96年にファミレスを舞台にした恋愛ゲームとして発売されヒットしたのが『Piaキャロットへようこそ!!』でした。
今作はその続編で、舞台は4年後となります。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
ファミレス「Pia キャロット2号店」を舞台に繰り広げられる甘くて切ない1ヶ月だけのバイト生活。
かわいい女の子たちとのバイト生活で、やがて恋の予感が芽生える。
US(ユニフォーム・セレクト)モードを搭載し、「メイド・タイプ」「アイドル・タイプ」「スクール・タイプ」の3タイプを楽しめる。
<感想>
シリーズ2作目になります。
前作の4年後ということで、前作主人公の妹であり人気キャラだった留美も登場するのですが、本作自体は主人公も舞台となる店もかわっています。
前作を知っていればニヤリとできるシーンはありますが、プレイしていなくても特に支障はないでしょう。
ゲームシステムは、一応恋愛ADVと考えておいた方が良いかと思います。
パラメーター等の概念があるので、一見すると育成SLGっぽく見えるかもしれません。
しかし、育成SLGの要である数値の変動を楽しむというものではなく、パラメーターはあくまでもADVで言うフラグを可視化させた進行度の目安の意味合いしかありません。
そのため、SLG好きよりADV好きの人に向いているでしょうし、これは恋愛を扱ったノベル系のADVと捉える方が良いかと思われます。
ゲームシステムに関しては、前作から若干のマイナーチェンジこそありますが、基本的には前作のをほぼ踏襲したと考えて良いでしょう。
そのため、特にインパクトはないですが、通常のノベル系ADVよりやりがいがある分だけ、若干は高く評価できるかと思います。
なお、本作はファミレスが舞台ということで当然制服があります。
この制服を3種類の中から選べるというのが、このシリーズの特徴でもあります。
残念ながら私はそっち方面に興味がないので、あまり楽しめませんでした。
もっとも、これは好きな人には大変良いシステムだったでしょうね。
グラフィックは綺麗だった前作にも増して、更に綺麗になりました。
前作がPC-98用で本作がWIN用ですからね。
たった1年ではありますが、この違いは大きかったですね。
おそらくこの頃のグラフィックについては、F&Cは業界の中でも1・2を争うほどの位置にいたのではないでしょうか。
また、単純な画質面だけでなく、キャラも非常に可愛かったです。
原画は、みつみ美里さんや甘露樹さんでゼロ年代前半なんて、原画はみつみクローンばっかでしたからね。
後の萌え絵のフォーマットを作った人たちだけに、本作の原画も別格でした。
メインヒロインのあずさは、特に私のストライクゾーンのど真中で、ビジュアル的には当時の私的には理想のヒロインでもありました。
もちろん他のどの娘も可愛かったですからね、発売前の期待値という点では97年でも筆頭クラスの作品でした。
ここは何を重視するかということが関連するのですが、PC-98末期のアダルトゲームに比べると、90年代後半のWIN用ゲームは演出面が退化しています。
キャラや背景の細かい動きとかがなくなってしまったんですね。
でも、あまり当時のユーザーはそういうことに興味がなくて、一枚絵であるCGの完成度の方を求めていたように思われます。
私からすると、PIAキャロ2というのは、一枚絵の良さを追求していた、その時代の象徴のように思えるのですよ。
後は、肝心のストーリー面なのですが、これも基本的には良好だったかと思います。
手堅く無難には纏めてきていると言えるでしょう。
ただ、残念なことに、エロさが弱くなりました。
前作は、一見すると普通の萌えゲーっぽくありつつも、実はHシーンで結構エロく感じるポイントが多かったのです。
萌えにはエロはいらんって人もいるけれど、個人的には萌えてエロい方が好きなんですよね。
しかし、今作は、そのエロ方面がかなりマイルドになってしまいました。
時期が時期だけに後の家庭用ゲーム機への移植も考えて、それで楽に移植できるよう元から控えめにしたのかもしれません。
経営の効率面だけから言えば、それで正しいのかもしれないですけどね。
なんだか前作よりインパクトが薄れてしまった感じがして残念でしたね。
個人的には、初代のエロというのは、萌えだけのエロゲやギャルゲとは異なるのだよという、差別化の意味も多く含まれていると思っていただけに、余計にも、これでは他所の萌えゲーと変わらなくなってしまうじゃんって思ったものです。
<評価>
そういうわけで、基本的に楽しくはあったのだけれど、前作の尖った部分が削られてしまった感覚が強いので、結果的には良作止まりってところでしょうか。
こういうグラフィック重視の萌え作品は、リアルタイムでのプレイに比べると、後になればなるほど楽しめる人は減ってくるのでしょう。
ただ、キャラ重視の萌えゲー路線、それも一枚絵を大事にしつつ、エロは薄くても構わないという後のフォーマットみたいなものは、アイデス(F&C)が仕掛けていたように思うわけでして。
まぁその看板である原画家をその後リーフに引き抜かれたので、その功も罪も忘れられつつあるんですけどね。
でも、確かにそういう動きがあって、SLGからADVへという流れの両方を含んだシステムも含めて、今作はある意味とっても97年を象徴する作品だったのであり、資料的価値も大きいように思われますね。
ランク:B(良作)
Last Updated on 2024-05-10 by katan
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