『for elise ~エリーゼのために~』は1996年にWIN用として、CRAFTWORKから発売されました。
『さよならを教えて』の原点とも言える、狂気系の作品でした。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
長岡建蔵さんの絵に狂気モノということで、2001年に発売された『さよならを教えて』と似た位置付け、というかこっちが先なので原典たる作品でした。
主人公は普通のサラリーマンだったのですが、夢の中で身近な女性たちに猟奇的なことを行い、次第に現実と夢との区別がつかなくなっていき・・・って感じのストーリーになります。
<感想>
分類としては主人公の狂気を描いた作品となるのでしょうが、あまりそっち方面には期待しない方が良いかもしれませんね。
なんかやたらと短くてすぐに終わってしまったこともあり、ストーリー的には消化不良に終わったとしか言えませんから。
しかも、プレイ時間が短い中で、序盤は職場で虐げられているシーンが続くことから、悪い意味で鬱な気持ちになるわけでして。
そういう意味では、むしろ鬱ゲーに近いのでしょう。
仕事で滅入った時に本作をプレイすると、余計に滅入ってしまうので、プレイ時期は選んだ方が良いでしょう。
グラフィックは、長岡建蔵さんの絵はとても良かったですね。
ダークな雰囲気が私好みだったといのもありますが、これは時期的なものもありますね。
つまり、この頃はまだPC98のゲームも多かっただけに、長岡さんの絵をWIN用の綺麗な絵で見れたというのは、更にインパクトが大きく感じられたのです。
ただ、一枚絵には文句はないのですが、通常時は実写取り込みに立ち絵だったわけでして。
私は実写取り込みの絵があまり好きではないんですよね。
絵というのはキャラだけでなく全体から成り立つものですから。
それでもショボイ背景しか描けない人であれば、別に実写取り込みでも構わないんですけどね。
長岡さんはディスプレイ全体を使って、絵全体で表現できる人だと思っていますから、どうにも手抜きに思えてしまうのですよ。
まぁ別にこれでマイナスになるわけでもないのですが、長岡さんが全部描いていたら大幅なプラスになるところ、一部だったので小幅なプラスに終わったってところですね。
他にはサウンドも良かったので、絵の魅力とともに全体的な雰囲気は良かったと思います。
細かなシステム周りも弱かったし、全体的な印象としては出来の良いCG集に、ちょこっと話がついたって感じでしょうか。
一応元は取れたと思うものの、一枚絵以外はいろいろと物足りない作品でした。
<評価>
個性はあったということで、総合では佳作としておきます。
ただ、上記のとおり、いろいろ欠点はありますし、プレイ時期も選ぶ作品ではありますので、あらかじめ理解をしたうえでプレイした方が良いでしょう。
まぁ、さよ教がザク3なら、これは旧ザクみたいなもので、あくまでもファン向けのゲームみたいなものなんでしょうね。
ランク:C(佳作)
Last Updated on 2024-11-13 by katan
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