『Misty Vol.1』は1989年にPC88用として、データウエストから発売されました。
見た目はシンプルなのだけど、ガッツリと自分で推理したい人向けの歯応えのある作品でしたね。
<感想>
本作は、端的に言えば推理物のコマンド選択式ADVになります。
80年代には、ADVの主流を担っていたジャンルですね。
ちなみに、私はゲームジャンルはプレイヤーのできること、つまりゲームシステムの構造から判断すべきだと思っています。
だからこのゲームはコマンド選択式ADVだと思っています。
でも、以前は見た目のレイアウトで判断する人もいたわけで、その論によれば画面全体に文字が表示されるのがノベルというそうです。
仮にその論によるならば、本作は完全にノベルゲームですよね。
また、そこに分岐によるマルチED要素も必要だと加えたとしても、本作はその条件も満たしますしね。
さて、本作は推理系のADVであるところ、推理系のADVと言っても、実は細かく見るといろいろあるわけでして。
80年代に推理ADVはいくつもありましたが、その多くはプレイヤーが本当に推理する必要はなく、足による探索と調査がメインでした。
私は推理ADVが好きとは言っても、ストーリーが良ければ別に謎解き自体にはこだわらない方です。
だからプレイヤーが謎解きをしない作品であっても、メインとなるストーリー部分さえ良ければ、それで満足しちゃっていたんですね。
もっとも、当然ながら私とは反対に、推理は俺にやらせろよって感じで、自分で事件を解決することが好きって人もいるでしょう。
そして、そういう人にオススメなのが、この『Misty』シリーズでした。
画面はいたってシンプルです。
ほとんどがテキストだけで、たまにモノクロの絵が出てくるだけです。
プレイヤーは事件を解決するために聞き込みをし(これはコマンド選択)、真相が判ったと思ったら解答に挑みます。
そこでは死因や動機が次々と質問され、適切な解答が出来なければやり直しとなります。
プレイヤーには持ち点があり、推理が正解でなければこの点数が減っていきます。
いかに持ち点を維持しつつ事件を解決していくのか、全てはプレイヤーの手腕次第です。
こういう構造ですからね、コマンドを全部試してみるみたいな方法は取れません。
プレイヤーが真剣に考えなければならないのです。
どうでしょうか?
自分で事件を解きたい人なんかは、やってみたくなるのではないでしょうか。
こういうのにハードの性能は関係ないですからね。
遊べる環境さえあれば、今でも楽しめると思うんですよ。
たぶん需要はそれなりにあると思いますしね。
<評価>
私は良いストーリーだけでなく、優れたグラフィックとかも考慮するタイプなので、主観的に好きであったとしても、こういうシンプルすぎる作品はどうしても点が伸びにくい傾向があります。
そのため、総合では良作止まりです。
しかし、ノベルゲーには絵はいらないって人もいるくらいですからね、これはもう完全な好みの問題でしょう。
純粋に謎解きだけにこだわる人ならば、本作を名作と考える人がいても不思議ではない、そんな作品でした。
ランク:B-(良作)

Last Updated on 2025-05-07 by katan
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