『サンサーラ・ナーガ』は1990年にファミコン用として、ビクター音楽産業から発売されました。
監修・脚本が押井守さんに伊藤和典さんで、音楽に川井憲次さんということで、今なら考えられないような豪華メンバーだったんですね。
<感想>
そういうのにこだわる人は当時から注目していたのかもですが、当時の私は誰が作ったかとかほとんど意識していなかったわけで、単純に中身、そしてその中身の珍妙さで、深く印象に残った作品でありました。
たぶんシステム面での個々の要素は、どこかしらで見かけることもできるのでしょう。
一応特徴的なことを挙げていきますと、まず本作の最大の目玉は竜を育てるという、育成RPGであるということです。
この竜が可愛く、その成長を眺めるのが何より楽しいのです。
またその反対に、主人公はいくら戦闘をしてもレベルが上がりません。
RPGはプレイヤー=主人公で、その主人公を育てるゲームという認識は、今よりも昔の方がずっと根強くありました。
それだけに、こういう発想はインパクトが大きかったのです。
加えて、モンスターはいきなり強いのが出てきますので、生き延びるには「逃げる」ことが最重要となります。
RPGは雑魚を屠って、周囲の雑魚に楽勝になったら先に進むという人も、やっぱり今より昔の方が多かったと思います。
そういう人にはかかるシステムはクソゲーにしか見えなかったでしょうね。
他にも街の人に戦闘を仕掛けることができたり、自由度もかなりありました。
様々なシステムが組み合わさることで、サンサーラ・ナーガはとても自由だったんですね。
他にもマップが広いとか難易度が高いという事情もあり、いわゆるゲーム機のRPGらしいRPGではなく、どちらかというとPCのRPGに近かったのでしょう。
今ならこういう路線も高く評価されるのでしょうが、当時のファミコンのプレイヤーが子供が多かったですからね。
何をしたら良いか分からないってなりやすく、この手の誘導の少ないゲームは叩かれやすかったように思います。
私も最初に他人から感想を聞いたとき、クソゲーだからやるなって言われましたから。
でも、結局はRPGに何を求めるかの違いであって、これはこれでかなり個性的で良かったように思いますね。
それと、最初に個々の要素は他のゲームに既にあったかもと書きましたが、本作は個々の要素がただあるわけでなく、独特の世界観で非常に上手く全体が纏まっていました。
世界観は端的に言えばファンタジーなのですが、この頃のRPGの大半が中世ヨーロッパ風なのに対し、本作の世界はサンスクリット語で統一され、仏教やヒンドゥー教に影響を受けた世界観だったわけで、これはとても新鮮でした。
<評価>
癖が強いので決して万人向けではないのですが、良くも悪くも記憶に残りやすいのは間違いないのであり、刺さった人には、とても思い出深い作品となりやすい、すなわち、叩く人がいる反面、名作と語り継ぐ人も出てきやすい作品でしたね。
ランク:B(良作)

Last Updated on 2025-02-01 by katan
コメント