『卍 (まんじ)』は1984年にPC88用として、CSKから発売されました。
谷崎潤一郎の同名小説を映画化したものを、更にゲーム化したものになります。
<感想>
ゲームジャンルはコマンド入力式ADVになります。
つまり、キーボードで直接打つタイプになりますね。
もっとも、事前に質問され、それに対して答えるという形式ですので、比較的何をすべきかは分かりやすかったのかなと。
内容的には、ミツコをいかせることが目的になります。
一応は谷崎潤一郎の同名小説を映画化したものを、更にゲーム化したって位置付けみたいなんですけどね。
設定としては、主人公の妻がミツコに万引き現場を見つけられ、ミツコに脅されるうちに同性愛に目覚めてしまったと。
次第にミツコは自宅にまで現れるようになったことから、逆に主人公がミツコに手を出すことにって流れです。
恥ずかしながら原作は読んでいないのですが、本来ならその三角関係が濃密に描かれているのでしょうね。
しかしゲームの方はそんな複雑なものではなく、設定だけを借りて目の前の女性(ミツコ)をいかせることができるのか、本当にただそれだけの内容です。
<評価>
たぶん、今更こういうのに興味のある人はあまりいないだろうし、今はもちろんのこと、当時基準であっても面白い作品ではないでしょう。
ただ、今回扱ったのには、一つ思うことがあったわけでして。
人は自分の興味のあるものには食いつきやすいですし、またネタとして扱いやすいものにも注目しやすいのです。
つまり、80年代前半のアダルトゲームと言った場合、簡単な紹介であればあるほど、PSKのロリゲーばっか紹介されるんですよね。
だから何も知らない人がそういうのを見たら、80年代前半ってロリゲーの時代だったんだって思うかもしれません。
また、雑誌とかでロリコンはブームになっていましたから、文化的にそういうのをつなげたがる気持ちも分からないでもないです。
ただ、オタクでPCを持っている人は少なかったし、アダルト市場の動向とPCゲーの動向をそのまま結びつけるのはどうなのかなと。
少なくとも今のオタク市場とエロゲの関係のように、簡単に結びつけて考えることはできないように思います。
それでも各社がこぞってロリゲーを出していたならば、話は別なんですけどね。
85年の『天使たちの午後』以降は美少女ゲームが増え、いわゆるロリゲーは比率的にも非常に少ないです。
本格的にPCゲーが増えたのは83年からですが、83年と84年のロリゲーって、ぶっちゃけPSKの功績がほとんどなんですよね。
今でも寝取られゲー特化とか、一つのジャンルにだけこだわるブランドがあります。
それはブランドがこだわりを持って作品を出し続けているだけであり、必ずしも流行しているとは言えません。
もちろん、PSKの作品にはファンも多いのですが、少なくともPSKの存在だけをもって80年代はロリゲーというイメージを持つのは、少し危険なように思います。
当時の売り上げランキングとか知らないので憶測でしかありませんが、むしろ劇画系、或いは大人を対象にしたアダルト系の方が、主流と言えるのではないでしょうか。
80年代前半の作品としては『団地妻の誘惑』で有名な、光栄のいわゆる黒歴史と呼ばれる作品があります。
他にもこの当時精力的に活動していたのがCSKでした。
82年から84年の間に、PC88だけでも90本以上のゲームを発売していたんですよ。
その大半は一般ゲー(と言っても、当時はアダルト・一般の区分け自体ないので、アダルト要素を含むか否かというこちらの判断でしかないのですが)でしたが、中にはアダルト要素を含む作品があったんですね。
その中でも東映の映画とタイアップした作品が幾つかあり、本作も起動させると東映の文字が表示されます。
当然ながら内容は大人向けのアダルトなものですし、グラフィックも劇画調なものでした。
こういう作品が好きだった人は、まず今のエロゲに興味を持てないでしょう。
逆に今のエロゲユーザーは、昔こんなのがありましたってロリゲーを見せられたら、酷い絵だなとは言いつつもネタとして食いついてくるでしょう。
でも、劇画調の作品には、食いついてすらこないのではないでしょうか。
だからどんどん語られる機会がなくなっていくのですが、東映作品と組むことも多かったこちらの方が、売り上げはあったんじゃないかと思うんですけどね。
PCの所持者も何か別のことに用いる非オタな人の方が多かったでしょうし、週刊誌のエロ漫画が劇画であるように、ロリ絵よりも劇画の方が好まれると思うのですよ。
今の視点でロリにばっかり注目することは、時代を歪めて捉えているのかなと、そんな風に思ってしまうんですよね。
作品そのものと関係ない話が多くなってしまいましたが、昔の作品の紹介を見る際に何か考えるきっかけになってくれればなと思いますね。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2026-01-31 by katan


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