キャピタリズム2 (Capitalism 2)

2002

『キャピタリズム2』は、2002年にWIN用として発売されました。オリジナルの海外版『Capitalism2』は前年2001年の発売になりますね。

経営SLGの決定版とも呼べる作品でした。

<概要>

単にSLG(シミュレーションゲーム)って言っても、細かく見ると幾つもジャンルがありますよね。
戦略・育成・箱庭・経営・・・って感じで。

SLGが好きな人は少なからずいると思いますが、どうしても好みというのはあるわけでして。
それはSLGのジャンルによっても面白さのベクトルが異なることから、当然と言えば当然なのでしょう。

そのため、人に薦める場合には、単にSLGと言うだけでは足りず、こういうSLGだよって説明も必要になってくるわけです。

さて、このSLG。
細かくジャンル分けできるものには、大抵代表作があります。
しかし経営SLGに関しては、古くから存在するわりには、代表作がパッと浮かんでこないと思いませんか?

自分が知らないだけかもだけどね・・・
すぐに浮かんでくるのは『コンビニ』シリーズかなぁ~

しかも経営SLGは幾つかあっても、そのどれもが局地的というか特定分野に限った作品なんですよね。
だから私は、特定分野に限った経営SLGではなく、もっと大きな視点からの経営物をやりたいと常々思っていたわけです。

そんな時に発売されたのが『キャピタリズム2』でした。

<感想>

これはね、広いですよ。
まず、扱う産業が、あらゆる産業にまたがっています。
しかも、初めからやらなければならないのです。

例えば、ある製品を売るとして、その材料が何種類かありますよね。
その材料を他所から集めると手っ取り早いけれど、どうしても購入コストがかかってしまいます。
そこで、自社生産って方法も選べます。
この場合、購入コストはかからないけれど、材料を作るための工場を建築しなければならないのです。
とすると、長期に渡り売れ続ける商品でなければ、工場設立の費用の方が高くなってしまいます。
短期間だけなら、他所から購入した方が安くなりますから。

何を作るのか、それにはどの材料が必要か、その材料は買うかのか作るのか。
集めた材料で新商品を作るにしても、新工場で作るのかそれとも既存のラインを利用するのか。
出来た製品はどの価格で販売するのか、また、そのためにどれくらい宣伝をすべきか。

やることは無数にあります。
でもだからこそ、やりがいもあるわけでして。
ここまで本格的な経営SLGってそうはないですからね。
経営物好きは、ぜひとも押さえておくべき一本かと思いますね。

なお、グラフィック・サウンドは大したことないかも。
まぁ、数字の管理がメインの経営物では、あまり凄いのはいらないですけどね。

ところで、これはやっていると気付くのですが、SLGの多くには目的の設定されたクエストモードと、自在に遊べるフリーモードがあります。
そして大抵の場合、クエストモードは操作方法を学ぶための小手調べで、上級者はフリーモードで延々と遊ぶわけです。

しかし、『キャピタリズム2』は逆なんですよ。
フリーモードは、それほどやってて面白いとは思わないのです。
多くの産業を扱ってると、どうしても儲かる産業、儲からない産業が出てきます。
そのため、攻略方法にも偏りが出てきてしまうからなんですね。

でも、これがクエストモードになると一変します。
やるクエストによって、作らなければならない品物が変わってきて、その品物によって取るべき手段も異なってくるので、前のマップで使った方法が通用しない場合も多いのです。
そのため、1から攻略方法を考えなければなりません。

個人的な思い入れは、菓子のシェアを奪うマップでしたね。
シェア0から始めて、トップにならなければならないのです。
機械の類は、ブランドの知名度が低くても、性能が良くて価格が安ければ売れますし、それなりに利益もあります。
しかし、菓子は、ブランドの認知度がないと、品質が良くても売れません。
価格を下げるにしても、元の単価が安いのであまり値下げできません。
それまでのクエストでは、高性能低価格路線で口コミ人気に頼っていた自分の戦略が、ここでは全く通用しないのです。
これは悩みましたね。

そこで、方針転換。
予算をとにかく宣伝費に注ぎ込みました。
品質はそこそこ、価格は最低限、あるお金は全て宣伝に・・・
とはいえ、こっちが幾ら宣伝しても、誰も知らないブランドの商品なんか、急には誰も買ってくれません。
ず~っと赤字経営でしたね。
何せ物は全く売れなかったのですから。
ただ、認知度だけは少しずつですが上がっていきました。

そして、破産寸前にまで追い詰められた調度その頃、ついにブランドイメージが他社を完全に上回りました。
それからは一気に売れ出しましたね。
もう、菓子の価格をどれだけ上げても消費者が買ってくれるんです。
地獄から一転、ぼろ儲けですよ。
あの転換の瞬間は、何とも言えないくらいに快感でした。

数字を管理するだけの地味なゲームと思われがちな、経営SLG。
でも、経営SLGにだってカタルシスは存在するんですよね。
この経験は、他の何物にもかえられない経験でした。
本作をプレイして、本当に良かったです。

<評価>

総合でも文句なしに名作といえるでしょう。
幅広い分野を扱った本格的な経営SLGは、今もほとんど存在しないだけに、本作の価値は失われないでしょうね。

ランク:AA-(傑作)

キャピタリズム2
CAPITALISM II

Last Updated on 2025-03-24 by katan

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