『fault – StP – LIGHTKRAVTE』は2022年にsteam用として、ALICE IN DISSONANCEから発売されました。
7年ぶりとなるFAULTシリーズの新作ということで注目した作品でした。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・絶対に届かない世界 叶えられない想いがある人々の生活を豊かにする技術―マナクラフトが発達した王国「ルゼンハイド」。
そこで暮らす平凡で凡庸などこまでも究極的に『普通』な果樹園の息子カージは、絵描きになろうと日々研鑽を続けていた。
日々、周囲の才能と個性をつきつけられ自信を喪失しつつも、日常は平和極まりないものだった。
しかしある時、彼は衝撃的な宣告をされる――
<感想>
私は、ずっと『fault – SILENCE THE PEDANT』の発売を待っていたのですが、結局2022年になっても発売されていません。
『fault – SILENCE THE PEDANT』はポイント&クリック式ADVの予定であり、だからこそ期待も大きかっただけに、とても残念です。
一般的に、ADVの中でも、ポイント&クリック式ADVは特に作るのが難しいです。
続編をポイント&クリック式で作ろうとして挫折したケースというのを、これまでにも何度も見かけてきましたしね。
面白いP&Cを作るのは難しいのに、ユーザーはストーリーしか見ないから、だから作り手も簡単なノベルゲーばかりになってしまうのでしょう。
さて、そんなFAULTシリーズ、『fault – SILENCE THE PEDANT』は凍結し、シリーズ3作目として発売されたのが本作になります。
2作目は1作目の続編であり、本作も同じ世界観ではあるものの2作目の続編ではなく、過去の話になっています。
そのため、過去作をプレイしていなくても、本作からでも楽しむことができます。
まぁ、過去作をプレイしていても、7年も経てば忘れるよとも思いますけどね。
本作は1本道のノベルゲーであり、選択肢や分岐等のゲーム的要素もなく、単純に読むだけの作品となっています。
本作の特徴としては、場面にあわせて細かく動く立ち絵の演出なのでしょう。
個人的には一枚絵も良かったと思いますし、一枚絵と立ち絵の動きについては良かったと思います。
ただ、これだけでストロングポイントと呼べるほどには、新鮮さや何か際立った特徴があったとは言えないように思います。
また、本作の場合、この長所が短所とも表裏一体のように感じてしまいます。
というのも、ADVにおける演出については、様々な方向性があります。
例えば漫画的手法の場合には、音声がなくても、プレイしていてあまり気にならなかったでしょう。
しかし本作の場合、キャラの自然な動きを強調している作品であるため、キャラの自然な動きが表現されていればいるほど、音声だけないことに違和感を覚えるのです。
私は古くからのADVゲーマーですし、同人ゲーとかもプレイするので、音声のない作品も普通に楽しむことができます。
また、このシリーズの過去作をプレイしても、音声がないことに特に不満はありませんでした。
しかし、本作に関しては、音声がないと不自然さが際立ってしまうのです。
このシリーズが停滞していた7年の間に、他のノベルゲームも進化しています。
立ち絵が自然に動きつつ音声もある作品も既に存在するだけに、本作の長所は逆に欠点を浮き彫りにしてしまったのです。
したがって、シネマチック・ノベルゲームと名付けたわりには、私には少々お粗末な作りにみえてしまいました。
本作の場合、他にも問題があり、UIの弱さも挙げられるでしょう。
最低限の項目しかないことから、ノベルゲーに慣れている人ほど、本作をプレイして不満に感じやすいように思います。
私はあまりうるさくない方ですが、それでも不満はあって、今時マウスホイールで読み進められないのはストレスがたまります。
もちろん、ストレス以上の面白さがあれば、そんなストレスすら気にならなかったのかもしれません。
このシリーズの過去作の最大の魅力は、キャラの良さにありましたからね。
そこさえ良ければ、細かい点なぞ気にならなかったでしょう。
ただ、本作の主人公は、エロゲによくいそうな主人公で、ごく普通の主人公でした。
過去作の主人公のような魅力を感じることはなかったですし、ストーリーも面白く感じるまでに時間がかかるスローな立ち上がりなうえ、特に秀でたものでもありませんでした。
<評価>
総合では凡作とします。
確かに、一枚絵や立ち絵の動きだけを見ると、良作相当の出来です。
しかし、それ以上に個々の問題点や、作品全体としてのアンバランスさの方が際立ってしまいました。
結論としては、普通に楽しめる作品ではあるかもしれないけれど、あえてプレイする必要もなかったかなというところでしょうか。
この調子だと、今後の続編にも不安が漂いますが、次こそ面白い作品になることを期待したいものです。
ランク:D(凡作)
Last Updated on 2024-04-20 by katan
コメント
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このサークルの作品はどれも素晴らしかっただけに、今回の迷走は残念でした。
今回は一枚絵より立ち絵アニメに力を入れてきましたが、2022年の今になって、2016年の『まいてつ』より劣るものを見せられても…って感じでした。
動きも何だか操り人形みたいで、『まいてつ』のような自然さが感じられなかったです。
シネマチックに拘るなら、音声を付けたり、もっと徹底して欲しかったですね。
主人公にしても、こんなウジウジ君の話じゃなく、リトナやセルフィーネ姫の話が見たかったです。
次回作は『milestone』や『SILENCE THE PEDANT』の方向性に戻して欲しいです。
話は変わって、『EVE ghost enemies』面白かったです。
『rebirth terror』同様に甘い部分はありますが、EVEファン、剣乃作品ファンにとっては嬉しい作品でした。
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> yukimuraさん
おっしゃるとおりですね。
今回は何も得るものがなかったですし、非常に残念でした。
次回作は、周りの様子を見てからの購入になるかもしれません。
『EVE ghost enemies』はそうなんですね。
私は、結局限定版の方を買ったのですが、まだ序盤の方です。
暑くなってきたので、あまり進んでいない感じですね。