MASARU(勝) あしたの雪之丞2

2002

『MASARU あしたの雪之丞2』は2002年にWIN用として、エルフから発売されました。

シリーズ2作目になります。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

概要・・・
前作「あしたの雪之丞」は、不慮の事故で親友を意識不明にしてしまった「雪村雪之丞」が、仲間との友情や恋愛を通して立ち直る物語。その雪之丞が意識不明にした相手「久保勝」を主人公としたのが、本作「勝 あしたの雪之丞2」になる。
事故以来、青春の全てを掛けていたボクシングを辞めざるを得なくなった勝。退屈すぎるほど平和な日々の中、勝は打ち込む趣味もなく、妹の晶子に心配をかけながら怠惰な青春を送っていた。鬱屈した勝の前に、新しいクラスメートや後輩、別れた彼女など、さまざまな女のコが現れる。彼女たちとの恋によって、勝は自分の新しい生き方を意識していくことになる。
……そして始まる物語。

<感想>

今になってみると蛭田さんの最後の作品は、『河原崎家の一族2』なのだけど、当時は2001年の『鬼作』で引退したとばっかり思われていましたからね。
そのため、『鬼作』以後のエルフの作品には、エルフは今後どうなるのかという、今までとは違う関心も持たれていました。

『鬼作』以後の2001年及び2002年にエルフから発売された完全新作は、『百鬼』『らいむいろ戦奇譚 』『あしたの雪之丞』と本作の4本あります。
その中で一番注目度が低かったのは、おそらく本作だったでしょう。
従来のエルフ好きは『百鬼』に期待していたし、話題性ではあかほりさんが参加した『らいむいろ戦奇譚 』がありました。
また「ながせまゆ」の原画ということで、『あしたの雪之丞』もかなり大きく扱われていましたしね。
しかし、どれもイマイチだったんですよね。
そのため、結果的に見ると本作が一番面白い作品となるのでしょうか。

この作品は、基本的には良く出来ていましたね。
明確な欠点というものは、とりあえずはないんじゃないかと。
ストーリー、キャラ、グラフィック、サウンド、ボリューム、ゲーム性・・・
ほぼ全ての面で、水準以上の内容を保っています。
EDが多めなのも好印象でしたしね。
したがって、アダルトゲーム初心者にはオススメの作品と言えるでしょう。

そうですね、とかく自分の好みが分かっていない初心者の頃は、こういう穴のないゲームから手を出す方が良いのでしょうね。

理由は2つあります。
1つは、上記のように穴がないから万人が楽しめることです。
学園の青春物っていうあたりも万人受けしそうですしね。
また、全てで標準以上ってことは、全ての面で比較基準になりえます。
後にレビューなんかを始めようって考えてる人にも、調度良い指標となりえるでしょう。

もう1つは、多くのゲームをやった人には、おそらく本作はそれほど楽しめないのではという懸念があるからです。
本作は、確かに穴のないゲームではあります。
しかし、逆に強烈な個性もないわけでして。
どの要素も水準はあるけれども、だからと言って個々の要素で他の名作を凌駕する点もまるで見当たらないのです。
結局、穴もないけどウリもないんですよね。
経験が浅いうちは比較対象も少ないから、まず間違いなく楽しめるでしょう。
でも、長所がないから一杯やってる人には印象が薄くなってしまうのです。

もちろん、個々の要素がずば抜けいていなくても、総合的に優れた名作ってのも一杯あります。
もっとも、それにしたって本作の場合、少し遅すぎましたかね。
これが99年頃に出ていたならば、野球で言えば3割30本100打点のイメージだったでしょう。
タイトルはなくても総合で名選手みたいな感じですかね。
でも、2000年からのノベル全盛期以後の作品ですからね、
2割8分20本80打点くらいのあと一歩なイメージになってしまうんですよ。
特に私は個性を大事にしますので、本作は良くは出来ていても凄く印象が薄くなってしまいます。
程度の差はあるでしょうが、たぶん多くのゲームをやってる人は似たような印象を持つのではないかと。
だから、やるならば早いうちだと思うんです。
早いうちならば、きっと楽しめるでしょうから。
どうせやるなら楽しみたいですしね。

ちょっと抽象論が多かったので、最後に中身の注意点を挙げておきます。
本作は続編でありまして、前作の主人公の友人が、本作の主人公になります。
前作をプレイしていなくても十分楽しめますが、舞台と時系列が一緒なので前作をやっていると確実に楽しさが増します。
難点は、前作はキャラは良いけど他がイマイチなことでしょうか。
(本作は逆にほぼ全ての要素で前作を上回っていますが、キャラだけはインパクトが弱かったかと思います。)
そのため、前作を先にやった方が良いとは思うけど、無理強いはできないですね~ってところでしょうか。

あと、テキスト等は良好ですが、ややパロディやオマージュの傾向が強いです。
私は単純に作品としては楽しめたから良いけれど、こういうのに頼るライターに才能は感じられないなって印象でしたね。
気にしないに人には問題ありませんが、露骨に用いてくるケースもあるので、そういうのが引っかかる人は気を付けた方が良いかもしれないですね。

<評価>

繰り返しますが何だかんだで欠点のないゲームです。
そのため、総合でも佳作とします。

少なくとも払った金額以上は楽しめる作品でしょう。
ダウンロード版が出て手を出しやすくもなりましたしね。
全ての項目で基準ともしうる作品ですから、初心者で何をやったら良いだろうかって悩んでいる人には、今でもやってみる価値は大いにあるかと思いますよ。

ランク:C(佳作)

DL版

Last Updated on 2025-03-18 by katan

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