天藍の夏

2000

『天藍の夏』は2000年にWIN用として、U・Me SOFTから発売されました。

地味ながらも良い作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
東京での一人暮らしを満喫していた主人公は、夏休みを目前にして母親から実家の朱矛(あかむ)へ帰るよう懇願される。
ダンプと相討ちとなった父親が退院するまでの一ヶ月間、実家の温泉旅館(薬院別荘)の面倒をみて欲しいというのだ。
これでバイトと遊びに明け暮れる予定だった夏の日々は・・・
ものの見事に消え去った・・・と思いきや・・・?!
帰省した故郷には、主人公を待ちうける女の娘達がいたのでした。

<感想>

その時代、その時代により、エロゲユーザーにうける作品というのは、結構かわってくるものです。
発売時期が異なっていれば、もっと評価されていただろうにと感じた作品を、これまでにいくつも見てきました。
本作もまた、そんな作品の一つなのかもしれません。

本作は、ひと夏の体験を描いた作品であり、夏の要素がたくさん入っています。
他にも、本作のヒロインの一人は元カノなのですが、その元カノとの気まずさや微妙な空気感とかも、よく表現できていたと思います。
キャラの設定や、個々のエピソード等、無理なくきちんと練られており、良く出来た作品という印象を抱きました。

この露骨に萌えに走らないキャラは、私には好印象に映るのですが、当時は露骨な萌えキャラのいる作品が絶賛される時代でしたからね。
インパクトのある萌えキャラを好み、評価するような、当時のユーザーの主流層からすると、本作のキャラは地味に見えたでしょうね。

ストーリーにしても、当時は、作品全体を貫くような、これという明確なテーマがある方が評価されやすかったわけでして。
そうなると、本作のような作品、つまり個々のエピソードが強くとも、全体に共通するテーマ性が弱い作品は、評価されにくかったでしょう。
この辺は、キャラゲーの浸透した近年の方が、評価されやすいかもしれません。

本作には音声がついており、音声も結構良かったです。
ただ、この時期の有名なノベルゲーの多くはまだ音声がなく、音声必須の時代ではなかったですし、質の良い音声があることが評価につながりにくかった時代でした。
本作は、その点でも不遇と言えるのでしょう。

テキストにしても、本作は簡潔に書かれています。
簡潔だから良いというものではないかもしれませんが、ゼロ年代に入ってからのエロゲは、水増しテキストが増え、だるいテキストの作品が増えていきます。
それらと比べると、本作の簡潔なテキストは、私には好印象です。
ただ、当時のシナリオゲー好きユーザーは、くどいくらいのテキストの方が好みの人も多く、そうなると本作は当時の流行にはマッチしていないと言えるのでしょう。

グラフィックも、萌えキャラという観点からは、少し弱いようにみえます。
ただ、最近のようにヒロインのドアップばかりというのではなく、きちんと場面を描こうとしているグラフィックは、私は評価されるべきだと思います。

ゲームデザインについては、一応ノベルゲーとしましたが、90年代後半に多く見られた、マップ選択式になります。
これが攻略情報がないと間延びしてしまう感じでして。
同級生系ADVを好んでプレイしていた98時代からのユーザーであれば、この辺はあまり気にならないのでしょうが、この時期に入ってきたノベルゲー世代のユーザーには、だるく感じてしまったのではないでしょうか。

他には、本作には作中にミニゲームがあり、クリア後にはオマケとして遊ぶことができます。
簡単にいうと、倉庫番もどきのミニゲームになります。
ストーリーに沿った形で入れられるミニゲームは、私は評価されて然るべきと考えます。
特に本作の場合、作中では誰でもクリアできる超簡単な難易度にしていて、オマケで遊ぶ場合には難易度選択をして、しっかり楽しむことができます。
ミニゲームに興味のない人にもストレスのないようにしつつ、気に入った人にはしっかり楽しんでもらうという配慮は嬉しいです。
ただ、こういう要素も、当時は評価されにくかったのでしょう。

<評価>

当時の流行作品と比べると、どうしても地味な作品です。
そのため、埋もれるべくして埋もれた作品なのでしょう。
ただ、個々の要素に関しては、とても良く出来ていて、玄人好みな作品となっています。

総合では佳作としておきますが、マップ選択のバランス調整さえされていれば、良作扱いでも良いように思いますし、本作を評価している人は、よく分かっている人だなという印象をうける作品だと思いますね。

ランク:C(佳作)

Last Updated on 2025-01-29 by katan

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