていないのだから、もうどうしようもありません。
ってか、本当のミステリー好きの人はこれはやらない方が良いでしょう。
ミステリーに詳しい人ほど、楽しめないと思います。
冒頭で、内容面に一応はとつけたのは理由があって、一見すると叙述要素を混ぜた伝奇ミステリーなのですが、その方面では壊滅的に駄目なのです。
だから、そっち方面では全く期待できません。
しかし、人間ドラマと捉えると、まぁそれなりにできているんですよね。
なので内容は人間ドラマとした方が、より正確なのかもしれません。
そういう意味では、それなりに楽しめるのかなとも思いますが、とにかく他が駄目すぎるので、ドラマとして楽しみきれないのです。
絵・音・ゲーム性が機能していない以上、この程度の人間ドラマを求めるのであれば、小説でも読んでた方がずっとマシですから。
まぁ、でも駄目な部分はなければ減点にはならないのだから、いっそのことミステリー的要素が削ってあれば、もう少し楽しめたのかもしれませんね。
<評価>
ん~一応は自分の好きな分野で、評判が良さそうっていうので期待したのですが、ちょっと酷すぎましたね。
総合では駄作とします。
とにかく、やっつけで制作したような、そんなやる気の無さが伝わってきて、とても残念な作品でした。
ランク:E(駄作)
Last Updated on 2024-05-22 by katan
コメント
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覚えてるだけでも2つのパクりがありました。
ひぐらしの祟殺し編の死体がなくなってた理由や流れと全く同じ構成だったのと
車輪の国の一部をそのままパクっていたのはあきれました。
そもそも車輪のトリック自体が新しいものでもなかったので、
真似の真似でもう作品じゃないなこれはと怒りの気持ちを覚えました。
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仕事とランス10で返事が遅れてしまってすみませんです。
なんかもう、細かいことは忘れてしまいましたw
本作にしても車輪にしても、その時々の若手初心者に受けるタイプの作品であり、
いろいろと未経験な人向けの作品なんでしょうね。