『シェル・クレイル ~愛しあう逃避の中で~』は、2003年にWIN用としてアリスソフトから発売されました。
このライターのゲームはもう1本見たかったなと。
たまに懐かしくなるゲームですね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
主人公セトル=ジャン・ストニは、レノンセル伯爵の専属医師として病弱な一人娘リジエンヌ・エイパ(リズ)の治療に当たっていた。
幸い、三年に及んだ困難な治療は功を奏し、リズは健康な躰を得る。
少女から年頃の娘へと成長した彼女には縁談もまとまり、その幸せな旅立ちを見届けて、セトル=ジャンの専属医としての生活は終わりを迎えるはずだった。
だが、三年の間に募ったセトル=ジャンとリズの想いは、簡単に消し去れるほど小さなものではなかった。
別れの夜、セトル=ジャンは苦悩し、リズは涙に暮れる。
そんな二人に、手を取り合って逃げるよう奨めたのは、意外にも政略的な結婚を喜んでいたはずのリズの父、レノンセル伯爵だった。
詳しい事情を何も知らされぬまま、セトル=ジャンはリズの手を引き、避暑地ミゼイユにある別荘へと向かうことになる。
そこで出会う優しい人々、リズとの間に重ねていく幸せな夜。
二人は、この時が永遠に続くことを信じていた。
──残酷な欲望の中に身を沈める時が来るとは、思いもせずに。
<感想>
最近ではもうアリスソフト≒ゲーム性にこだわる会社ってイメージなのでしょうか。
WINDOWS以降にアリスファンになった人は、もしかしたら本作のような作品に違和感があったかもしれません。
何かアリスらしくないなって。
本作の売上がいまいち伸びなかったのも、本作が発売された2003年当時のアリスのファン層とずれてた面も少なからずあるのでしょう。
でも私は、久しぶりにアリスからストーリーで楽しめる作品が出て、ただ単純に嬉しかったんですけどね。
そもそも、PC98時代のアリスは、結構ストーリー重視の作品も出してました。
エウシュリーとかはずっとゲームにこだわってるかもだけど、アリスはそうでないと思います。
よそでやらないなら、じゃあ俺らがやってやるよ。
そんな感じのコメントをどっかで見た気がするけれど、まさにそうなんだと思います。
アリスは主流になれないんじゃなくて、わざと主流を外していたところがありましたからね。
今はどのブランドもノベル物ばかりだから、結果的にアリスはRPGやSLGばかりになってるだけであって。
だから、私はアリスがノベル物を出すと聞いても普通に期待してました。
『デアボリカ』とかも凄く好きでしたしね。
そして、実際にやってみても、十分に楽しめました。
ただ、確かに形式面ではノベルではあるものの、内容的には萌え中心の今の多数層に受けるネタではなかったですね。
PC98時代からやってるような、年季の入った人なんかには受けそうでしたけど。
もっとも、じゃあ萌えや燃えなんかはいらないから、純粋にストーリーだけなら名作なのかと訊かれると、それはそれでちょっと首を傾げたくなる面もあるわけでして。
テキストには、ライターの色は出ています。
しかし、ラストのオチにライターの個性が出てないんですよね。
想定の範囲内で終わってしまった感じで、もうひとひねりが足りないのです。
本作は逃避行物であり、かつ薬を題材に扱った作品でもあるわけですが、確かにノベルゲーとしては珍しい設定でしょう。
でも、小説等では決して珍しくもない題材なわけで、そういう題材で名作と言い切れるためには、やっぱり題材の調理にライターの個性がたっぷり詰まっているべきでしょう。
どうせ市場の多数派向け作品でないのだから、もっと縛られることなく奔放に作った方が良かったのではないでしょうか。
それと、ADVの会話主体のスタイルよりも、もっと純粋に小説っぽく書いた方が向いてる気もしました。
<評価>
ライターの文章力は高いし非常に丁寧に描かれているのは好印象でしたが、あちこち勿体無いところがある地味な良作、終わってみればそんな印象でした。
非常に良質ではあるけど、何かもう一つパンチの足りない作品と言えるでしょう。
ライターの上田庄吾さんは、結局これ1本だけでアリスを退社。
もう1本くらい、長編の作品を見てみたかっただけに残念ですね。
その後は小説を書いてたみたいだけれど、今も書いてるんですかね?
あの文章力と文体からは、ゲームのテキストよりも小説家の方が向いてる気もします。
できれば頑張って欲しいですね。
ランク:B(良作)

Last Updated on 2025-06-15 by katan


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