夏のひめごと。

2014

『夏のひめごと。』は2014年にWIN用として、おてもと屋から発売されました。

技術の進化を感じるだけでなく、この時代に出たからこそ、大きな意義があるのかもしれませんね。

<概要>

夏の田舎、蝉の音に混じり聞こえてくる元気な掛け声。
暇を持て余し木陰で昼寝をしていたあなたは、姪のわかばとふたばにかくれんぼに誘われました。
そして汗だくになって遊ぶ中、わかばと一緒に今は使われていない古民家へやって来ます。

そこは隠れるには絶好の秘密の場所で……

これは背伸びしたい年頃のおませな双子姉妹と、少し歳の離れたおじさんとのちょっぴりエッチな夏の一齣です。

・基本動画50本+差分+テキスト
・動画解像度 960×600

<感想>

本作はクリアまでに1時間もかからない3Dの動画があるだけなので、ゲームと言えるかも難しい、ムービーとの境界線上にある作品と言えるでしょう。
まぁ、クリックしながら進めるので、一応インタラクティブムービーとしてゲーム扱いでも構わないかなということで、ここでもゲームとして紹介します。

内容も単純であり、双子の炉利とひたすらHをするだけです。
こういう作品は、誰が紹介しなくても、或いは誰が反対しても、好きな人は勝手に購入しちゃうでしょ。
逆に興味がないと、仮に他人から強くすすめられたからって、プレイしようって気になりにくいでしょうしね。
そういう意味では、記事を書く必要性がない作品かもしれないですけどね。
だからまぁ、本当に自分の思ったことだけを書いておきます。

私は常日頃から個性や独自性を重視する方なのだけれど、それは必ずしも今までなかったようなものや斬新である必要はないのです。
過去よりも進化しているなとハッキリ感じることができるのであれば、それも一つの長所と言えますから。
ゼロ年代以降のアダルトゲームに関しては、これは斬新だなと思えることは非常に稀であることから、進化を感じさせる方向性の作品の方が出会う確率も高いのでしょう。

進化と言っても、これまたいろんな方向性があるのでしょうが、一番誰の目から見ても分かりやすいのがグラフィックの進化なのでしょう。
まぁグラフィックの進化も、本当にこれは凄いと思えることは、中々ないのですけどね。
特に2Dでは、進化どころか退化と感じることすら多々ありますし。
グラフィックの中でも、特に進化を感じやすいのが3Dになるでしょうか。
3D動画系の作品は、毎年のように進化を感じられる作品が出てきますから。
・・・結局のところ、私は3DCGの美少女に特別な興味があるわけではないのだけれど、現在のエロゲの中で毎年明確に進化を感じさせる唯一のジャンルだけに、つい気になってしまう感じなんですよね。

本作も、そうした3DCGから成る作品で、その画質は発売時における最高峰の作品の一つと言えるのでしょう。
肌の質感とかリアルすぎて、逆にちょっと引いてしまう人もいるかもですがw
キャラも、個人的にはあまり可愛いとは思わないのですが、その辺も妙なリアリティにつながって感じるわけでして。
夏の古民家の中での炉利との情事が独特の雰囲気を生み出し、画質のリアルさとの相乗効果も加わることにより、まるで本当に自分がいるかのように錯覚するだけでなく、こんな作品は体験したことが無いと思わされるような、インパクトを生み出しているんですね。

もっとも、画質に関して言うならば、現時点で最高峰とはいえたとしても、突然変異的に突出した物が出てきたのではなく、同系統の作品をプレイしてきた人の場合だと、進化分も予想の範囲内でしょうから、それ程驚かないでしょうけどね。
むしろ二次元の商業エロゲしか知らなかった人の方が、プレイした時の衝撃は大きいように思います。
そういうわけですので、本作のグラフィックは確かに良いものの、個人的にはそれ程大きなプラスポイントでもない感じですね。

むしろ画質云々よりも、もっと根本的な部分が重要なのであり、つまりこのリアルな映像で炉利を扱ったこと自体が、一番のプラスポイントなのでしょう。
上記のように本作はゲーム性も乏しいですから、リアルなムービーを見ているようなものであり、もしキャラが熟女であったのならば、だったら普通に実写のAVでも見た方が良いのではと言っていたでしょう。
しかし炉利を扱ったということで、そこに新たな存在価値が生まれたのです。

<総合>

本作が数年後に一体どう捉えられているか分らないし、仮に同人ゲーファンの間で伝説的な存在になっていたとしても、商業エロゲしか知らない大半のエロゲユーザーには無縁の存在なのでしょう。
だから数年後に各年代の名作エロゲを挙げるような企画があったとしても、本作のような同人エロゲの名が挙がることはほとんどないと思います。
でもね、私のコラムなんかも読んでいる人は分ると思いますが、その年の名作として多くの人の口から名が挙がるタイトルだけやっても、その年の特徴なんて掴めるわけがないし、そんな作品だけやってエロゲを分ったつもりになることは、非常に愚かしい行為なんですよね。

3DCG系の作品は年々進化しますし、数年後には本作以上の作品が普通に存在しているのでしょう。
それで数年後に本作をプレイして、今ならもっと綺麗な画像の作品があるから価値がないというのは、私は誤っていると思うのです。
2014年の法改正で実写炉利の画像を持っているだけでも犯罪になり、その法改正のあった年に、実写と見間違うような高品質の3DCGの炉利ゲーが出てきたと。
本作も、もしかしたら数年後には規制対象になっているかもしれないですが、そういうギリギリのラインの代替手段となる作品が出てきたこと自体に、炉利好きに次なる可能性と期待を示してきたことに、非常に大きな意義があるのです。
本作の価値というのは、2014年という状況を理解していないと、本当の意味では分からないのでしょう。
私は普段から評価は発売時を基準になされるべきだと言っているけれど、本作をプレイして価値を見いだせた人ほど、その意味が分ってもらえるのではないでしょうか。

グラフィック以外の部分が弱いこともあり良作止まりとしておきますが、間違いなく2014年を象徴する作品の一つと言えると思いますね。

ランク:B-(良作)

Last Updated on 2024-10-14 by katan

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