ライト・オブ・パッセージ 樹海の子供

2013

『ライト・オブ・パッセージ 樹海の子供』は2013年にWIN用として、Mad Head Gamesから発売されました。

オリジナルは同年に発売された、『Rite of Passage : Child of the Forest』になります。

<概要>

あらすじ・・・
ウィローリッジの町は長年、永遠に続く闇に包まれており、町は迫り来る樹海の怪物のような木々に呑み込まれそうになっている。
それをギリギリのところで食い止めているのは、夫アランが灯台守を務める大灯台の光だった。
ところがアランは謎の女性に森へ導かれていく悪夢に悩まされるようになり、やがてこの女性が町を永遠の闇から救うカギを握っているのではないかと考えるようになった。
その答えを求めてアランが樹海に探索へ出かけた隙に何者かの破壊工作によって、灯台の明かりが消えてしまった。
誰が、何のために?樹海に入ったまま戻らないアランの行方を追い、町が闇に包まれた原因を突き止めよう!

本作は、カジュアルゲームとして主にビッグフィッシュで発売されており、そこでは「アイテム探し(HOG)」に含まれています。
しかしADV色がかなり強い作品ですのでHOG要素のあるADVとして、HOG系ADVと表現しておきます。

<ストーリー>

ライト・オブ・パッセージシリーズの2作目なのですが、前作とは繋がりがありませんので、本作からで全く問題ないです。

ストーリーは夫を探しつつ、樹海の謎を解くというもので、基本的にはファンタジーものと考えて良いでしょうね。
ストーリーだけなら前作の方が凝っているかなという気もしますが、本作も十分に面白いです。

<ゲームデザイン>

ゲーム部分もADVを基本としつつ、そこにアイテム探しが加わっており、パズル、アイテム探し、ミニゲーム、アイテムの組み合わせなど、どれも文句のない出来になっています。

個人的には小物を有効活用するところは、HOG系ADVで新たに発展している部分だけに高評価です。
他にも日記やワープや細かい難易度選択など、とても丁寧に作られていますね。

<感想>

本作において、個人的に最も注目したのがグラフィックでした。
洋ゲーのADVの発展の方向性は幾つか考えられるのだろうけれど、PCやコンシューマーでは3Dが中心になっています。
それが時代の流れだと言われてしまえば仕方ない面もあるのだけれど、必ずしも3Dにしなければいけないわけではなく、伝統的な2DのP&C式ADVの発展の方向性もあると思うのですよ。

従来のHOG(アイテム探し)とP&C式ADVは異なる物でしたが、HOGが次第にADV色を強めることにより、HOGというよりも、アイテム探し要素を含んだADVと呼べる作品が出てきました。
ライト・オブ・パッセージシリーズなんかも、その中の一つと言えるのでしょう。

HOG系ADVがP&C式ADVに近付くことで、またHOG系ADVに手描きを中心とした2Dの作品が多いことで、私は90年代までの2DのP&C式ADVの後継作を、HOG系ADVに求めるようになっていったんですよね。

まぁ、HOG系ADVも発展途上中ですので、進化しているなとは思いつつも、過去のP&C式ADVの名作を超えるグラフィックには中々出会えなかったし、逆に超えるのは時間の問題でもあったかもしれません。
ただ個人的に、コレだと感じられたのが、『ライト・オブ・パッセージ : 樹海の子供』だったのです。

綺麗なムービーなら他の作品にもあるのですが、主に立ち絵の使い方に進化を感じられたわけで、演出面が飛躍的に進化したなと思ったわけですね。

<評価>

90年代までの2DのP&C式ADVが好きだったものの、その数は激減しましたし、発売されても新鮮さを感じなくなってしまいました。
もう、この方面で満足することはないのかなと、そんな風に諦めも入っていたんですよね。

そこに登場したのが本作であり、HOG系ADVということで従来のP&C式とも少し異なることで、ゲームにおける新鮮さも感じられますし、2D方面での演出の進化も感じられましたからね。
確かに、本作は90年代のP&C式の名作ほどのボリュームはありません。
(まぁ、価格が安いので、コスパ的にはむしろお得なのですが。)
そのため、ストーリーの厚みの点では、まだ過去の名作には及ばないように思います。
しかし部分的にではあっても90年代からの呪縛を脱し、新たな時代へとようやく第一歩を踏み出した点は非常に嬉しく、2DのADVはまだまだ発展できるんだなと感じられたことが、個人的には一番大きかったですね。

2Dのグラフィック・演出面で大きな飛躍を見せた本作。
制作したMad Head Gamesには、演出面での更なる発展を期待するようになりました。
そして、その期待に、予想をはるかに超える形で、そして意外な形でMad Head Gamesは応えてくれます。
その辺は、またの機会ということで。

ランク:A-(名作)

Last Updated on 2024-11-08 by katan

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