『Poison Needle』は1993年にPC98用として、メイビーソフトから発売されました。
毒針をテーマにしたオムニバス作品であり、メイビーソフトのデビュー作となる作品でした。
<概要>
ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。
本作はオムニバス作品であり、下記の合計3本のシナリオが収録されていました。
・「人差し指が奏でる旋律」
・「PM 12:00」
・「瑠香の放課後」
<感想>
毒針をテーマにしたとかいうと、ストーリー重視なのかと勘違いしそうですが、本作はどのシナリオもとても短いですし、特に面白いわけでもなく、しかも肝心のオチも弱いので、ストーリーやテーマ性を期待してプレイすると、あまり楽しめないのでしょう。
今風に言うならば、本作はヌキゲーに分類される作品だと思います。
この作品、例えば今初めて事前情報なしにプレイしたら、全然楽しめない作品ではないでしょうか。
ただ、当時の状況を考えると、本作は、何とも93年らしい作品かなと思えてくるのです。
まずゲームジャンルがコマンド選択式ADVで、しかもオムニバス形式というところですね。
この当時のADVはコマンド選択式が主流であり、93年はオムニバス作品も多く発売された時期でもありました。
どういう理由でオムニバスが流行ったのか覚えていませんが、この頃はオムニバスって多かったですよね。
それから、アダルトゲームの歴史の観点からいうと、沙織事件の影響もあって、92年のアダルトゲームって、エロさが極めて薄くなった時期でもありました。
中にはエロを捨てて、一般ゲーの道を模索したブランドもありましたし。
その分、ストーリーの良い作品、ストーリーで勝負する作品が増えたので、ストーリー重視のプレイヤーには良い時期だったと思います。
だから、名作と呼ばれやすい作品も多かったりするのですが、他方で、濃く過激なエロを求めるプレイヤーには、92年は厳しい時代でしかありませんでした。
それが、93年になり、過激なエロを特徴とした作品が出始めました。
ヌキゲーとか、過激なエロのあるエロゲが今もあるのは、この年のアダルトゲーム業界の抵抗というか頑張りが大きいように思います。
本作は、ストーリーこそ弱かったですが、キャラは可愛かったですし、何より、陵辱、緊縛、レズ等、濃いエロやマニアックな属性が含まれており、エロゲはやっぱりエロだろと考えるプレイヤーを楽しませる要素は、十分に含まれている作品でした。
こういう過激なエロでデビューするブランドが出てきたこと自体、92年ではありえないわけでして。
本作のような存在自体が、93年の業界を象徴するようにも思えます。
<評価>
時代背景とか何も知らない人がプレイしたならば、凡作以下と判断されても仕方ないのかもしれません。
しかし、92年までの流れを受けた中で、93年にこうした作品が出てきたという事実、そしてプレイヤーに与えたインパクト等もふまえて、総合ではギリギリ佳作としておきます。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2024-09-24 by katan
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