『RIVEN the sequel to myst』は、1997年にWIN/MACハイブリッド用でCyan社から発売されました。
日本語版はサンソフト発売です。
MYSTの続編であり、かつ同系統の最高傑作でした。
<概要>
ゲームジャンルはMYST系ADVになります。
タイトル名にMYSTの名はなく、サブタイトルにMYSTとあるだけですが、本作が正式な2作目になります。
紛れもないMYSTの正統進化系ではあるものの、当時増えていた他のMYST系ADVへのアンチテーゼ的作品でもあり、少し特殊な位置付けの作品でもありました。
<ゲームデザイン>
いわゆるMYST系のADVと呼ばれるジャンルがあります。
まぁ日本では定着した呼び方はないので、「MYSTみたいなゲーム」とか、それに近い表現で各々が言っているだけでしょうけれど。
一応海外では「MYSTクローン」と呼ばれる場合もあります。
しかし、「~クローン」という言い方は、海外では肯定的にも用いられるようですが、国内だと一般的にあまり良い印象を持たれないように思います。
そのため、少なくとも日本ではその表現を用いるのは適切ではないと考え、ここではMYST系ADVと表現させてもらいます。
さて、このジャンルの大まかな特徴としては、美麗なCGで描かれた世界を堪能しつつ、要所要所に配置された謎(パズル)を解いていく点にあります。
詳しくは『MYST』の所でも述べているので、そちらを参照していただければと。
故に『MYST』で述べたことの繰り返しにもなりますが、上記MYST系ADVの特徴は、『MYST』の特徴ではなく、あくまでもMYST系ADVの特徴でしかありません。
微妙にややこしいのですが、本家たる『MYST』は少し性質が異なるのです。
いわゆるMYST系ADVが用意された謎(パズル)を解くのに対し、本家『MYST』は、そもそも何が謎かを見つけ出す必要があるわけで、そこから始めなければならないのです。
その点で他の同系統の作品と異なるのであり、プレイヤー側でも自分で謎を見つけ出す能力が求められることになります。
そして、その見つけ出す要素を更に大幅に強化させたのが、『MYST』の続編である『RIVEN』だったのです。
『RIVEN』は、一見すいすいと先に進めます。
しかし、ある時から急に何をしていいか分からなくなるのです。
この感覚は、用意されたパズルを解くという、他のMYST系とは一線を画します。
昔、「ログイン」という雑誌に制作者のコメントがありました。
彼は確か、こう言ってました・・・「RIVENに謎なんてないよ」と。
これは当時、観光パズルと揶揄されることもあったMYST系ADVに対する、アンチテーゼだったのかもしれませんね。
どういうことかと言いますと、実際『RIVEN』には、実在する世界では誰もこんなの作らんだろってな感じの、いかにもゲーム染みたパズルは、ほとんどないのです。
装置や仕組み自体は、凄くシンプルなんですよ。
そもそも、舞台となる世界には、かつては住民が生活していたわけです。
そうすると、そこに不可解なパズルがあるということは、住人にとって生活が不便なだけですし、本来はリアリティに欠けるとも言えます。
部外者には仕掛けが分からないから謎に見える場合があっても、住民にはごく当たり前の仕掛けの場合には、それは世界観と一体と化しているのであり、不自然さがありません。
つまり、『RIVEN』にもプレイヤーを悩ませる要素はあるものの、それはそこで住民が生活する上で理に適ったものなのです。
『RIVEN』に謎がないとは、そういうことなんですね。
だから住民の視点に立って合理的にスマートに考えられる人の中には、『RIVEN』は楽だったって考える人もいるくらいです。
しかし、大多数の人は難しいと考えましたし、自力クリアはかなり困難でした。
私も含め大多数の人は何が問題なのか、何をすべきなのか、それが分からないのです。
MYST系ADVがこのパズルは難しいなって感じるのと違い、『RIVEN』は何をしたらいいんだろっかって悩むんですよ。
解ると何だこんな事かって思うし、なるほどなと納得できるものの、そこに気付けないんですよね。
見事に盲点を突いてきているので。
こうした感覚は、もちろん『MYST』にもありましたが、『RIVEN』は更に強調してきたのであり、この点において『RIVEN』以上の物はその後出ていないし、今後もおそらく出てこないでしょう。
およそ謎解きに関しては、このジャンルでも最高の品質をほこるでしょうし、ADV全てを通じてもこれ以上のものはないでしょうね。
なお、それは決して難易度とイコールではないことは、上記の内容から理解していてもらいたいかと思います。
また、私は『MYST』を絶賛しているタイプですが、当然ながら否定的な人だっていました。
難しいからとか自分がクリアできないからという理由で低く評価する人は、ハッキリ言って論外です。
しかし、例えば、『マンホール』などと比べて一画面内での遊び要素が減ったという批判もあり、その類の批判ならば、コアなADVファンの意見として、十分にありえると思います。
本作は、優れたP&C式よりは足りないのですが、それでも『MYST』よりは遊び心が増え、プレイヤーの介入できる箇所、クリックできる箇所も増えたと思いますので、『MYST』に不満を感じた人でも楽しめるようになったかなと思います。
<グラフィック>
ところで、前作『MYST』は全ての部門において群を抜いた出来でした。
では今作はどうなのかと言うと・・・
まずグラフィックの画質面及び芸術性については、相変わらず世界最高レベルの出来であったと思います。
97年の作品で、この描き込みは半端じゃないです。
ちなみに、このゲームはPS版もENIXから出ていますが、絶対に買わないで下さい。
PSというか、ブラウン管でやる家庭用ゲーム機の限界なのでしょうか。
PC版のようなグラフィックの緻密さが欠片もありません。
ぐちゃっと塗りたくった感じで、画が潰れまくりです。
これでは全く比べものになりません。
雲泥の差ですし、完全に別物です。
私は当時、PCの調子が悪くなったことと、PSの方がいつでも手軽にできるかなと思い、PC版を持っているにもかかわらず、PS版も購入しました。
しかし、グラフィックがあまりにも酷くて、それで凄くガッカリした記憶がありますね。
『RIVEN』のグラフィックは最高だと思うけれど、PS版でそのことを語ってもらいたくないなと思いますよ。
PS版は論外であるとしても、PC版は画面内に映る映像に関しては本当に最高でした。
ただ、前年には『ZORK ネメシス』が360度水平パノラマ映像を、そして本作の発売された翌97年には、『アトランティス』が360度全方向パノラマ映像を実現してます。
それらと比べた場合に、相変わらず画面切り替え式の『RIVEN』は、やや技術面でインパクトに欠けていたと思います。
<感想>
次に世界観ですが、統一感ある世界って意味では、複数の全く異なる世界から成る『MYST』より上でしょう。
でもその分、『MYST』の様な全く異なる世界を幾つも体験というのがないため、次はどういった世界が用意されてるんだろうってワクワク感が、あまりなかった気がします。
統一性か多様性か。
雰囲気ゲーを好む人には統一された世界観の方が好まれそうだし、私のように、いろんな世界を楽しみたい人は多様性のある世界観の方が好まれるでしょう。
まぁ、ここら辺は正解があるわけではなく、完全に好みの問題でしょうね。
また、CD1枚だった前作に比べ、今作は5枚組になりました。
ボリュームは大幅に上がりましたね。
まぁ、そもそも自力クリアが困難なほどの高難度ゲームに対して、ボリュームも何もあるかって話はあるかもしれませんが。。。
<評価>
総じて、どの要素も非常に優れているし前作より進化しているのだけれど、前作ほどのインパクトはないのかなと。
でも前作ほどのインパクトはないとは言っても、それでも各要素が他のゲームを圧倒してる点は変わりなかったですね。
そのため、総合でも文句なしに名作といえるでしょう。
点数の上では『MYST』より低くならざるを得ないとしても、それは93年の基準と97年の基準の違いからくるもの。
現時点において、MYST系最高傑作の地位はゆるぎないでしょうね。
MYST系ADVにおける最高品質の芸術的謎を、ぜひとも体験してもらいたいです。
ランク:AAA-(傑作)
Last Updated on 2024-12-09 by katan
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