Let’s裸Go! ~ぼくラの自由研究~

2013

『Let’s裸Go! ~ぼくラの自由研究~』は2013年にWIN用として、コンプリーツから発売されました。

探していたのはこういうやつなんだよということで、かなり刺さった作品でした。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

商品紹介によるあらすじは以下の通り。
夏休みの初め、山川コウダイと同じ班の女子3人たちが学校に集まり、グループ自由研究の課題を決める話し合いをしていた。
コウダイにはある提案があったのだが、誰からも相手にされない。
そんなコウダイを差し置いて女子の1人香白茉莉花が、まだクラスの誰も経験していないSEXを課題にし、それを実践して発表しようと提案する。
女子たちはドキドキするものの、コウダイはまったく興味を示さない。
そこで彼は持参した古びた巻物を見せる。
自宅で偶然巻物を見つけたコウダイは、それがかつて祖父から聞いた「すっぽんぽんの神様」の言い伝えにまつわるものだという。
そして町に散らばっているという神様の御魂なるものをすべて集めれば「何でも願いが叶う」。
SEX以上の荒唐無稽なこの案に、一同呆れかけるがなぜか茉莉花がこれに興味を示しついに御魂探しを決行することになる。
早速始めようとする女子たちを前に、コウダイは御魂を集めるためのある条件を話す・・・。
「すっぽんぽんの神様にはすっぽんぽんで接する。そうじゃないと願いごとは叶えてもらえない」
・・・かくして、4人は御魂のある場所を示すという巻物を片手に、「全裸」で市内の各所へ赴いていく。
真夏の炎天下で何もかも丸出しにした無着衣の少年少女たちが、西へ東へ足を運び、街中を駆けまわる。
だけど、裸でそんなことをして、何かが起きたりしないだろうか? 
女子たちはもうSEXに興味をもってるみたいだし、コウダイも・・・!?。
少年少女たちに担任の先生や家族も巻きこんでの、真夏の大?冒険が幕を開ける。

<感想>

Let’s裸Go!、レッツラゴーをもじったのでしょうが、響き自体からして既に懐かしいですねw
元々は赤塚不二夫さんの「れっつらゴン」に由来するのでしょうが、そんな細かいことは知らなくても、昔は日常的に皆レッツラゴーと使っていたように思います。
でも今ではたまにしか見かけないし、下手に使うと完全にオッサン扱いされそうですし。
今の10代とかだと、言葉自体知らない人も多いのでは。
20代も、前半だとやっぱり知らなそうですしね。
あ、でも、この間、アイドルが話していたのを見て、ちょっと嬉しかったり。

そんなわけでタイトルからして懐かしさが溢れていますが、とある成年向け漫画を読んでいて、ふと思ったのですよ。
昔ながらの田舎を連想させるような場所で、「少年少女目線」で描かれるアダルトゲームがあっても良いのではないかと。

JSが出てくる作品や、見た目がかなりロリないしショタな作品は幾つもあります。
しかしながら、そこに出てくるロリやショタというのは、大半が良くも悪くも大きいお兄さんたちの願望の具現化でしかないのです。
大きいお兄さんの性的欲望を満たすための存在としてのロリ、ショタ好きの好みに合わせた、或いはエロゲに都合が良い存在としてのショタ。
そんなキャラ・作品ばかりです。

もちろん、それらは多くの需要の上に生まれたのでしょうし、私自身もそういう作品を何本もプレイしてきたので否定はしませんけどね。
でも、そういう作品ばかりだとマンネリでテンプレっぽく感じてしまいます。
少なくとも、その世界やキャラにリアリティは感じられないでしょう。

コンプリーツは、これまでにもロリやショタを扱い、この分野において実績も残してきたブランドです。
しかし気弱なショタを主人公にしている限りは、私の上記の不満は払拭できなかったと思います。
本作の主人公は、小学生時代にはクラスに必ず一人はいたような、少し単純で頭は足りないかもしれないけれど非常に快活な少年です。
まだ性に目覚める前で、とにかく皆と遊んだり、悪戯することが楽しくて仕方ないといった少年です。
裸の女の子が側にいても何も感じないのに、全裸で風を浴びていると興奮してナニをたててしまうような、変態だけど愛すべき馬鹿です。
そんな少年が少しずつ性に目覚めていくことになるのですが、ストーリーが普通にいそうな等身大の少年目線で進むので、私も昔を思い出す懐かしさと共に、リアリティと他作品にはないような新鮮さをも感じられたのでしょう。
個人的には、この主人公なしには、この作品は成立しなかったとすら思います。

他方で、そういう悪戯したりするような少年は、クラスの女の子から馬鹿にされがちです。
案の定、本作でも主人公は女の子らから馬鹿扱いされています。
また、小学生の頃は男女間の体格差もまだないですからね。
ケンカして女の子が勝つこともありますし、強気な女の子も結構いたものです。
こいつ、いけすかないなと思いつつも、口では一方的に言いくるめられ、力を行使しても勝てるとは限らない。
クラスの力関係は女子の方が上だったという経験のある人も、結構いたのではないでしょうか。
本作は、そういう昔普通に経験しそうなところを、そのまま表現しているのです。

萌えて愛でる対象としてだけのヒロインではなく、馬鹿な男の子の言うことなど聞く耳も持たない、小煩い暴君的な存在のヒロイン。
加えて、男の子より女の子の方が少しませていますからね。
ちょっと性的知識が進んでいる辺り、でも偏ったり誤っていたりもするのですが、そういったところも含めて、何かいかにもありそうだよなと。

つまり私は、こういう少年少女の物語が見たかったのですよ。
そういう意味で、待ちに待った作品でもありました。

ストーリー的には概要にもあるように、御魂を求め全裸で街中を徘徊します。
公式ジャンルが「マッパ(全裸)で町内探索ADV」となっていますが、まさにその通りですね。
そのため、基本的には露出ものになります。
全裸が快感になっている主人公とは異なり、女の子たちは羞恥心もあるのですが、羞恥心よりも好奇心の方が勝ってしまうのと、集団心理で冒険することになります。
途中で先生も加わることもあるのですが、先生の場合は大人故に好奇心より羞恥心が先にきますので、子供らに本気でドン引きしてそうな先生との対比もまた楽しかったです。

以上のように、基本的にはロリと露出(若干の羞恥も含む)がメインですが、女の子の聖水を顔にかけられたり、御魂探しの過程で主人公はいろいろやらされます。
主人公のナニと割り箸を股に挟んだ女の子の擬似剣道など、見ていて痛々しさと馬鹿馬鹿しさが一緒に伝わってきたものです。
それでいろいろやられて少しそっち方面に目覚めかけるわけですから、マゾの心理も分かれば尚楽しめるでしょう。
自由研究は御魂探しになりますが、結局SEXが題材に戻る場合もありますし、そうでない場合も主人公は無知だった性に関し少しずつ目覚めるわけで、そういう意味では成長ものでもあるのでしょう。
また、ヒロインは、メインはロリな女の子たちなのですが、何気に良い魅力を醸しだしていたのが年上のお姉さんたちでして。
主人公のお姉さんは、いわゆるツンデレさんですね。
弟を馬鹿にしているようで、実は弟ラブであり、隠れて仕掛けてみたりする可愛いお姉さんです(もちろんHあり)。
先生もHしているところを主人公らに見られてしまう残念な人ですが、恥ずかしがりながら子供らにつき合わされ全裸で街を徘徊したり、滑って転んで生徒の前で大また開きしてしまうような可愛い人ですw
これらの要素で興味のある数が多い人ほど楽しめる作品と言えるでしょう。

<ゲームデザイン・システム>

ジャンルはノベル系のADVなのですが、選択肢がカードになっていますので、ちょっと特殊ですね。
作品の雰囲気には合っているし、当初はもっと作りこむ予定だったかもしれませんが、とりあえず本作ではあまり有効には機能していません。

これまでのコンプリーツ作品は単純なものが多かったように思いますが、本作ではEMD数も増えていますし、難易度も高くなっています。
自力でのフルコンプは結構厳しいかも。

ゲーム性は増したと言えば増したのでしょうし、賛否分かれるにしても、その分かれうるレベルには達しているのでしょう。
他方で、満場一致で不満が出そうなのが、細かいシステム面だと思います。
ハッキリ言って、10年前の水準なんですよね。
例えば2003年のゲームですと言われても、知らない人は信じてしまいかねません。
同人ゲーなどで使われている汎用のシステムの方がまだマシなようでもあり、どうしても古臭く感じてしまいます。
私は、今でも10年どころか20年前のゲームでも平気ですし、システムが不便だから楽しめないということは、あまりありません。
しかし、快適なシステムに慣れきった人、古い作品はシステム周りが不便で面白く感じられないという人ですと、本作のプレイにもストレスが溜まってしまうように思います。
また私も単に平気なだけであり、技術の進化を感じさせない古臭いシステムは印象が悪いです。
私にとって致命的欠点とまではいかないものの、ここはどうしてもマイナスポイントと判断せざるをえないでしょう。
せめて標準レベルであれば、もう1ランク上がっていただけに、このブランドのシステム周りの欠点はどうにかしてもらいたいものです。

<評価>

他にはない新鮮な感覚で楽しめた作品ですし、主観的にも大好きな作品でした。
パッと見はよくあるロリ作品のようですが、プレイしてみればオンリーワンであることが分かりますし。
しかしシステム面からくる古臭さがひっかかり、評価としては一応名作ではあるものの、主観値よりは低くなる結果となりました。

まぁ課題も残る作品ではあるものの、プレイできて心底良かったと思える作品でしたね。
それと、こういう作品がプレイしたくなる、楽しさが分かるというのは、20代後半以降からじゃないのかなと思ったり。
少なくとも、私は10代や20代前半に本作をプレイをしていたら、まず良さを理解しきれなかったと思います。
出てくるキャラの年齢はあれだけれど、そういう意味で真のアダルトゲームの一つであり、テンプレゲーは飽きたから新鮮なゲームがやりたい人や、30歳を超えたけどまだエロゲやってるよ~ってな人にこそ、個人的にはオススメしたい作品ですね。

ランク:A(名作)


駿河屋
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Last Updated on 2024-11-04 by katan

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