『黄雷のガクトゥーン ~What a shining braves~』は2012年にWIN用として、Liar Softから発売されました。
いわゆるスチームパンクシリーズの6作目になります。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系のADVになります。
実質的には一本道ですね。
シリーズとしては6作目なのですが、各作品間に直接のつながりはありません。
桜井光さんの作る世界観やイメージが共通しているだけであり、本作からのプレイでも問題なく楽しめます。
<感想>
あらすじを引用し出すと長くなるので省略してしまいますが、シリーズ全体の傾向としてストーリーが優れているというよりも、むしろ雰囲気の良い「雰囲気ゲー」といった印象が強いです。
何より世界観が大事なシリーズですし、自分の感性に合うか否かが非常に大事になってきます。
百聞は一見に如かずということで、シリーズの全くの未経験者はまずOHPで雰囲気だけでも掴むことをすすめます。
元々癖が強くて合う合わないが分かれるシリーズでしたし、そこで全く興味を抱けないのであれば、誰が褒めたとしても、たぶんいくらプレイしても合わないでしょうから。
シリーズ過去作を知っている人に説明するのであれば、本作はスチパンにヒーローものが混ざったような作品となります。
まぁスチパンに今流行りの学園異能ものテイストを混ぜたと、そう言っても良いでしょうか。
本作は癖の強かったシリーズの過去作よりも分かりやすくなっているし、題材的にも今受けやすいものでもあるので、結果的にスチパンの入門用にも適しているのでしょう。
いや、別にこれを入門用として私自身は薦める気はないですけどね。
シリーズのファンとしては1作目からやって欲しいとなりますし、出世作である2作目のインガノックからというのもありえるでしょうし。
ただなぁ~、私はこのシリーズの中で名作として紹介した物もあるし、だからつべこべ言わずにやれと言いたくもなるのですが、言ったところでプレイしない人ってのは、世界観が難しそうとか自分に合わなそうって言い出すわけでしょ。
結局は自分がやる気になれるか否かであり、過去作がどんなに評判が良くても乗り気になれなかった人でも、王道っぽい本作ならプレイしてみるかって思う場合もあるでしょうし、だから結果的に本作が入門用のような立場になるのでしょう。
癖が取れて万人向けに近付いたことは、ライターの名を広める良い機会でもありますし、その観点からは良いことなのでしょう。
しかし個人的には、癖が取れたことで魅力が損なわれ、プレイしたシリーズ作品の中で最も印象の薄いストーリーとなってしまいました。
そもそも、この手の題材、ちょっと食傷気味だし。
スチパン自体もマンネリ化し始めているのに、更にありふれたネタを混ぜ込んでくるわけですから、当然といえば当然なのでしょうが。
一応補足しておくと、癖が取れたと言っても、あくまでも過去作との比較の話です。
基本的にヒロイン視点で進みますので、女性視点の作品が合わない人は、注意が必要でしょうね。
個人的には、むしろ女性主人公の作品の方が合うのですけどね。
本作のヒロインのネオンが、これまた可愛くって。
ストーリーなどにはグダグダな部分もあったけれど、ヒロインの魅力だけで私は楽しめたって感じですし。
逆を言えば、ネオンがいなければ、何の価値も見出せなかった作品でもあるんですよね・・・
ミニゲームっぽい要素を加えるのも、このシリーズの特徴ですが、例題と回答という今回のは何だか手抜きに見えましたし。
<評価>
新規層の開拓という点では意味のあった本作。
他方で過去作が好きだった自分にとっては、少しもの足りない作品でもありました。
最後に少し余談なのだけれど、シリーズ前作のソナーニルも女性視点でしたが、あっちは少女漫画っぽかったのでね、それで少し違うかとも思ったのだけれど、本作なんかは雰囲気的にも乙女ゲーと近いように思うわけでして。
そもそも、エロなんかも本作より18禁乙女ゲーの方がエロいですし。
本作をプレイして女性視点駄目だったという人は、あまり乙女ゲーに向いていないかなと思いますが、本作で何も違和感がなかったという人ならば、私は乙女ゲーもいけると思うんですよね。
そういう意味では、男性の乙女ゲー進出への足掛かりにもなれるし、他方で普段乙女ゲーをプレイする女性にも手を出しやすい作品と言えるのかなと。
そうなると作品としては個人的には不満も多かったのだけれど、各種入門用・橋渡し的な作品としては結構優秀な作品かもしれませんね。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2024-12-01 by katan
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