女子大生交際図巻

1987

『女子大生交際図巻』は1987年にPC-88用として、ビクター音楽産業から発売されました。
因みに、タイトルは図鑑じゃなくて図巻なんですよね。
私は長いこと「女子大生交際図鑑」と思い込んでいましたよ。

<概要>

本作は、簡単に言ってしまうとナンパゲームになります。
最初に5人いる女の子の中から1人を選び、デートに誘って会話をして、最後はホテルへ・・・って流れのゲームです。
流れ的には『TOKYOナンパストリート』路線の作品とも言えるでしょう。

このゲーム、紹介としてはSLGとしてなされることも多いです。
シミュレーターと言えば、それが相応しいようにも思うのですが、SLGかADVかと言われると、個人的にはSLGとの表現には違和感があります。
本作に関して言うならば、おそらくリアルなナンパをシミュレートしたいという思惑があったのでしょう。
しかし、役割を演じるゲームがRPGではなくADVに分類されているのと同じで、制作者の主観ではなく作品の客観的構成要素から判断するべきです。

本作において、ゲームでやることはコマンドを繰り返し選択して、ひたすら会話を続けることなわけでして。
『TOKYOナンパストリート』と異なり数値管理の要素はないですし、他方でキャラの設定・個性が強まっていますので、ナンパゲーではあっても、ナンパストリートより、はるかにADV寄りにシフトしています。
したがって、本作はコマンド選択式のADVと考えた方が良いでしょうね。
もっとも汎用のコマンドが用意されているわけでもないですし、プレイ感覚としては今のノベルゲーの方が近く、ノベルゲーの選択肢の数が異常に多い作品を想像すれば、それが一番近いように思います。

ADVとSLGって曖昧なケースも多いんですけどね。
用意されたものを楽しむのがADVで、ランダム性を楽しむのがSLGと考えればほぼズレはなくなります。

このゲームの場合、会話パターンは非常に多いのですが、ランダムな反応や数値変化を楽しむ作品ではなく、会話の妙を楽しむものだと思うのですよ。
だから、私はやっぱりADVなんだろうなって思います。

まぁ、細かいジャンル論はどっちでも良いって人も多いでしょうから、中身について見ていきます。

<グラフィック>

上記のように、基本的にはナンパストリート路線の作品です。
そのため、システム的にはあまり目新しくはなかったかもしれません。
じゃあ、二番煎じで価値が劣るのかと言うと、決してそういうわけでもありません。

本作がナンパストリートと明確に違う点、それはキャラが飛躍的に可愛くなっていることです。
ナンパストリートはシステムの斬新さから名作と判断しましたが、キャラが全然可愛くなく、妄想でカバーせざるを得ない面が結構ありました。
他方の本作は、キャラが可愛くなっていますので、それだけでプレイ意欲が沸いてくるってものです。
女性を相手にするゲームですので、やっぱりこういう部分は大きいですよね。

<評価>

そういうわけで、満足度としてはかなり高かったのですが、名作と言い切る何かが若干足りなかったように思います。
私の好みの絵柄になったってだけでは弱いと思いますし、このゲームならではって部分が少し欠けていたので、総合的には良作と判断しておきたいと思います。

とはいえ、1年早ければ、私もおそらく名作扱いしたのでしょう。
それくらいの作品ではありました。
ただ、87年は、今までと違う新しい風もいろいろ吹いてきていたわけでして。
そのため、そっちの新しいタイプの作品を優先させたくなるんですよね。
私はオリジナリティ重視なのでそう判断しましたが、ナンパ系ゲームとしてキャラを可愛くし、会話のパターンを充実させてきたことで、ナンパゲームとしての完成度をかなり高めた作品でもあるわけです。
あと、単純に楽しかったですしね。
したがって、もし新鮮さよりも完成度を重視するならば、名作と考える人がいても十分に納得できる作品ではありましたね。

ランク:B(良作)


PC-8801ソフト 女子大生交際図巻

Last Updated on 2024-04-29 by katan

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