『虚空漂流ニルゲンツ』は1996年にPC-FX用として、マイクロキャビンから発売されました。
「ニルゲンツのお話ね・・・」
「・・・信じてくれなくてもいい。今は私だけの思い出だ…」
<概要>
とまあ、冒頭から意味深ではありますが、クリアした人は皆同じ気分になって同じ事を口にしてるんですよ。
『虚空漂流ニルゲンツ』、それはPC-FXの最高傑作である。
すなわち、PC-FX最高のストーリーにPC-FX最高のグラフィック、PC-FX最高のキャラ、PC-FX最高の・・・以下略。
人によっては「PC-FX」の所が、「家庭用ゲーム機」にかわります。
以上、紹介終わりw
そんな風に各地で大絶賛されてる幻の傑作作品です。
個人的には、PC-FX最高は『ファイアーウーマン纏組』なんですけどね。
だからといって、それがニルゲンツの価値を下げる事はないのです。
<感想>
物語は、とある老人の回想という形で語られ始めます。
『私の名はデュン・ビット、私は、あの空を忘れない・・・。』
それは50年前、たった40日間の出来事。
主人公であるデュン・ビットは空賊を追う賞金稼ぎです。
そして賞金首である「赤騎士団」を追う途中、デュンの愛機「ハーン」がエンジン不調に陥り、エーテルの海での漂流を余儀なくされます。
そこをたまたま通りかかった「隊商ヴィントミューレ」に拾われ・・・
というのが出だしになります。
何だかやけに分厚い説明書に、みっちりと世界設定が書き込まれててね。
それを読んでるだけでも、設定マニアは満足な出来でしたね。
その世界を舞台に、濃密なストーリーが綴られていくわけですよ。
燃える展開、張られた伏線、次々倒れていく味方・・・
最高に盛り上がって、燃えて、燃えて、燃え尽きて、そして冒頭の爺さんの状態になるわけです。
大雑把なイメージとしては、終盤まではADVパートでクルーとの交流・イベントを楽しみつつ、ラストで一気に盛り上がっていく作品になります。
<グラフィック>
また、本作は要所要所でアニメーションが入ってきます。
PC-FXは、アニメーション再生に関してだけは、いわゆる次世代機の中で一番でした。
一番燃える部分を、最新鋭機の綺麗な動画で見せてくれるわけです。
もう、お腹いっぱいですよね。
その機種最高と呼ばれる作品は、その機種の性能を最大限に活かした作品と考えることもできます。
本作はFXのアニメーション再生機能があったからこそ成り立つのであり、FXだからこそ実現できたというのも、高評価につながる所以なのでしょうね。
<ゲームデザイン>
ゲームジャンルは、公式発表ではRPGになります。
ややこしいので、それでいいかもしれませんね。
というのも、基本はコマンド選択式のADVなのですが、イベントの合間に空戦バトルがはいるのです。
空戦バトルは、一見するとシューティングに見えるかもしれません。
しかし、これが普通のシューティングじゃないんです。
コマンドを選択するRPGの戦闘を、リアルタイムの空戦バトルでやってみました~ってノリなんですよね。
だからシューティングではなく、リアルタイムのコマンド選択方式と捉えた方が良いでしょう。
難易度は激ムズとよく言われます。
ただ、アクション系がド下手で、初代スーパーマリオのクリアすらも怪しいような私がクリアできたので、反射神経を要しないのは確かでしょう。
考えて状況判断がきちんとできれば、指先のテクニックがど下手でも間違いなくクリアできます。
さて、この空戦バトル部分。
なんともPC-FXらしい構造となっているわけでして。
3Dっぽい表現になっているので、PSとかならポリゴンだったと思います。
しかしPC-FXには、ポリゴン機能がないのです。
3D機能がないから、ニルゲンツでは疑似3Dで表現してます。
それがまたFXのゲームらしい味わいを生み出し、何とも良く出来てたりするわけで、FXユーザーを満足させるのです。
<評価>
PC-FXというマイナー機種ゆえにプレイ人口は少ないけれど、プレイした人の間では、家庭用ゲーム機史上最高の一品とも言われる本作。
私も名作とは考えますが、世間での評価に比べれば、むしろ私の評価は辛い方でしょう。
そのため、これだけはうだうだ語るよりもまずやってみれ、そう言いたくなりますね。
(入手困難なのがつらいですけど。。。)
名作と呼ばれる作品は大概やったよって人、この作品をやらずしてその台詞は言わせませんよw
ところで、当初のPC-FXのゲームは、でかいパッケージが使われていました。
それがこのニルゲンツから、普通のCDサイズに変更になりました。
そのせいで、目立たないこと目立たないこと・・・
幻と化した原因はそこにもあると思います。。。
アニメの強さ、ポリゴンの弱さ。
ニルゲンツはPC-FXという機種の特徴がよく表れた作品でした。
そういう意味でも、いかにもPC-FX作品らしい作品とも言えるでしょう。
元の完成度が一級品なのは間違いありません。
ただ、それ以外にも、「他機種への移植がない&PC-FX作品らしい作り」といったあたりが、更にファンの気持ちを揺さぶり、そして本作の評価を高めてるのではないでしょうかね。
いずれにしろ、このゲームなしにPC-FXは語れない、PC-FXなしにこのゲームは語れない。そういった位置付けにあった作品だったと言えるでしょうね。
ランク:AA-(傑作)
Last Updated on 2024-11-18 by katan
コメント
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興味をそそられますなあ。
しかしPC-FXはなかなか敷居が高いですねw
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ゲームさえ買えば、後はMAGIC-ENGINE FXって手も。
今ならニルゲンツも動くようになったとどこかで見かけた気が…
実機あるからいいやって、自分では未確認なんですけどね。