ほとせなる呪 ちとせなる詛

2002

『ほとせなる呪 ちとせなる詛』は2002年にWIN用として、
Project-μから発売されました。
ノヴェル・シアターPLUSの完成形と呼べる作品になるのでしょうか。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・主人公のもとに、遠くはなれた故郷から幼馴染の少女が訪ね来た。
少女の目的は、同郷で主人公の遠縁の親戚にあたる男が死んだことを、男のたった一人の肉親に伝えること。
だが、男の肉親も、男同様に奇怪な死を遂げた後だった…。
その時を前後して、主人公の近辺に暗躍する謎の人物たちの姿があった。
続々と怪死事件は増え続け、歩調を併せるように急激な広がりを見せる都市伝説“閉ざされた少女からのメール”の存在も明らかになる。
その事件の渦中に巻き込まれてゆくと共に、主人公の日常が、ゆっくりと、そして確実に、それまで非現実であったものに侵食されてゆく…!!
呪われた都市伝説によって突きつけられる死の宣告、身近な人々に、次々と忍び寄る死の影。
都会の闇の中に蠢く、神世の時代より息づく「呪詛」とは…?

<ノヴェル・シアターPLUS>

Project-μの最大の特徴は、ノヴェル・シアターPLUSと呼ばれるシステムであり、つまりは演出の凄さということになります。
このシステムについての説明は、ブランド2作目の『彼女の願うこと。僕の思うこと。』に記載していますので、ノヴェル・シアターPLUSって何それという方は、まずはそちらを読んでみてください。

このノヴェル・シアターPLUSについては、正直なところ、『彼女の願うこと。僕の思うこと。』で完成しているところがあり、本作で特に進化したとは感じられませんでした。
そのため、私個人の印象としては、前作ほどのインパクトはないかなというものになっています。

しかし、前作と異なり、ブランド3作目の本作では音声が付いています。
私は、音声の有無だけで評価に違いは出てこないので、音声が付いたからといってプラス査定にはなりません。
もっとも、音声が付いていた方が良いと考える人も一定数いるでしょう。
そういう観点からは、本作で音声が付くことにより、ノヴェル・シアターPLUSは完成したと解釈することもできるのでしょう。

ちなみに、ブランド4作目となる次の作品では、演出は強化されたものの、逆に音声がなくなっています。
そうなると、このシステムで音声付きは本作だけとなり、今となっては貴重な作品なのかもしれません。

<感想>

さて、本作は、実在する「女子高生コンクリート詰め殺人事件」をベースに、都市伝説等を絡ませた作品であり、全体としてはホラー系の作品となっています。

最近はいろいろ煩い時代になってきましたので、今だと、実在する凶悪犯罪をベースにすること自体に、抵抗のある人もいるかもしれません。
しかし、そういうことを気にしないのであれば、本作自体は上手く都市伝説等を絡めて作られており、良く出来ていたように思います。

なお、私個人としては、『彼女の願うこと。僕の思うこと。』の方が好きです。
というのも、『彼女の願うこと。僕の思うこと。』はファンタジー作品であり、そのファンタジーとしての意外性と上記システムがマッチしているように感じたからです。
それに対して本作はホラー作品であるところ、私の怖さに対する感覚が麻痺していることもあり、ホラー系に対してはどうしても辛口になってしまうんですよね。
だから本作の方が低く見えてしまうのですが、この辺は私個人の好みの問題でしかないですからね。
ホラーが好きな人で、音声付きの方が良いという人ならば、本作の方が楽しめるかもしれませんね。

<評価>

前作ほどのインパクトはなかったということで、総合ではギリギリ良作としておきます。

ただ、上記のとおり、人によっては本作の方が楽しめるのでしょう。
このブランドの作品は、もっと評価されて良いと思うのですが、発売された時代が悪かったですかね。
ゼロ年代前半という、萌え重視、ボリューム重視、演出軽視、ストーリー軽視という時代にあっては、萌えとボリュームが全然なく、演出を重視したストーリーゲーという本作は、流行の反対にあるような作品と言えますからね。
どう考えても、正当な評価はなされにくいのでしょう。
そのため、埋もれるべくして埋もれてしまった感もありますが、エロゲの演出に興味のある方には、このブランドの作品は一度はプレイしてもらいたいものですね。

ランク:B-(良作)

駿河屋

Last Updated on 2024-04-18 by katan

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