『高機動幻想ガンパレード・マーチ』は、2000年にPS用としてSCEから発売されました。
開発はアルファシステムで、一部では根強い支持を得ているところですね。
<感想>
1992年:『同級生』
1994年:『ようこそシネマハウスへ』
1996年:『ファイアーウーマン纏組』
1999年:『リフレインラブ2』・・・
自由に動き回ってイベントやその作品の世界を堪能するゲームは、昔から結構好きで一杯やってきたかと思います。
そうした類のゲームは少ないことは少ないのですが、良作・佳作も含めればそれなりにあります。
その中には間違いなくこれは傑作だと言い切れるゲームもあり、大体2~3年に1本くらいの割合で発売されていました。
上に書いたのはその作品たちになります。
本作もこれらと同系統の作品で、かつ傑作ゲームとして上記の作品らと並ぶ存在であると言えるでしょう。
自由度重視の作品は、えてして似たり寄ったりな作品や、2番煎じ3番煎じに感じてしまうことも多いかと思われます。
したがって、後発にもかかわらず優れていると呼ばれる作品には、例外なくプラスアルファの何かがあります。
本作の場合、そのプラスアルファが大きく2つあるあると考えられるでしょう。
1つは本作が良いとこ取りってことです。
先ほど上に書いた作品らは、自由度の高いADVです。
他方で『ワールドネバーランド』や『ザ・シムズ』みたいな、自由度重視のSLGもあります。
両者は似ているのですが、やっぱり違うジャンルと言えるでしょう。
すなわち、自由度重視のADVは、自由に行動しつつも、行動した先で用意されたイベントやテキストを堪能するゲームです。
他方のSLGは、あらかじめ用意されたものを楽しむのではないため、個々のイベントやテキストの面白みは欠けます。
しかし、ランダム性が高まることで自由度の幅は格段に上がります。
本作は用意された要素とランダムな要素が上手く絡み合い、濃密なイベントと高い自由度が調度良く交じり合った作品でした。
制作陣のコメントをみると、将来的にはよりSLGっぽく作りたいみたいですが、純粋なSLG路線には既に『ザ・シムズ』がありますので、このくらいの割合でADV+SLGという中間的な路線でのオンリーワンを目指した方が良いように思いますね。
加えて、本作にはパラメーターによる育成の要素や、敵との戦闘もありました。
育成SLGや戦術SLG的要素も含まれていたことで、ADVよりもゲーム性を増すことに成功していました。
ちなみに、本作のゲームジャンルは、SLG+ADVとなるのでしょう。
一応どちらかに分類するとなると、比重が問題になってきます。
SLGとADVの比率ですが、楽しむ要素のメインはADV部分に依存しているとも思いますが、それでもやっぱりSLGの要素がかなり強いので、端的に言うならSLGになるんだと思います。
ADVが苦手な人でも本作は楽しめるだろうけれど、SLGが苦手な人は本作はあまり楽しめないと思いますから。
本作のもう1つの特徴は、設定・裏設定が膨大なことです。
私もそうですが、単純にそういう類の作品が好きな人も結構いるでしょう。
また、設定・裏設定が膨大なゲームは他にもありますが、自由度重視のゲームではほとんどなかったかと思います。
もちろん、単に珍しかっただけではありません。
膨大な設定や秘密を自ら探り当てていくことは、本質的に自由度重視のゲームと相性が良いと思います。
ある程度の量が伴わなければ、自由度も何もあったものじゃないですからね。
自由に動きつつも、その先には絶えず濃い展開が待っている。
これはもう、ゲームの1つの究極的姿ですよね。
よくぞ作ったものですよ。
他にも個性的なキャラがいるなど他にも理由はありますが、主には上記のような点が支持されたからこそ、本作は傑作ゲームとして高評価を得ることが出来たのではないでしょうか。
以上から、オリジナリティの高さは最大限に評価したいです。
プレイして間違いなくこれは傑作だって思いましたしね。
ただ、GPMが完璧な作品かというと、必ずしもそうでもないわけでして。
どれも重箱の隅をつつくような細かいところでもありますけどね。
まずは、グラフィック等の演出面です。
予算の関係上仕方ないのかもしれませんが、PS末期の作品にしてはグラフィック等は良いとは言えません。
ちょっと貧弱でしたね。
また、自由度重視の作品はこれが初めてではなく、これまでにも幾つかあるわけです。
後発の作品には当然不便な点の改善も求められます。
例えば行動。
初めてプレイするときは動き回れる点に新鮮さを感じますが、慣れると面倒なので短縮モードが用意されるようになってきました。
この辺が本作は少し足りなくて、若干操作性の悪さを感じましたね。
さらに、自由度重視のADVとSLGの中間ってことで、トータルでは良かったものの、片方だけに注目すると中途半端とも考えられるわけでして。
例えば純粋にSLGとして自由度を求めるならば、間違いなく『ザ・シムズ』の方が良く出来ているでしょう。
<評価>
総じて、本作ははまる人はとことんはまる作品であります。
その独自性の高さから、文句なしに名作といえるでしょう。
中にはマイベストって人もいるでしょうし、実際にそれだけ魅力を兼ね備えたゲームではあります。
しかし同時に、自由度重視の作品はそれだけで人を選ぶ作品であり、また自由度重視でも何を求めるかでも楽しめる度合いは変わってきます。
合う合わないが分かれるゲームなので、評判だけでなく自分の好みもよく考慮したうえで購入すべきでしょうね。
最後に、こういうゲームは凄く好きですが、大概は知名度が低くて攻略本もないことが多いわけでして。
そのため、常にイベント漏れがあるんじゃないかって心配になってたものです。
それ故に「電撃ガンパレードマーチ」の発売は、ゲーム攻略に必須であると言えましたし、それ以上にこういう作品に注目をしてくれたこと自体が嬉しかったです。
これは電撃PSの最大の功労の1つでしょうね。
ランク:AA-(傑作)
Last Updated on 2025-01-22 by katan
コメント