『スーパードッグワールド』は1994年にPC98用として、光栄から発売されました。
タイトルからも連想できますように、主人公は犬です。
犬を主人公にした育成SLGという、なんとも珍しい作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルは育成SLGになります。
犬のオリンピックである「バウワウ・カップ」の日本代表となり、そこで最優秀選手と団体優勝を目指すことが目標となります。
したがって、端的に言えば育成SLGとして自身を鍛え上げ、オリンピックで活躍するのを目標とするわけですね。
ただ、それを人ではなく犬でやったと。
まぁ、一見すると奇をてらっただけの作品にも思えますが、これがなかなかに歯応えのあるゲームだったわけでして。
<感想>
ゲームが始まりますと、まず最初にプレイヤーの分身たる自分の犬種を選びます。
ゲーム内には数十種の犬が登場するのですが、プレイヤーが選べるのは8種類です。
犬にはそれぞれ特徴がありますので、選んだ犬種によって初期能力や限界値も変わってきます。
当然、犬種によって種目の向き不向きが出てくるわけです。
競技の種目も犬社会を反映していて、100m走、走り幅跳び、水泳50m走、水泳リレー、平均台、跳馬の外に、嗅道や算数という、犬ならではの種目もありました。
犬を育てるということ自体が他のゲームにはない珍しい設定ですが、珍しいという観点からは、もう1点挙げられるかと思います。
近年の育成SLGでは、プレイヤー自身を育てるゲームはたくさんあるのですが、育成SLGの初期はそうではありませんでした。
『プリンセスメーカー』や『卒業』など、自分ではなく対象となる相手を育てていたからです。
つまり、初期の頃は、その辺にもRPGとの違いが見てとれたわけですね。
その後、『初恋物語』を初めとして、主人公自身を育て上げるゲームも出てくるわけですが、94年の頃はまだ珍しい部類に属していたでしょう。
つまり自分を育て上げるという点と犬を育てるという点の2点において、本作は珍しさを有していたわけです。
だからより一層、プレイに新鮮さが感じられたわけなのです。
そしてもう一つ。
このゲームがプレイした人の心を捉えたのは、それが「社会」を表現しえたからなのでしょう。
初期の育成SLGは対象キャラを育てあげることから、プレイヤーと対象キャラという当事者間の関係が大事になっていきます。
アダルトゲームの調教SLGなんかにしても同様のことが言えますね。
また、95年以降はセカイ系が流行りだしたこともあり、ゲーム内の物語にしてもそういう視点が重視されていきます。
さらに、恋愛を扱ったSLGにしても、直接には自分を育てるとしても、究極にはそれはヒロインとの関係を視野に入れた行動なわけです。
つまり、育成系のSLGをよくよく見ていくと、実は狭い世界の中での関係性を扱った作品が多いのです。
上記のとおり、本作は犬が主人公であり、ゲームの最初で寮に入ることになります。
そこには教官もいるし先輩もいます。
ゲームにはマップがあり、そこから移動先を選ぶことができ、その移動先には他にもキャラがいます。
仲間との会話や団結、ライバルとの競い合いといった、各地での様々な触れ合いやイベントにより、そこに見事な犬社会が構築されているのです。
深読みをするならば、犬社会を描くことで、現実社会をも風刺しているようにすら思えてきます。
この社会という広がりを感じさせてくれるような育成SLGは、おそらくあまりないでしょう。
そこに犬というアクセントが加わるわけですから、プレイした人の心に深く刺さるのも分かるってものですね。
このゲームが傑出していたのは、まさにこの点にあるのだと思います。
もちろん、育成SLGとしての歯応えもバッチリあります。
というか、実はかなり難しいゲームです。
初プレイ時は、一つの種目をこなすだけで目一杯です。
何度か繰り返すうちにコツが分かりだし、多くの種目にも対応できるようになるわけですね。
ここら辺は、光栄の作るゲームだけあって、素直に上手いなって思いました。
光栄はゲーム機に移植していた関係もあって、一般的には戦略SLGとかの方が知名度が高かったです。
しかし、経営SLGや育成SLGのような数値管理系のゲームも出していて、個人的には、そっち系の方が実は作るのが上手いと思っています。
<評価>
そういうわけで、はまればどこまでもはまれるゲームでした。
総合でも名作といえるでしょう。
純粋なSLG好きほど楽しめるように思います。
ただ、あえて苦言を呈するならば、ややプレイが単調になることでしょうか。
生粋のSLG好きで数値の変化だけで楽しめる人には問題ないのですが、もう少しアクセントを加えて欲しかったのかなと。
名作ではあるものの傑作足りえないのは、そこら辺があるからなんですよね。
まぁ、いずれにしても、非常に珍しいタイプのゲームですからね。
犬好きはもちろんのことですが、そうでない人にもプレイしてもらいたいSLGの1つではありますね。
ランク:A-(名作)

Last Updated on 2024-07-30 by katan


コメント
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これこれ!
当時はパッケージの感じや犬が題材ってところで
思いっきりスルーしちゃってたんですが
最近光栄の歴史以外のSLGを…って
やろうと思ってたんです、笑
これ、やった人は結構高評価なのに
全然ヒットしませんでしたね…
まだ未プレイなので何とも言えませんが
光栄のゲームなので期待してます、笑
光栄のProgenitorって言うのもあまり聞かないんですが
katanさん知ってらっしゃいます?
なんか運びやさんのゲームらしいんですが
ファルコムのスタートレーダーみたいですね。
これもやろうと思ってるゲームです。
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こんにちは、コメントありがとうございます。
は~りぃふぉっくすとか、私は昔から動物物が好きなので気になった作品ですが、やっぱり多くの人には何だ犬かよって避けられちゃうんですかねw
ワンコ、可愛いんですけどね…
>これ、やった人は結構高評価なのに全然ヒットしませんでしたね…
好きそうな人しか買わない、そして好きそうな人が求めているものはきっちりと用意されていたってところでしょうか。
とっつき辛さは否めないのであまり育成系に向いてない人がやったら低い評価もあったのでしょうが、ワンコ設定が作用してそういう人はやらなかったんでしょうね。
多少評価がばらけても売れた方が良かったのか、合う人にだけ買われてドマイナーでも愛され続けた方が良かったのか。
そこら辺は難しいところですね。
それとこの記事、私にしては長めの記事で時間もかかったのですが、普段の他のゲームと比べて段違いに読まれていませんorz
いかにマイナーで、いかに興味が薄いかがモロにでました。
実際にプレイした人との温度差がこれほどかけ離れているゲームも珍しいです。
>まだ未プレイなので何とも言えませんが
光栄のゲームなので期待してます、笑
これは、大丈夫だと思います。
前述のようにとっつき辛さや若干の単調さは否定できないので、育成・経営系が合わない人は楽しめない可能性はあるでしょう。
でも、あやちだいちさんは光栄の他の経営物とかも楽しめていますので、それなら同じように、或いはそれ以上に楽しめると思いますよ。
>光栄のProgenitorって言うのもあまり聞かないんですが
あれですよね、大航海時代を宇宙版にしたようなリコエイションゲーム。
大航海時代2にはまりすぎた反動でしばらくこの手はいいやって思ってしまったのと、何となく想像がついてしまう雰囲気が私の好みと少し異なるのであまりはまれませんでしたが、ゲーム自体は良く出来ていたようで、光栄好きな友人ははまっていました。
むしろスタートレーダーの方が私は未プレイなので何ともいえませんが、大航海時代を知っているのであれば宇宙版大航海時代の印象で大きなずれはないかと思いますし、その類が好きならきっと楽しめるのではないでしょうか。