『サイキックディテクティヴシリーズ3 AYA』は、1990年にFM-TOWNS等でデータウエストから発売されました。
このゲームはPCエンジンにもメガCDにもwindowsにも移植されいますし、「痒い女」で動画サイト等でも有名なので、シリーズの中では案外知名度が高いかもしれませんね。
<概要>
ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。
あらすじ・・・
「私を殺したあなたに会いたかった」と、悲しそうに呟く美しいクライアント。
主人公はその心への潜入を試みる。
暗闇に映し出されたものは、彼の忌まわしい過去なのか・・・。
生と死が交錯する中で演じられる神秘なサイコ・トランス。
そしてそこには、ある人物の恐るべき罠が仕掛けられていた。
様々な謎をはらんで、物語は進行する。
<感想>
知る人ぞ知る「サイキックディテクティヴシリーズ」も、この作品で3作目になります。
1と2は前年の発売でしたが、どちらも名作かそれに順ずる素晴らしい作品でした。
そのシリーズの続編ってことで、否応無しに期待してしまいますよね。
もっとも、シリーズ物の3作目って、評価が極端に分かれている印象があります。
本作も良い方に転がれば良かったんですけどね、残念ながらそうは上手く行きませんでした。
纏まりが欠けているというか、どうにも面白さに欠けているんですよね。
とはいえ、これは前作までが良すぎたので、それとの比較で物足りないという側面も強いです。
単体で見れば十分水準以上じゃないかなって思いますし、本作ならではの強みも有していました。
すなわち、ADVの歴史は、ある意味ではグラフィックの進化の歴史でもありました。
そして本作は、その観点からは外せない1本だったのです。
具体的には、PC上でアニメーションと音声の同期を、初めて成功させた作品だったんですね。
ストーリーが良ければそれだけでも満足できるでしょうが、同程度のストーリーならば、グラフィックとサウンドが優れている方が楽しめますからね。
ましてやハードの性能が低い時代でもあったので、動いてしゃべるってだけでも、とても興奮したものです。
一番印象的なのは、痒い女でしょうね。
事務所に来た女が、かゆいかゆいと言って頭を掻きはじめます。
そうすると、冒頭の画像のように、頭や顔の皮が全部アニメーションで剥がれるのです。
凄いんだかホラーなんだか笑えるんだか何だかいろんな感想が錯綜しますが、とにかくインパクトだけは絶大でした。
個人的には、剥がれたシーンより、その後にこの姿のまま、自分の荷物を拾って持ち帰るシーンの方がシュールで好きでした。
あのシーンだけは、間違いなく死ぬまで忘れないでしょう。
<評価>
おそらく、本作をシリーズの中で一番好きって人はほとんどいないでしょう。
ストーリーの出来自体は、シリーズの他作品と比べるとそれ程でもなかったですからね。
しかし、ストーリーの出来は別としても、アニメと音声の同期で業界に技術的に貢献し、プレイ側には1シーンとはいえ強烈な印象を植え付けることが出来たわけです。
そんなシーンを作り出せただけでも、作品として成功だったんじゃないでしょうか。
そういう意味ではADV史を振り返る上ではずせない1本でもあり、十分に名作と言える作品だったように思います。
ランク:A-(名作)
Last Updated on 2025-02-03 by katan
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