『MissingBlue(ミッシングブルー)』は2001年にPS2用として、トンキンハウスから発売されました。
『Lの季節』の後継的な作品であり、ノベルゲー屈指の大ボリュームな作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
聖遼学園高等部2年生の主人公・牧村功司は、控え目でおとなしい幼馴染・璃月沙夜と、ひょんなことから付き合うことになった上級生・丹雫瑠羽奈に囲まれ、賑やかながらもごく普通の生活をしていた。
ある日、春日瑞希という少女が転校してくる。
彼女は主人公に不思議な水晶を渡すと、「思い出して……」と謎めいた言葉を投げかける。
会ったこともないはずなのに、でも確かに会った記憶があるその少女に戸惑う主人公。
そして、なにかが始まる予感……。
<感想>
本作は、直接的にはPS時代の名作ノベル『Lの季節』の続編ではないですが、多くの面で流れを受け継いだ作品と言えるでしょう。
正直なところ、この作品の評価は分かれると思います。
PS2初期のADVということで、当時のADVとしてはグラフィックは綺麗な方でしょう。
そして何より、ボリュームが半端じゃなかったです。
フルコンプに100時間以上かかっちゃうかもしれないですしね。
ノベルゲームのボリュームとしては、当時では段違いだったのではないでしょうか。
いや、今でも最高クラスでしょうし、とにかくボリュームを増やせという、ゼロ年代前半のノベルゲームの象徴的作品でした。
そのため、ストーリーが気に入った人ならば、それこそ最高のノベルゲームに出会った気持ちになれるでしょう。
ただ、例えば『Lの季節』の時にも、ノベルゲームをやりこんだ人の多くの意見としては、平均よりは上だろうけど、それ程でもないって意見が結構ありました。
私も、ストーリーだけなら平均より少し上くらいかなって感じでした。
それを踏まえて本作がどうだったかというと、本作は、私には前作を薄味で冗長にした作品のように感じたのです。
基本は恋愛ゲーでありつつも、そこに独特のファンタジー要素を加えた本作は、『Lの季節』と基本的な傾向は似ているはずなのに、どうにも私は、『Lの季節』程には楽しめませんでした。
濃い物なら多少薄めても構いませんが、平均やや上の物をおもいっきり薄められると、どうしても物足りなくなってしまいます。
凄く楽しい時間が長く続くのならば格段に評価も上がりますが、0を何倍しても0なように、プラス評価できない時間がどれだけ続いても、あまりありがたくないわけです。
暇な学生時代ならまだしも、忙しくなるにつれ短くても濃密な時間を過ごしたくなりますしね。
つまり、グラフィックやストーリー等、他の要素の場合は1点でも突き抜けていれば名作たりうるのですが、ボリュームだけ突き抜けていてもあまり評価できないのです。
<評価>
総合では、佳作としておきます。
私自身は、内容的には楽しめなかったのですが、あのボリュームで破綻なくチャートまで整えたのは、やっぱり素直に頑張ったなと思いますから、そこは評価したいと思います。
まぁ、初期のノベルゲーに対しては、本を読めば十分、本に比べてコストパフォーマンスが悪いという批判があったわけでして。
そうした批判に対し、絵や音といった付加価値を付けることで対抗する流れがある中で、他方で、もっと純粋に費やせる時間(ボリューム)の面で対抗する流れもあったわけです。
そうしたボリューム増の結果、プラスだけでなくマイナスの面も出てきたわけで、それを痛感した作品でしたね。
私の印象としてはそんな感じですが、テキストの感じ方は人それぞれだったりします。
このストーリーが格段に優れていると感じる人は少ないと思いますが、それなりに楽しいと感じられる人は十分考えられるでしょう。
また、私はボリュームが多いだけのノベルゲーは、単に推敲がなされていないだけのようにも感じてしまいますが、ゼロ年代前半のノベルゲーはボリュームが多ければ評価される時代でもありましたから、そういう作品が好きな人もいるのでしょう。
そういうボリュームの多い作品が好きなのであれば、本作は、十分挑戦してみる価値があるのではないでしょうか。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2025-03-25 by katan
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