『さよならを教えて comment te dire adieu』は2001年にWIN用として、CRAFTWORKから発売されました。
システムはオーソドックスなノベルタイプのADVです。
いつの間にやら知らないうちに、とんでもないプレミア状態になったりしていますね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
さよなら……。
今、全ての人に贈る最期の言葉。
間を見失い、すべてに逡巡し、自分のことさえも分からない男は教育実習生としての責務を全うしつつも迷い子のように橙色の放課後を彷徨う。
彼と彼以外の間にあるのは深い奈落だった。
彼はそこに転がり落ちるしかないのかも知れない。
昼の次にやって来るのが夜でしかないように。
至極、当たり前のように……。
<感想>
本作の最大の魅力は、何といっても長岡建蔵さんの描くグラフィックにあるでしょう。
本作は狂気を扱っています。
こういう作品や鬼畜系の作品って、テキストは良いけどCGがそれに伴ってないじゃんってのが多いです。
マイルドな表現になっているのはざらにあるし、それどころかあるべき箇所にCGがないことすらたくさんあります。
そういう他作品の状況を考えると、本作はその部分は実に良く出来ていたと思います。
グロイというか何というか、狂ってる様子が実に上手くグラフィックに表れています。
この分野に関しては、間違いなく最高ランクに位置するでしょうね。
問題は、ストーリー及びテキストです。
いや、決して悪くはなかったんですよ。
十分及第点以上だし、普通には楽しめました。
ただね、CGの持っている狂い具合に比べると、どうにも大人しすぎたなって印象が強かったです。
大抵の鬼畜系ゲームの場合は、CGがテキストの水準に追いついていないのですが、本作に限っては全く逆です。
テキストがCGのレベルに達していないんですよね。
ライターがCGのように突き抜けてくれていたら大化けしたかもですが、ちょっと控えちゃいましたかね。
たまにストーリーが駄目という話も聞きますが、ちょっと微妙に違うような気がします。
おそらく普通のテキストなら問題なく書けたのでしょうが、ライターが常人であるがために、逆にその正常さが災いして狂った世界を描ききれなかったって感じでしょうか。
<評価>
評価的には難しいところもあり、テキストが追い付いていない部分はあるのですが、それでもグラフィックという特徴があることを考慮し、総合では良作と判断しておきます。
以上のように、この類の名作の多くがストーリーやテキストを評価されているのに対し、本作はその部分が明確に劣ります。
そのため、ストーリーやテキストを目当てに購入した場合は、少し物足りなく感じてしまうかもしれません。
今のプレミア価格を払ってまで読む内容とは思えませんしね。
でも逆に、絵が目当ての人はきっと満足できるでしょう。
絵画の価値なんかも見る人次第な面がありますが、長岡建蔵さんの描く絵にどれだけの価値を見出せるか、本作の評価はそこに関ってくるかと思います。
こういう絵のゲームは滅多にありませんし、今後は更に発売しにくい状況になっていくと思います。
そういうことも踏まえれば、今の価格も決して高くないのかもしれませんね。
ランク:B(良作)

Last Updated on 2025-02-18 by katan
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