王道勇者

1998

『王道勇者』は1998年にWIN用として、アリスソフトから発売されました。

何気にかなり好きな作品でした。
オマケで付いてきた金属製の栞は今でも持っています。

<概要>

ゲームジャンルはRPGになります。
正確にはマップ上から移動場所を選択するADVに、ダンジョンでの戦闘・育成が加わった形式なので、RPG+ADVとイメージした方が良いのでしょう。

あらすじ・・・
剣と魔法・・・・・・そして、熱血!
神と魔が混濁せしラナティア大陸へ失った過去を求め旅立つザンバ
だが、哀しみを胸に抱いた少女達との出会いがザンバをさらなる過酷な運命へと導いていく。
少女の涙はなにを意味するのか?
そして、過去に秘められた謎とは?

<ゲームデザイン>

本作には大きな特徴が2つあります。
1つ目は戦闘と武器の関係です。
コマンド式のRPGって相性(水系とか火系とか)は別として、基本的に攻撃力の数値が高い武器が手に入れば、以後は数値の低い武器は用無しです。
そこにプレイヤーの創意工夫は関係なく、結局は攻撃力の数値で全てが決まってしまいます。

本作は、そこが違うのです。
武器には「威力」と「扱い易さ」と「回数」があって、自分のレベルと敵との相関関係でダメージが全然変わってくるのです。

まず、強い武器が手に入っても扱いの難しい武器に関しては、自分が育ってなければ使えません。
まぁ、それはある意味常識的な話ですよね。

そしていざ威力の高い武器を使えるようになっても、必ずしもダメージが高いわけではないのです。
というのも、威力が高くても1回しか切れないのであれば、ダメージはその1回分だけになりますよね。
しかし、攻撃回数の多い武器であれば何回もヒットするので、与えるダメージが倍々となっていくのです。
1回あたりの攻撃力が低くても、ヒット回数が多ければそれだけ大ダメージになります。

良い例が「ミンチメーカー」という武器でしょうね。
威力は最低なのですが、名前の通り何回も切れます。
数回どころではなく、数十回と切りつけるのです。
数十回も切りつけるものだから、積もり積もって結果的に大ダメージってケースも良くありました。

それ故に、個人的には結構お気に入りの武器だったのですが、これとて決して万能ではありません。
敵があまりに固すぎると、1回当たりが数ポイントにしかならないわけで。
そうなると、いくらヒット数が増えてもダメージはたかがしれています。
この場合は例え1ヒットでも、威力の高い武器が効果的です。
場合によっては中間的な位置付けの武器が一番効果的だったりもします。
一度のコマンドで何回攻撃できるのか、1回の攻撃でどれだけダメージを与えられるのかは、自分と敵のレベルの相関関係に依存しますので、同じ敵を倒すのにしても、レベルが変われば最適な武器も変わるのです。
だから要らない武器もないわけで、どの武器を使えばより効果的かという、非常に戦術的な要素も楽しめるのです。

私はこの部分は凄く高く評価できると思うのですが、驚くくらい他で見かけないんですよね。
まぁ古いゲームなので感想自体が少ないのもあるでしょうけれど。
それともADVパートが主なので、気付かれなかったのかな?
だとしたら、勿体無いですね。

まぁ、終盤にはバランス崩壊の最強武器が出てきたり、しかもそれはランダム入手だったりと問題もありますけどね。
(結局私は、「レジェンド」が手に入りませんでしたorz)

<キャラ>

特徴の2つ目はロリが攻略対象にいることです。
当時はまだ規制がなかったので、これでも大丈夫だったんですね。
しかし今は駄目なので、廉価版ではこの部分が削除されています。

私はあまり興味ないところではありますが、人によっては何より大事って思うところでもあるでしょう。
したがって、ロリ目当てという人は、中古でも絶対にオリジナル版を購入すべきでしょうね。

<感想>

さてその他の部分を見てみますと、本作は上記のようにRPGなのですが、少し異端でもあります。
基本的には簡易同級生型というか、『同窓会』のようなシステムのADVを想像してもらった方が良いでしょう。
つまり、表示されたマップ上から移動したい場所を選択し、そこにいるキャラと会話をするわけです。
ここら辺はADVと何ら変わりませんね。
本作はそこにダンジョンと戦闘が加わった感じなので、戦闘要素の付いたADVと考えた方がしっくりくるかもしれません。
この当時は恋愛RPG的な物も増えていて、本作もその流れに乗った感じでしたね。

ADVパートにおける各ヒロインの攻略とRPG部分の攻略があるので、プレイヤーは意外とやることが多いです。
もっとも、RPG部分は普通にプレイしていれば何とかなるので、攻略で苦しむのはもっぱらADVパートになるかと思います。

ADVパート、つまりキャラの攻略が目的となるわけですが、個人的にはわりと好みのキャラが多かったです。
お気に入りは、やっぱりファネルですね。
ちなみに、通販特典のキャラの絵入りの金属製栞は今でも持っていて、たまに使ったりします。

まぁ、総じて基本的にはオーソドックスなファンタジー作品で、そこにアリスらしい熱い男たちが加わってくる作品。
おそらく、一般的なイメージはそんなところかと思います。

<評価>

王道勇者なんて題名からオーソドックスだと思われがちな本作ですが、上述のようになかなかどうして地味に癖の強い作品でもありました。
私のように武器の収集と武器の違いをいちいち比べるような、そんな酔狂者は結構楽しめるのではないかと思いますが、根本的な部分でこのゲームはいろいろと勿体無かったですね。

戦闘部分の凝り具合や、ストーリー展開など、部分部分ではとってもアリスっぽいのです。
でも、プレイしたアリスファンの多くは、何だかアリスっぽくないな~って思うのではないでしょうか。

そもそもアリスは、個々のシステムで画期的なものは、実はほとんどないような気がします。
でも、各要素の融合具合が絶妙で、トータルでは他に見られないような作品に仕上がっているのだと思います。

それがアリスらしさを醸し出しているのだと思うのですが、本作は決定的にその部分が駄目だったんですよ。
本作の特徴である戦闘とロリを全面的に押し出した作品であれば、もしかしたら後世に語り継がれる名作になっていたかもしれません。
しかし、戦闘部分は難易度が低めで、あまり気にせずともクリアできてしまうわけで、多くの人はADV部分の攻略に注目してしまうのです。
結局、システムが混じりあうことで、かえってゲームのどこに焦点を当てたのか、分かりにくい構造になってしまいました。

ストーリーにしてもそうなのですが、ゲーム全般においてアリスの他の名作に見られるような、各要素が相乗的に作用しあって、それが面白さを演出していくような構造がなかったんです。
個々の要素が如何にアリスっぽくても、一番アリスっぽさを出すはずの部分がイマイチなのでは、どうしてもアリスらしくないって感じてしまいますよね。
このゲームの一番の問題はその部分にあるのであって、故に好きな部分が一杯ありつつも、総合では良作止まりかなって感じてしまうんですよね。

まぁできるだけ客観的にと思うと上記の通りなのだけれど、個人的には印象深い作品であり、非常に好きな作品でしたね。

ランク:B(良作)


Win95 CDソフト 王道勇者

Last Updated on 2024-12-25 by katan

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