ファーレンハイト

2006

『ファーレンハイト』は2006年にPS2用として、アタリから発売されました。

オリジナルは2005年の発売で、本作はその日本語移植版になります。
ちなみに、北米版はタイトルが『Indigo Prophecy』に変更されています。

<概要>

ゲームジャンルは3D・ADVになります。

あらすじ・・・
2009年、真冬のニューヨーク。
主人公のルーカス・ケインはダイニングレストランのトイレにて、まるで誰かに身体を操られているかのように、自分の意思とは無関係に殺人を犯してしまう。
正気を取り戻した時には見知らぬ死体が目の前に横たわり、動揺を抑えられないケインは死体を隠し、早々に逃亡を図る。まもなく死体は発見され、ニューヨーク警察の捜査官であるカーラとタイラーの二人が事件の真相を解き明かすべく、僅かな手がかりを頼りにルーカスを追い詰めていくが…。

<感想>

もともと、本作はフランスで発売されたのですが、海外での評判も高く、日本語化される前から気になっていた作品でもありました。
海外での評判が高かった一番の理由は、なんと言ってもその演出面にあるでしょう。
グラフィックの質自体はそれ程傑出しているとも思わないのですが、カメラワークや見せ方が海外のドラマを見ているようで、こんなゲームはなかったと思わせるほどにインパクトがありました。
時期的なこともあって、よく『24 -TWENTY FOUR-』みたいなゲームってたとえられていましたね。
この当時この部分において本作を上回るADVは皆無であり、文句なしに長所として挙げられるかと思います。
演出面は、おそらく誰がやっても褒めるのではないでしょうか。

賛否分かれるとすれば、まずはゲーム部分でしょう。
本作は3DのADVなのですが、通常のADVは要所要所でパズルが用意されています。
しかし本作は、パズル部分がアクションになっています。
具体的には、必要な場面で必要なコマンドを押すことを強いられます。
問題はこの部分なのです。
これを肯定的に捉えるならば、より直感的な行動によりゲームが進行し、絶えず緊張感の伴った、プレイヤーとキャラが一体となった展開を楽しめるとなります。
しかし否定的に捉えるならば、2点程気になる点が出てきます。
1つ目は、生粋のADV好きはアクションが苦手な人もいるわけで、アクションが嫌いだからADVをやるんだって場合もあるわけです。
それなのに、アクションを導入してゲーム性アップとか言われても、アクションの苦手な人は困ってしまうし白けてしまいます。
それでゲーム性が上がったというのは、アクションゲームはADVより上なんだと言われているみたいで、純粋なADV好きとしては簡単には納得しかねるのです。

まぁ、1点目は主観的な側面も否定できないかもしれませんが、次に2つ目です。
それはADVの歴史とも関連するのですが、ムービーが流れる→必要な場面でコマンドの入力をするという流れは、インタラクティブムービーで散々やってきた手法ですよね。
それこそ、起源を辿ればLDゲームにまで行き着くかもしれないですし。
つまり本作のシステムは斬新でもなんでもなく、昔からやってきたことなわけです。
それでも完成度を高めてきたのなら話は別ですが、そうでもないですよね。
この手のシステムの問題は、慣れれば単調に感じてしまうことにあります。
そして、その解決法には2通り考えられるのでしょう。
1つは入力するタイミングをシビアにして、よりアクション性を高める方法です。
これはこれで1つの方法なのかもしれませんが、だったら素直にアクションゲームで良いじゃんって思ってしまいます。
実際、幾つかのインタラクティブムービーの制作者は、リアルタイム性の導入→アクション性の導入→アクションゲームの制作と、ADVの制作をやめてアクションゲームの制作に移行しています。

ADV好きとしてはACTに頼らずに新たな手法を見せて欲しいわけです。
これがもう一つの手法になるのでしょう。
でも、それが上手くいかないから、ADVは発展に陰りが見えてしまったわけですね。
90年代半ばの制作者の多くが悩んだ問題点は、本作でも何の解決もなされていません。
派手な演出で見せ方が変わっただけで、ゲーム性に関しては90年代前半のインタラクティブムービーと何ら変わっていないのです。
この手のゲームは近年減りましたので、新規層に訴えかけるのには調度良かったでしょうし、そういう人には新鮮なシステムにも見えたかもしれません。
でも、個人的にはむしろ減点要素になってしまうのです。

とは言うものの、多少のゲーム性の低さは、圧倒的演出の前には吹き飛んでしまいます。
これでストーリーも普通に楽しめれば、十分名作と言えたでしょう。
本作はサイコスリラーとかサスペンスという感じで物語が始まります。
序盤は緊張感もあったし、結構面白かったんですよね。
ただ、後半からSFっぽい超展開になってきて、一気に醒めてしまいました。
ミステリーからSFに転じることの拙さというのは、推理小説好きの人とかならよく分かるかと思います。
もちろん程度の差はあるのですが、少なくとも本作は芳しくなかったように思います。

ストーリーが楽しめなくなってしまうと、幾ら演出が素晴らしくとも楽しくないですからね。
演出部分の良さまで消されてしまった感じで、非常に勿体無かったです。

<評価>

結果的に長所と短所が打ち消しあって、総合的では良作といったところでしょうか。
長所だけなら間違いなく名作級ですし、インパクトがあるのは間違いありません。
褒めるにしろ貶すにしろ、プレイして何かを得られるのも間違いないでしょう。
そういう意味ではプレイする価値のあるゲームだと思いますし、特にADV=ノベルゲームと思い込んでる人にはぜひプレイしてもらって、実はADVにもいろいろあるんだよって知ってもらいたいものですね。

ランク:B(良作)


ファーレンハイト

Last Updated on 2024-05-22 by katan

コメント

  1. SECRET: 0
    PASS: dc4b7ba74dbc368174d1500b74e3e0e5
    いいえ、元の2005年のゲームは華氏で、ヨーロッパ(フランス)でまず作成されました。Indigo Prophecyはアメリカのタイトルで、2006年に作られました(Google翻訳でごめんなさい:-))。

  2. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ご指摘ありがとうございます。
    書いているときに、勘違いしていたようですね。
    早速、修正しておきました。

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