美少女花札紀行 みちのく秘湯恋物語

1997

『美少女花札紀行 みちのく秘湯恋物語』は1997年にPS用として、FOGから発売されました。

タイトルこそ違いますが、後に発売された『風雨来記』の原型となった作品ですね。

<概要>

ゲームジャンルはコマンド選択式ADV+花札となります。

カメラマン志望の主人公は、もし写真コンテストで入選できなければ、花札の家元である父の跡目を継がされることになります。
そこで、平泉で出会った朱鷺子をモデルに、撮影旅行を続けていくというのが、大まかなあらすじとなります。

<グラフィック>

2001年に発売された『風雨来記』は、実写背景に2次元のキャラを重ねており、北海道を舞台にした作品になります。
一方の『みちのく秘湯恋物語』も実写背景に2次元キャラを重ねていて、東北を舞台にしています。

どちらも実写+2次元美少女の組み合わせを用いた作品であり、内容も旅行記的な感じでしたからね。
タイトルこそ違うものの『風雨来記』のプロトタイプ的な作品であり、FOGの旅ゲーの実質的第1弾と言えるのでしょう。

この実写+2次元美少女の組み合わせは、上手く組み合わせないと、かなり違和感が出てくるでしょう。
というか、本作以前にも同様の試みを経験したことはありましたが、それまでは実写背景+二次元って手抜きに見えて、ほとんど好きになれませんでした。

しかし本作は、実にうまく処理していて、変どころか、むしろ他にはない独特の神秘さをも醸し出していました。
塗りの処理の仕方が抜群に上手かったのはもちろんのこと、東北の風景に温泉の湯煙というのと美少女が、上手くマッチしたんでしょうね。
これは正直驚きだったし、大きな魅力となってくると思います。
今まで持っていた偏見を180度転換させてくれたのも、個人的には大きかったですね。

こういうグラフィックと旅行記みたいな内容から生じる雰囲気は、他のゲームにはあまりない傾向で、荒削りな面も否定はしませんが、私はむしろその独自性を高く評価したいです。

<ゲームデザイン>

さて、上記の魅力は、本作にも後の『風雨来記』にも該当しますが、両者にはシステム上の違いも存在します。
『風雨来記』は自分で自由に目的地を設定することが出来ましたが、本作は基本的にコマンド選択式の1本道であり、ストーリー性が高くなっています。
だから行動の自由度がほとんどないんですね。
そのため初代『風雨来記』の高い自由度が好きだったって人には、本作は少し、もの足りないと思うのです。

でも、ここら辺は考え方次第でもありまして、
『風雨来記』は何をして良いか分からないって人もいたわけです。
『風雨来記2』は自由度が減りましたが、やることが判り易くなってとっつきやすくなっていました。
本作にも『風雨来記2』と同じことが言えて、あまり複雑にルートとかを考える必要がないことから、気楽に旅行気分を満喫できたんですね。
本格的に取り組みたいなら『風雨来記』でしょうが、疲れたときのちょっとした気晴らしにはこっちの方が向いていて、これはこれで結構楽しめるものです。
また、FOGによる旅行ゲーの一作目ですから、最初はこれくらいで慣らしていくのもありなのでしょう。

それと、本作は別名花札ゲームでもありまして、要所要所で花札勝負をすることになります。
また、カメラマンということでヒロインを撮影するモードもありますし、格別優れているとは言えないまでも、並のコマンド選択式ADVよりはゲーム性全般は優れていると言えるでしょう。

<感想>

ストーリーは東北各地を周っているうちに何者かに追われてって感じで、2時間物のミステリードラマによく出てきそうな設定です。

これ自体は長所と呼べるほど優れたものでもありませんが、多少の謎と緊張感を保ちつつ、無駄にだれる要素もありませんので、誰でも普通に楽しめるって感じだと思います。

それでいて、各地を周りながら薀蓄も聞かされますし、『風雨来記』と同じで本当にそこに旅をしているように、いろいろ詳しくなっていけます。

つまり本作は、東北地方を実写と薀蓄で堪能しつつ、時折花札に興じつつ、温泉で美少女を撮影するというゲームなわけです。
個々のシステムというより、全体の印象で他にはない異彩を放つタイプといえるのでしょう。

<感想・総合>

総じて、内容的には無難に出来た、欠点のない良作タイプだと思います。
ただ、上記のようにCGと雰囲気の持つ個性は抜群ですので、その点をプラスし名作扱いとしておきます。

東北地方に焦点を当てたゲームはまずないですし、当時はもちろんのこと、今でも重なる作品は他にないでしょう。
こういうCGに惹かれるものがある人や旅行が好きな人なんかは、たぶん今でも楽しめるんじゃないかと思いますね。

ランク:A-(名作)


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Last Updated on 2024-12-04 by katan

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