『if2 ~イフ2~』は1993年にPC98用として、 アクティブから発売されました。
ホモはお好きですか?
シリーズ第2弾は実験作でした。
<概要>
PC98時代には、オムニバスゲームが流行っていた時期がありました。
そしてActiveの制作したオムニバス作品のタイトルが、「イフ」シリーズでした。
本作はシリーズ全3作の中の2作目になります。
今回収録されたシナリオは以下の3本。
シナリオ5:「やっぱり薔薇が好き」
シナリオ6:「プリティ・ウーマン」
シナリオ7:「決戦は学校で」
<感想>
オムニバス作品は短編の集まりであり、一つがハズレでもトータルで満足してもらえればとなりやすいので、挑戦的な内容が含まれることもありました。
ここで実験して、後のフルプライス作品の参考にすることもできますしね。
・・・そうなんだよな~最近は挑戦することができなくなったと言うけれど、オムニバスとかで様子を見るってこともできないのかな。
オムニバス作品が好きというわけでもないのだけれど、使い勝手は良いし可能性も秘めていると思うのですが。
さて、イフシリーズの1作目はそれでも普通の話が多かったものの、この2作目はかなり実験的な内容になります。
まずシナリオ5の「やっぱり薔薇が好き」。
勘の良い人ならタイトルで想像がつくかもしれませんが、主人公はホモです。
今はBLゲームもそれなりにありますが、本格的に出てきたのは2000年前後でしょう。
この時期では非常に珍しいはずです。
私はストーリー重視であればBL作品もプレイしますが、BLだからとの理由だけで買うことはないですからね。
だからBLゲームの歴史とかにも疎く、元祖が何かは分かりません。
ただ、本作の制作者自身も作中で述べているように、93年時点では非常にレアなのと、遅くともこの時点でホモゲーが登場したことは間違いないということになります。
ちなみに、制作者は「レズは定番です」との発言しています。
実際、PC88時代後半からレズ作品はわりとありましたので、それでアダルトゲームではレズは定番との発言になったのでしょう。
私も同様の認識ですし、PC88時代からのユーザーなら何ら違和感のないセリフでしょう。
しかし最近は、百合ゲーは増えてもレズゲーは減っているので、WIN以降のユーザーですと、レズが定番ジャンルという表現は、あまりピンとこないかもしれませんね。
内容的には、ホモのカップルがホモを貫き通せるのか、それとも女に目が眩んでしまうのかという話でした。
バカップルというか、グラフィックを見ないでテキストだけ見ると、今風に言うところの「いちゃラブ」なんですよね。
よくこんなシナリオを入れてきたものです。
シナリオ6の「プリティ・ウーマン」はナンパもの。
こちらは後述しますように、システム面に特徴のある作品でした。
シナリオ7の「決戦は学校で」は、今風に言えば乙女ゲーです。
つまり女の主人公が意中の男子をゲットするのが目的です。
まだ乙女ゲーという言葉なんかなかったし、こういう設定は珍しかったと思います。
こちらもまた、当時としては実験作と言えるでしょう。
<ゲームデザイン>
ジャンルはどれもコマンド選択式のADVになります。
もっとも、「みる」「きく」というような汎用コマンドはありません。
シナリオにより程度の差はあるものの、基本的にどれもその場に応じた選択肢が登場します。
そのため、見た目的には今のノベルゲーと同じような感じですね。
なお、「プリティ・ウーマン」には時間の概念があり、1週間という期間があります。
『同級生』の簡易版みたいなものですね。
技術力がないから簡易版・劣化版みたいな構造になったとも言えますが、こうも時代を先駆けた作品ばかり含まれていると、また違った捉え方をしたくなってきます。
『同窓会』(1996)のように、『同級生2』(1995)以降は、簡易化したシステムの作品が増えていきます。
その流れを先駆けたと解釈することは、決して不可能ではないでしょう。
「決戦は学校で」もコマンド選択式ではあるものの、ノベルゲーのようにピラミッド式に展開が分岐していきます。
これなんかは、個別の選択肢にストーリーの細かな分岐が伴うので、ノベルゲーとどう違うの?ってなりうるでしょう。
人によっては、ノベルゲーと分類するかもしれません。
いずれにしろ、両者の境界線上の中間的な構図ということです。
<グラフィック>
グラフィックは画面全体を使うタイプであり、その上に半透明のテキスト欄が表示されています。
エルフとかアリスとか、大手は意外と画像とテキストを完全に分離しており、結果として画像が小さくなっています。
中小ブランドの方が、大きい画像の上にテキスト欄を設ける傾向が高かったですが、今では普通に行われているこの手法も、当時はまだ多くはなかったように思います。
<評価>
まぁ基本的に小粒なシナリオの集合体ですし、加えて題材が題材でもありますので、これが好きなのか或いは面白いのかと言われると難しい部分もありますが、当時としてもかなり異端だったのは間違いないのでしょう。
ショタはまだしも、ホモゲーは得意ではないので、主観的には好きとは言えない作品でもあるのですが、ここまで尖っていたら最低でも良作とせざるをえないでしょうね。
間違いなく人を選んだ作品だったのでしょうが、好きな人はかなり好きかもしれない意欲作でもありました。
ランク:B-(良作)
Last Updated on 2024-09-18 by katan
コメント
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はじめまして。
ホモが出てきたのは当時、ゲイブームだったからだと思います。
エロ漫画ですらそういうシチュエーションが出てきたし。
ある意味、バイに近いのかも?
BLゲームの元祖は96年の「20日後…」(?)って作品かも。
あやふやですいません。
確かPC9831とWIN95対応だったらしいです。
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はじめまして。
90年代にゲイブームが来ていたんですね。
その辺は、当時関心がなかったので、すっかり忘れていました。
> BLゲームの元祖は96年の「20日後…」(?)って作品かも。
これは、正式名称なのでしょうか。
調べてみようと思ったのですが、
ちょっと分からなかったものですから。
どんな作品なんでしょうね。
少し気になります。
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ありがとうございます。
ホモゲーの件、確か96年のゲイ雑誌「バディ」に載ってたかと思われます。
同人ゲームだったのかな?
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私の持っている書籍や資料では載っていないので、
PC98に対応しているのであれば、
商業作品ではないと思うんですよね。
でもそうなると、同人ゲーの可能性が高くなるのですが、
96年の時点でWIN95にも対応した同人となると、
それだけでハードルが高くなってしまいますし・・・
何とも興味深い作品ですね~